男の子、２人、同じ服、同じメガネ、同じ帽子、腰掛ける…………

 

写真から伝わって来る情報は、彼ら２人の個性を表すにはあまりに少ない。

だからこそこの写真を見た人は考える、どんな関係でどんな２人なのだろうと。

 

 

写真から色を抜き去ると陰影だけが残る。

そこは白と黒の世界。

カラー写真では、色と形が表現される分、現実を忠実に再現するという意味で具体的である。

モノクロ写真では、色と形のうち、色がなくなる分、ストレートに写っているそれそのものに目を向けさせる力がある。

 

モノクロ写真を実際に見ると、カラーの世界で生きている私たち誰もが、足りない情報を頭のなかで埋める作業を始める。色の情報が少ないだけで、頭の中に豊かなイマジネーションが広がるのである。

引き込む写真、それが、モノクロ写真。

 

 

「らしさ」を撮影することに集中しているライフスタジオ。

それを隠すとどうなるのかやってみたくなった。

隠すことで、彼らのことが気になり、仕草、表情、写っている全てに神経を巡らせ、足りない情報を集めていくだろう。どんな性格で、何が好きなんだろうと考え出してしまう。

 

 

最終的には、他の74枚の写真が見たくなり、このモノクロ写真が本当の彼らの姿に出会えるきっかけになる1枚になった。

 

 

この写真は、「らしさ」を隠すことで、一番伝えたいことが伝わる写真ということになる。