フォトジェニックPhotogenic

2018年4月のフォトジェニック

2018/5/18

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『connect』
 

photo by volvo
codi by kudo

Lifestudio TOKOROZAWA

 

 

 

遠い昔の君たちの記憶は

ファインダーを覗くたび蘇る

 

遠い昔から繋がれてきた今日までの絆は

まだ見たことのない新しい世界へと導き

見た事無い未来が創られる

 

君たちと出会えた事は

他の誰とも変わらないごく一般的な確率

だけど約5年という月日を共有できたのは何千分の1の確率

 

偶然かもしれないし、必然かもしれない。

だけどただ一つ言えるのは、誰でもこれだけの時間を共に過ごすことができるのか?

と言われれば、答えはノーだということ。


 

人が私を必要とし、私を指名をしていただけるというのは本当に名誉あることで、これ以上ない喜びを得ます。

正直な話、若い頃は誰かが指名してくれる、それだけで満足していた時期もありました。

でもライフスタジオでの生活も丸6年が経とうとし、短くない時間の中でそんな時代を通り過ぎ

それだけでは埋まらない心の穴が存在する事を知るようになり、次第にその穴が私の仕事に対する欲望を小さくしていくことに気づきます。

 

自分はいつも受動的な人間でした。

「愛されるより愛したい」という言葉を日本中に振りまいたkinki kidsと青春時代を共にしたとは思えないほどに

自分の意思を見せることはしませんでした。

どんなに好きな人がいても告白なんてしたことなかったし、というかできなかったし。

それどころか自分から好きだと言うことがむしろダサいことだといわんばかりに振舞っていたように思います。

まるで「人に求められる」事が美学とでも思ったのでしょうか・・・。

 

そんな風に生きてきたものだから、意思表示も微妙なまま生きてきて

人に求められる事で満足感を味わった気になり、正直ライフスタジオで忙しい毎日を送りながらもそのように過ごしてきた部分がありました。

私を探してくれる数少ないお客様は「あの人は今どの店舗にいるのか?」と、普通に予約を取るよりもひと手間多い工程を踏まなければならず

予約を取った後も店舗と連絡を取り、私の生存確認をしなければなりません。

私が人見知りが故に仲の良いお客様にはご不便をおかけしてしまっています(本当にいつもすいません)

 

そんな私も、ライフスタジオで過ごすうちに異変が起きました。

誰かに「会いたい」という思いを、行動に表す機会が生まれたのです。

 

その一人が「上林ファミリー」です。

今でこそまた会いたいと思える方はたくさんいますが、最初に私にそう思わせてくれたのは上林ファミリーでした。

5年という短くはない時間を共に過ごすことができた中にはもちろん子供が成長して大きくなり

隣で撮影してる赤ちゃんが眩く見えたりもするでしょうし、サイズオーバーしてしまったライフスタジオの衣装に

失望してもおかしくなかったと思います。にもかかわらず子供たちの写真を残したいとライフスタジオに来続けてくれたママさんの行動力共に歩きつづけることができた一番の理由ではあります。

 

姉ののいちゃんと、弟のたくみくんの二人姉弟。

初めて撮ったときから2人はそのモデルのような出で立ちと上手さで

私が撮影には入らせてもらう前もきっとカメラマンたちを唸らせてきたんだろうなって思っていました。

 

のいちゃんは今年中学入学。

すでにママさんを超えた身長からは大人びた雰囲気で

私よりまだ10センチは低いのになぜか腰の位置は私よりだいぶ高い位置にあるモデル顔負けのスタイルは成人撮影をしている気になります。

 

この写真の被写体でもあるたくみくんはのいちゃんの  1つ下。

歳が近いからもあると思いますが、姉弟で写真を撮るという行為に抵抗感が出てくるのも当然でしょう。

もし自分が年頃に弟と仲良く肩でも組んでカメラを見て笑えと言われたらそんな辛いことはなかったと思います。

いくら毎年写真を撮ってる親戚的ポジションの私と会うといっても10歳男子。

家族のイベントや久しぶりの大人に会うという事自体に一歩引いてしまうのも当然です。

それでもたくみくんはお願いされると断れない優しさをもって笑顔を作ってくれます。

これはきっと大人の期待に応えようとしてくれた気遣いなんだろうなと思いながら、素直に楽しませてあげられない苦しさを

胸にシャッターを切らせてもらいました。

 

