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大阪1号店
映画「友罪」
投稿日:2018/5/31
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エンドロールが終わってもなかなか席を立てませんでした。
最後に生田斗真演じる益田のモノローグにこの映画が伝えたいことが集約されているように思います。
これから見る方は、いろんな話が同時に進んでいくのでこんがらがるかも。ぜひ「友罪」公式HPのストーリーを読んでから行かれるといいと思います。
*この読書感想文は、映画の内容が出てきます。知りたくない方は映画を見てから読んで見てください。
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【あらすじ】
ある町工場で働き始めた元週刊誌ジャーナリストの益田(生田斗真)と、他人との交流を頑なに避ける鈴木(瑛太)。共通点が何も無かった2人だが、同じ寮で暮らすうちに少しずつ友情を育ててゆく。そんな折、彼らが住む町の近くで児童殺人事件が発生。世間では17年前に日本中を震撼させた凶悪事件との類似性が指摘される。当時14歳だった犯人の少年Aはすでに出所しており、その後の行方を知る者は少ない。果たして今回の事件も彼による犯行なのか…。驚きと疑問に突き動かされ、ネットに拡散していた少年Aの写真を見た益田は愕然とする。そこに写っていたのは、まだ幼さが残る鈴木の姿だった…。
【感想】
瑛太の演技が上手い。この役ような、過去を背負った謎めいた役を演じさせれば右に出る者はいないのではないかと思う。(誰目線(^-^;て感じですが)
この映画は、同じ時間に同時に2つ話が流れている。益田と鈴木の話と息子の事故により今も謝罪の日々を送るタクシードライバー山内(佐藤浩市)の話。細かく分ければ、少年Aの更生に入れ込み過ぎて実の子の妊娠に気付かずにいた白石(富田靖子)の話など。「罪」と向き合う色んな人たちを通して、いろんな角度から考えさせられる構成になっている。
凶悪犯罪に興味があり、この本の題材となった「神戸児童殺傷事件」の加害者である少年Aが書いたとされる手記を読んだ。私の感想としては、少年Aはまだ更生したとは思えず、どこかで生活していると考えると不安だ。映画の中で、夜の公園で益田が鈴木に言った言葉「やっぱり自分の事しか考えてないんだよ。被害に合った子ども、その家族に対しては何も感じないのか?」と。同感。少年Aは更生したと言われている今もなお、本を出して多くの人に自分を理解してほしい、関心を持ってほしいと思っている。再び事件を掘り起こし被害者遺族の気持ちを考えていないと感じる行動。自分の事しか考えていない彼は何がしたかったのだろう。このあと映画では鈴木は絞り出すようにこういった。「死んだ方がいいと思った。けど、どうしようもなく生きたいんだよ。」この言葉にハッとした。確かに、人は生き続けなければならないと私は考える。何があろうと、自分で命を経つことは許されない事だ。生きたいんだという彼の言葉に人間の本質を見た。
罪を犯したものは、幸せになってはいけないのではなく、罪を犯したものとしてその罪を忘れてはいけないのだ。劇中に出てくるこの言葉は、佐藤浩市が演じる山内に当てはまる。長年、なんども頭を下げにくる山下に対して遺族は「自己満足に過ぎないんだよ」と言い放つ。息子の罪をつぐなう為、時間とともに頭を下げることに慣れきってしまっていた。不幸でいることが、罪をつぐなうことだと信じている。子供を持ち結婚して幸せになろうとする息子に、幸せになってはいけないんだと言い放つ。罪の償い方に何が正しいとかないのかもしれない。幸せを感じてもいい、笑ってもいい、忘れてはいけないのは、犯してしまった罪を踏まえて、これから自分はそう生きていくか考え続けるということではないだろうか。
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