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映画「万引き家族」

投稿日:2018/7/11

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【あらすじ】 

 東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝(樹木希林)の年金を目当てに、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子(佐々木みゆ)を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。 

 「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。2018年・第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、最高賞のパルムドールを受賞した。 

 

【感想】 

 家族の定義は何だろうと考えさせられる映画だった。 

 是枝裕和監督の映画が好きで同じ映画を何度も見てしまう作品が多い。エンターテイメント性の強い映画も好きだが、ドキュメンタリー性の強いリアルな現実味のある映画が私は好きだ。映画を見れば、とにかく考えざるを得ない状態になってしまう。 

 家族の定義。血の繋がり、共に過ごす時間、思い出の共有。作品を見るまでこんな感じかなぁとイメージしていたが、この映画を見てそこに一つ付け加わった。 

「安心できる空間」 

 劇中に出て来る家族は誰一人血縁関係がない。他人同士が一つ屋根の下家族のように生活している。共に過ごしたであろう時間は1年もあるだろうか。過去の生い立ちも知らない。しかし、私には家族に見えた。むしろそれを否定する人たちが間違っているのではないかとすら思うぐらいに彼らは家族だった。本当の家族とは過去に悲しい思い出を持ちながら、家族というものに傷ついた人たちが他人同士集まり家族を作る。実の親から虐待され一緒に住むようになった少女。その心が豊かになっていく様を台詞ではなく絶妙な演技で表現されている。そんな少女を実の妹のように守ろうとする少年の気持ちの変化。安心できる空間に彼らは身を置くことで、自分らしさ、家族の中での役割、誰かを愛おしく思うことを学んでいく。 

 ある事件をきっかけにそんな家族はバラバラになる。社会の常識、制度、ルールにより安心できる空間は壊されることになる。しかし、それぞれの心に共に過ごした思い出は強く残るのだろう。これからの人生で何があっても、偽物の家族で過ごした幸せな時間が生き続ける糧となるように感じた。長い人生の中で、ほんの少しでも幸せだったと思える記憶があることは、人間にとって大切だと思う。それだけで生き続けられるとすら思う。私が毎日撮影している写真も、そんな記憶を忘れないよう記録していることになると思っている。写真は記憶よりも鮮明に残る。だからこそ、私の仕事は手が抜けられないと思っている。 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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