店舗フォトジェニック集
Photogenic
ほどけていく光の中で
投稿日:2026/3/21
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榴ヶ岡店には、特別な時間があります。
夕方、スタジオがやさしいオレンジ色の光に包まれる、ほんのひととき。
その光が、私はずっと好きでした。
空間も、人も、少しだけやわらかく、美しく見せてくれる魔法のような時間。
この光を使って、作品をつくりたい。
そう思ったとき、頭に浮かんだのは「反射」でした。
光を反射させる方法はいくらでもあります。
サンキャッチャーやミラーボール。
けれど私は、もっと身近なものに目を向けました。
折り紙です。
選んだのは金ではなく、銀。
華やかすぎず、静かに光を返すその質感に、シンプルさと品のある美しさを感じたからです。
折ったのは、鶴。
一羽一羽、手で折り、テグスを通し、空間に吊るしていく。
それは単なる装飾ではなく、光を受け、反射し、奥行きと立体を生み出す存在としての鶴でした。
なぜ、ここまでしてこの世界を作りたかったのか。
それは、
身近なもので、どこまで美しい空間をつくれるのか試したかったから。
そして、
誰もが知っている“鶴”で、どこまで新しい表現ができるのか挑戦したかったから。
最初にその想いを上司に伝えたとき、返ってきたのは、少し戸惑ったような反応でした。
それは当然だったと思います。
私自身も同じように思っていたからです。
鶴で、本当に美しい写真が撮れるのだろうか。
不安はありました。
でも、それ以上に強かったのは、
「成功させたい」という気持ちでした。
家族にも協力してもらい、折った鶴は全部で60羽。
その中の40羽を吊るし、空間を組み立てていきました。
撮影当日は、私を含めて3人でセットを制作。
前から見たときの美しさ。
横から見たときの違和感。
鶴の高さ、重なり、奥行き。
細部まで確認しながら、何度も調整を重ねました。
ヘアは一つ結びで、あえて大人っぽく。
装飾は最小限に。
衣装はレースのドレスを選び、光と空間に溶け込むやわらかさを大切にしました。
撮影では50〜70mmのレンズを使用。
ただ奥行きを“撮る”のではなく、自分で“つくる”ことを意識しました。
被写体とカメラの間にはパンパスグラスを置き、前ボケをつくる。
奥行きはレンズ任せではなく、空間設計で生み出すもの。
そうして完成した空間は、
まるで夢の中のように、静かで幻想的でした。
光が揺れ、鶴がきらめき、時間がゆっくり流れる。
その場にいる全員でつくり上げた、特別な世界。
終わってほしくない。
そう思ってしまうほどの時間でした。
身近なものでも、想いと工夫次第で、世界はここまで変わる。
そのことを、この一枚に込めました。
Photo by Kumagai
Coordinated by Kumagai&Abe&Yamada
Written by Kumagai
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