店舗フォトジェニック集
Photogenic
【 格好良さを演出する。】
投稿日:2018/10/20
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男性はカッコいいものに惹かれます。
カッコいいポーズやカッコいい車など。それに大人や子供は関係なく全ての男性が憧れます。
この子もそうでした。
カッコいいのがいい。カッコいい風に撮って欲しいと。
ふと思います。
確かにカッコいいのはボヤッとイメージができる。
しかし
カッコいいという感性はみんな違く、一人一人のイメージがあります。
さらに突き詰めると男性のカッコいいと女性のカッコいい、ここにも違いが出ます。
なんか難しいですね。
でもよく考えて見てください。
確かに多種多様なカッコイイがあります。
しかし先程も言ったようにボヤッとカッコいいというモノや事は誰しもある程度同じイメージできるのです。
例えば足を組むポーズ。これを見て可愛いや変だと思いますか?
思いませんよね、きっとカッコいいと思うはずです。
人の脳内にはこれがカッコいいとインプットされている。
様々に枝分かれするカッコいいという感性、しかし元をたどれば共通の感性なのです。
これってすごい事だと思いませんか??
日本の人口が1億3000万人です。その全てが同じようなイメージを共通しているという事。
軽く人類補完計画です。
しかし人によってカッコいいのイメージが上記ほど共通でないものがあります。
それは人の顔です。
菅田将暉の顔が一番カッコいいと思う人もいれば、福山雅治の顔が一番かっこいいと思う人もいます。
つまりこれは、カッコいいというイメージの対象が多種多様すぎているというわけです。
目の形から、輪郭、鼻の高さ、髪型まで対象項目が沢山。
目の形はカッコいい。けど髪型がカッコ悪い。
逆に、髪型はカッコいい。けど目の形がカッコ悪い。
そう言った枝分かれが多すぎる。
しかしこれの面白い所は、その人が成長する時期によってカッコいいと思う顔が違うという事。
ポーズや色のイメージはある程度、人生の中で共通ですが顔に関しては違います。
僕も学生の頃は、ジャニーズ系の顔立ちがカッコいいと思っていましたが、今は綾野剛や川上洋平、菅田将暉のような顔がかっこいいと思っています。
話が逸れました。
まとめると、結局人は好みの顔以外ではある程度のカッコいいに対して共通認識がある事。
今回の要望はカッコいい風に撮って欲しい。
この子には1歳の妹がいて、すでにお店にきた時から眠くてすぐにでも寝る段階でした。
普段はメインの子、主人公の彼から着物を着て撮影するのですが今回ばかりは妹の状態もあるので撮影順を変えて兄弟から取り始めました。
しかし、駄々をこねずこちらからのお願いをきちんとこなしてくれるお兄ちゃん。
結局、着物の撮影は最後になりました。
そんなお兄ちゃんからの要望。絶対に叶えなくてはいけません。
笑顔や黄昏ている顔、そのカットはこのシーンの前半ですでに撮ることが出来ました。
あとは彼からの要望を叶える。それだけです。
今回、僕が要望を応えるために作った、演出したポイントが4つあります。
一つ目、色。
この世界には色が沢山あります。木の葉っぱの緑や、空の青、西日のオレンジなど様々な色にあふれています。
素晴らしく綺麗で繊細です。
しかしそれは時として、凶器になります。今回はイメージとして牙をむいてきました。
色のイメージというものがあります。
赤は情熱、青は冷たいなどのイメージ。今回はそういうものは求めていません。
ただカッコいい。それだけ。
だから、なくします。
それを無くすとなると必然的にモノクロ写真の選択になります。
これは逆に無くすだけでなく、その写真を少ない色で構成することによって写真の構図や被写体にグッと目がいくようになり相乗効果を与えてくれます。
さらにモノクロ写真のいいところは、黒と白だけではなくその間のグレーがあること。
そのグレーへの階調が僕が見せたかった色なのです。
白だけでは、透明感なイメージになりますが、そこに黒と濃いグレーや薄いグレーがあることにより、カッコいいというイメージに変わるのです。
二つ目、ポージング。
カッコいいというポージング。それは沢山あります。腕を組む、睨みつける、脚を組むなど様々です。
今回は、壁に背をつけ座ってもらいました。さらに足を曲げてもらう。
これでもそこそこカッコいいです。でもカッコいいポイントは80ポイントくらい。
さらにあげるにはここでプラスアルファの何かが必要です。
今回の場合は目を帽子で隠すこと。これはカッコいい。
目を隠すことによって表情が見えなくなる。
そうすることによってかっこいいというイメージに誘導します
今回は被っていたハットの前のツバの部分を指であげてもらいました。
コーディからのナイスな指示。
ここでの重要なポイントは「指」です。帽子で目を隠すにも色々な隠すがあります。
