Photogenic
下関店
タイムマシーン
投稿日:2019/12/20
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もしも
タイムマシーンがあって過去でも未来でも1分間だけ行くことができたら、何をする?
そう聞かれてしばらく考えました。
過去
やり直したいことはいくつか浮かぶし
会いたくてももう会えない人にも会いたい。
1分。1分だけだとしたら。
自分の答えとして出てきたのは、
「75歳の自分が笑って元気に生きてるか確認しに行く」でした。
ここで出会っているこどもたちがどんな風に大人になって、それと同時にこの世界がどんな風になっていくのかを見届けたいから、できる限り元気で生きていたいけど、そもそも社会や世界は大丈夫なのか色々考えると心配になるような毎日があるからこそ、1分だけでもいいから確認しに行きたいなぁなんて思っていました。
その質問をしてくれたこのお父さんの答えはすでに決まっていました。
「タイムマシーンがあったら長男の1歳の時に戻って1分間抱きしめたい」と。
人見知りがひどくてきっと写真を撮りに行っても泣いてしまうから1歳の写真は撮らなかったということ、2歳の記念で旅行がてら関東のライフスタジオまで行こうと予約を取ろうと思ってたらまさかの下関にできるって知って2歳になるちょっと前だけど1番に行こうと思って、そう言って来てくださった下関店第1号のファミリー。
この冬で2015年から撮影をして10回目、2歳前だったお兄ちゃんはランドセル姿になっていて、何度も何度も、お父さんはその姿を見て「おおきくなったなぁ…」と呟いていた撮影時間でした。
10回目の撮影を終えて、10回記念&忘年会を兼ねてみんなで大好きなお店に行ってこのタイムマシーンの話になりました。
どれだけ戻りたくても時間は戻らないからなーって、でも1回でいいからあの頃の小さな姿に会いたいなーって、お父さんはずーっと言ってました。
「〇〇(次男)の赤ちゃん時代は2回目のタイムマシーンで会いに行くからね!待ってて!!」
そんな話をするお父さんとわたしの目の前で「タイムマシーンなんてないんだよ!!!!」と超現実的な長男6歳。
、、、あぁ、今を生きてるねぇ。
戻りたい時間とか6歳にはまだないのかなぁ、
大人よりオトナだねぇ、、、としみじみ。
(モリモリがっつく息子たちを見ながら)食費がすごいことになりそうだから、来年からは撮影1年に1回かな〜とも話していて、20回目は何歳になってるのかな、1年に1回順調に来れたら16歳か、、、その頃にはもう背はお母さん追い越してるよね、と想像しつつ、あと何回この場所でこうして写真を残せるんだろうとも考えました。
ただ写真としての写真を残すというよりは、もう二度と戻らない時間を止めて残している感覚があります。
それが写真館としての大切な役割でもあると考えます。
それは10回分の写真を見返しながら改めて感じたことでもあって、10回とも試行錯誤をして、10回とも成長や変化があって、過ぎ去った中にも10回分のそれぞれの記憶があるからこそ、もうその10回は11回目以降に写らないものもあるから、1回1回が全部大切なもの。
戻りたくても戻れない時間に戻れるような写真でありたい。それはある意味でタイムマシーンになる。
だからこそ必要なものは、限りなくシンプルに存在としての感度を閉じ込めること。
それを75カットの中で組み合わせながらどういう風に工夫しながら表現するのかが2019年の下半期の自分の中での課題設定のひとつでもあり、繰り返し考え続けて敢えてモノクロ写真での追求をしてきました。
同じシチュエーションでそれぞれの家族の姿を撮っても、繊細なくらい全てが違ってくる。
その瞬間瞬間を、引き出しながら見逃さず、未来から戻ってきた時にも思い出せるヒントを残すこと。
指がこんがらがってるピースも、耳たぶを触るクセも、力が意外に強くて少し痛いことも、そんなお父さんを笑って見守る顔も、そしてこれがうちの男たちだな、ってお母さんの視点としての1枚になりながらも、きっといつか見返せば、お父さんの膝に座った重さも、懐に収まるサイズ感も、小さな小さな手も信じられないくらい懐かしくなる日が来るのだと思います。
何を今、どう残せるのか。
またね、と言うのにはいつも責任を感じて、本当にまた会えることは実はすごく奇跡的なことのように思います。
お互いがまたこの場所で再会できている、というのは、お互いに今、ここにいるから。
75歳の自分が未来にいてもいなくても、いつでも大切な時間に戻れる写真があれば大丈夫。
それは過去に囚われるものでなくて、進んでいけるたいせつな気持ちにつながるような気がしています。
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