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大宮店
memories No.92 もうひとりの私
投稿日:2021/8/31
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爽やかな青いシャツの制服を着て玄関の扉を開ける。
そこには、可愛らしい小柄な少女が立っていた。
部活で、焼けた小麦色の肌。
まだ幼さを感じる、少女の笑顔。
しかし、最初の第一印象から、最後の撮影シーンの頃には
彼女の印象はがらりと変わった。
人はこんなにも変われるのか。
撮影の時間は限られている。
その中で、いくつその子の事を知ることができるだろうか?
好きな食べ物、色、最近はまっている事、習い事は何をやっているのか。
表向きの事は、大抵の質問で知る事ができる。
しかし、本来のその子「らしさ」を知るには、撮影の空間自体に「空白の時間」をつくる事が必要だと思う。
一方的に、カメラマンやコーディネーターが話しかけていては、本当の「らしさ」は引き出せないのではないだろうか。
では、撮影空間の「空白」とは何なのか?
一つは、「待ってみる」
もう一つは、「ゆだねてみる」
私は撮影中、静かな時間が流れても良いと思う。
むしろ、その子らしさが表れるときは、こちらから余計な事は言わない方がいいと思っている。
だからと言って、カメラマンやコーディネーターが何もしなくてもいいのか?と言うと、そうではない。
全てをゆだねるのではなく、適切な環境を準備し、その空間の中で「空白の時間」をつくるのだ。
そして、カメラマンとコーディネーター2人で最後のエッセンスを加える。
この写真は、彼女の淡い色気を感じる瞬間だった。
1着目 中学校の制服で入学記念
2着目 可愛らしい秋色カジュアル衣装
3着目 大人っぽいカジュアル衣装
最初の打ち合わせの際、ママさんから「今迄、可愛らしい写真は沢山撮ってきた。中学校に上がり、ちょっと大人っぽい所も見てみたい」との事。
そのワードを聞いた、コーディネーターのうっちゃんは、このレザージャケットと白いスキニーの大人っぽい衣装を提案し、彼女もその衣装を着てみたいと選んでくれました。
3シーン目、白いスキニーに足を通し、レザージャケットを肩にかけた彼女は、明らかに1シーン目や2シーン目とは違う表情をしていました。
よく、「スイッチ」が入ったね。と言いますが、正にスイッチが入った瞬間を目の当たりにしました。
では、彼女の淡い色気を表すにはどうしたらいいのか?
ママさんが言っていた、大人っぽい一面を表すには、どう表現したらいいのか?
私は、今までの明るい雰囲気から一転、ブルーとシルバーの暗いインテリアに彼女を連れていきました。
そこで、ソファーに彼女を座らせブーツを渡します。
ただ、「履いて欲しい」とだけ伝えます。
最初は何も言いません。しかし、履いてもらている途中ある言葉を思い出しました。
それは以前、靴を履いている女の子の写真を見た時、すーさんに「かかとを上げるともっと女性らしい曲線ができるよね」とアドバイスをして下さった言葉です。
私は、最後のエッセンスとして「かかとの方に…」と伝えると彼女は、かかとを上げてチラッと見つめてくれました。
その仕草と、うつむいた真剣な彼女の表情にに思わず「きれい…」と呟きました。
彼女の美しさを際立たせるために、望遠カメラで圧縮し、彼女を引き立つように意識しました。
また、部屋の灯りは、淡い色っぽさを演出するために、背景にオレンジライトをポイントとして置きます。
更に、彼女の巻かれた髪、レザーのジャケットの質感を際立たせるために、ボックスライトをメインに使用しました。
彼女の新たな一面を引き出す衣装提案をしてくれた、コーディネーターのうっちゃんありがとうございました。
そして、様々な姿を見せてくれた彼女とママさんに、素敵な時間をありがとうと伝えたいです。
また数年後、今はまだ大きい制服が馴染んだ頃、お会いできる日を楽しみにしております。
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