ソロ写真になり、彼をどのように表現するか、悩みました。

一緒に入ってくれた工藤さん曰く、いつもに増して私は長考していたそうです。

西さんの写真マニュアルに書いてる通り、写真は撮るための準備の工程がどのようであるかによって写真が変わります。

先に撮る写真が決まっていれば、被写体とは無関係な写真が作られますし、被写体の事ばかりを考えていれば整理されない写真が生まれます。

ポートレートというのは人を撮っているという事は誰もがわかっていることでありながら、この工程を間違えるとただ「いい光」を撮っている

だけだったりとか、ただインテリアを撮っているような写真になりがちです。

 

大内さんの言う通り、写真は「調和しているかどうか」で美しさが決定します。私は「統一感、そつがない」なんて表現していましたが・・・。

 

そういう写真を撮るためには、工程を正しく踏まなければいけません。

正しい工程を踏む基準は「被写体の持つストーリーがすべての構成要素によって現れているか」です。

つまり、まずは被写体の持つストーリが何か?を規定しなければ何も撮りようが無く、ただ撮っただけの写真という事になります。

規定したストーリーがあっているか間違っているかはあまり重要ではなく、大切なのはストーリーがあるかどうかです。

 

私はたくみくんの事を「がんばって撮影してくれる思春期」だと思いました。

だからソロ写真で表現しようと思ったのは「頑張らないで写真に写る思春期」です。

 

このように規定したなら、次はそれをどう表現するのか?という工程に進みます。

まずは彼が何を着ているか?です。

工藤さんが提案してくれた、最近入れた20センチを超えるブーツとシャツにジャケットの姿は明るい雰囲気というよりは

気だるい感じとうまくマッチしていて、撮影インテリアを決定するのに時間はかかりませんでした。

 

次に光です。

時間的に西日の入るタイミングで、写真のように逆光で使うのか、インテリアの方を向いて(反対向きになるとインテリアがある)

順光で使用するのかはカメラマンの選択になります。

順光で撮ればインテリアが入るので背景には困らないけれど、順光の扱いが難しい。

写真のように逆光で撮れば光はいいけどインテリアがないので背景処理が難しい。

 

どうするべきかと悩んで決定する基準は、やはり「頑張らないで写真に写る思春期」に立ち戻る事です。

色んな場面で「どのように撮ろうか」と悩む瞬間はたくさんあると思いますが、決定する基準はいつもひとつで「何を写したいのか?」という事です。

 

強い逆光を見た瞬間にフレアを出して飛ばすのか、被写体をアンダーに落として写すのかの二択がありますが、先述したように

明るい雰囲気で表現するべきではないので、アンダーを選択します。この時点で「イメージカット」という選択肢が現れます。

 

「気だるさ」「イメージカット」「逆光」・・・・「モノクロ!?」。

 

状況と完成系をつなぎ合わせ、表現したいものを表現するために最善の方法を探す過程でポイントとなる言葉を探し出し

「どのように撮るか」を具体的にしていきます。

 

こうなったらレンズの選択も容易になってきます。

大抵、標準レンズか望遠レンズですが、この場合は85mmの単焦点レンズを選択しました。

ひとつは、背景の処理が難しい向きを選択した事。F値を1.8にできる事でできるだけ背景が気にならないようにしました。

 

次にポーズです。

「気だるさ」を最も表現できるのはポーズです。

まず一番似合わないのは、「写真撮りますよ?」というポーズ。

あたかも撮影用ですといったポーズをさせるのではなく、あくまで自然体でいられるような姿を維持しつつ

かつ写真になるような状態、だから足組むことと上向く事しか伝えませんでした。

モノクロといっても表現方法は様々です。コントラストたっぷりにもできるし、フレア気味にする事もできる。

アンダーで落とすと決めたので、シャッタースピードは1/2500まで上げました。

首のラインと顔のラインが見えるレベルで。

全体的なバランスと状況説明は、天井と、下の光と影の境目、右のシャッターと左の街灯の四辺を囲む形である程度説明がつくかと思っています。

 

 

撮影の前日、明日大切なお客さんが来るんだけど、うちの衣装がサイズオーバーなんだよね・・・と

ボソッとこぼした言葉を聞いていた工藤さん。

次の日、「多分サイズ同じくらいだから」と袋いっぱいの洋服を持ってきてのいちゃんのコーディネートをしてくれ

いつもとは違う雰囲気で撮影することができました。

 

撮影の次の日にはフェイスブックにたくさんの写真をアップしてくれたママさん。

撮影中も、モニター中も、自分の学校話で工藤さんと女子トークを繰り広げていたのいちゃん。

毎年撮影に付き合ってくれ、私に新しい条件を提示してくれるたくみくん。

 

自分勝手かもしれないけれど、私自身が「また会いたい」という欲望を持つというは

関係が続く一番の理由です。また必ず会いましょうね。みんなありがとう。

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