例えば両手で帽子のツバを持って目隠すとします。
そうすると、おそらくカッコいいイメージよりかは、カワイイイメージになると思います。
今回のイメージはカッコいいですのでそれは違いますね。
では、カッコいいポーズの片手でツバを持って目を隠してもらうとします。
ここで問題が発生します。
それは、被写体が大人じゃなく子供ということ。
大人の場合はミリ単位での調整が可能です。
しかし今回の被写体はまだ5歳、ここで近づいて精密にポーズをつけようとすればするほとんど不自然になって行きます。
しかし過去の経験から、指で上げようとすると大抵どちらかに滑り落ちることが予想できました。
そこで落ちる瞬間を待ち構えていれば手の動きも出しつつ目を隠せる。
思惑通り、カメラ側に滑ってきたので目にかかる瞬間にシャッターを切りました。
そこに不自然さがなく自然だからこそカッコいい。
これで100カッコいいポイントです。
三つ目、光
これを撮影した時間は西日が綺麗に入る午後の終わり。
太陽が地平線に近ずくにつれ光を強めて窓から入り込んでいました。
被写体が座っている場所は丁度、窓からの光がスポットライト的に入り込んでいる場所です。
今回の場合、画面左側から強い光が来ています。
このままでは、顔に光が来て順光になってしまいます。
なぜ順光がダメなのか。
実は順光がダメなわけではありません。
順光というのは顔に対して正面から光がくる事ですがそうすることにより顔がのっぺりしてしまいます。
使いどころではすごく効果的な光になります。
しかし、逆を言えば、間違えるとすごく写真のクオリティを下げることになります。
簡単にいうと難しい光。
今回の場合、順光にすると間違えた選択になり写真のクオリティを大幅に下げることになります。
それを防ぐために先ほどのポージングのところででた帽子での顔を隠す動作です。
そうすることによりポージングでのカッコよさだけでなく、顔に綺麗なグラデーションができ黒から薄いグレーへの階調のカッコよさも付けることが出来るのです。
さらに窓枠に格子がついておりその横に一直線の影も被写体に被せ、たくさん縦の線がある中、太めの横線をいれアクセントにしました。
西日という強く硬い光だからこそカッコよく演出できるというわけです。
四つ目、前ボケと小物
前ボケには遠近感を出したり、画面を明るくしたり、暗くする効果があります。
しかし今回は、違う使い方をしました。
確かに遠近感を出すためにも使っていますが、本当の理由は違います。
それは、画面内の色を比率、黒を多めにするためです。
前ボケで隠しているこの壁は白が多く、普通に撮ると白から薄いグレーの比率がものすごく増えます。今回僕の頭の中のイメージは黒から濃いグレーが多いタイプのモノクロでしたので前ボケを黒を増やすために使用。
さらに被写体の右側が黒い事で光が当たって明るい被写体に目がいくという誘導もしています。
隠したことによる画面内の色(グレースケール)の比率がこちらです。
隠すことにより、黒や濃いグレーへの比率が増えイメージ通りに撮ることができました。
それと小物。
和装といえば傘。これを後ろに配置することによって遠近感が出ます。
不自然な小物ではなく、マッチする小物を選ぶのも重要です。
ここで傘を閉じて配置するとします。
そうすると、主張がなさすぎてあってもなくても変わりません。
開くことによって存在感が出ますので、イメージ通りです。
さらに開くことにより、曲線が生まれます。
硬い縦の線が多い中、先ほどあげた横一直線の影や、傘の緩い曲線を入れることにより、画面に変化をつけることができます。
これはコーディが配置してくれました。
僕が撮りたいイメージがコーディもわかっていてくれているという事。
一緒に撮影を作っている感じが素敵。
本当にありがたいです。
遠くから来ていたり、時間を割いて来て頂いているお客様のために僕らが全力で、今持っている技術全てを出して答えてあげたい。
そのためには日々の勉強や分析が大事です。
次来られた時に、前回よりも上手く。さらにその次にはそれよりももっと上手く。
写真には終わりがない。
だから好きです。
モニター中の様子は見れなかったけど「かっこいい」の一言があったらいいな。
仮面ライダーや戦隊ヒーローには変身していないけど、それに勝るとも劣らないと思ってくれるといいな。
今日の撮影をこれからも覚えていてくれるといいな。
これからも僕の全力全開で答えて行きたいと思います。
【 EF70-200mm F2.8L IS II USM 】
SS:1/400
絞り:f2.8
焦点距離:75mm
ISO:1000
photo by Nihei
coordinate by Iku
written by Nihei
Mito
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