普段は逆光を活かしてふんわりと優しい世界観を描くことが多いのですが、
今回は少し趣向を変え、「大人っぽく、しっとりとした空気感」を意識して撮影しました。

トーンは全体的にやや落ち着かせつつも、
被写体の表情だけは決して暗くならないよう、反逆光で柔らかく照らしています。
左側から差し込む自然光は窓から入り込んだもので、背景に回り込み壁や床に反射し、
シーン全体にやさしい明るさと奥行きを与えています。

今回、逆光ではないにもかかわらず、どこか霞がかったような幻想的な雰囲気が生まれたのは、「前ボケ」を意図的に全面へ入れたためです。部分的な効果ではなく、画面全体を薄く包み込むように配置したことで、光と空気が溶け合うような柔らかさが生まれ、しっとりとした印象の中に静けさと深みを感じる一枚になりました。

 

今回、彼女とお会いするのは2回目でした。
お姉ちゃんと一緒の4人家族で、前回は少し緊張していた様子が印象に残っています。
お姉ちゃんの後ろに隠れながら、笑うのも遊ぶのもまずはお姉ちゃんの様子を見てから。ひとりで撮影する場面では「いやだ…」とパパとママの元へ駆け寄ってしまう姿もありました。

そんな彼女が、今年はまるで別人のようでした。
お店に入ってきた瞬間から、ずっとおしゃべりが止まらず、最初こそお姉ちゃんの様子を見て“ここは安全な場所”と確認してからではありましたが、その後はぐんぐんと距離を縮めてくれました。

「しりませ〜ん！」「おしえませ〜ん！」「朝ごはんはパンでした〜！」と、にこにこの笑顔で答えてくれるその姿は本当に愛らしく、お部屋中が彼女の笑い声で満たされていました。この一年で、こんなにも明るく、たくましく成長したのかと驚かされるばかりです。

だからこそ、今回はあった時の彼女とは正反対な姿、あえて“しっとりとした表情”を残しておきたいと思いました。
明るさの中にある彼女の優しさや内面の成長が、写真を通して少しでも伝われば嬉しいです。

また次にお会いできる日を、心から楽しみにしています。

 

photo＆write：Nana Tokumasu
codi： GomeiKazuma