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京都桂店
Photo: 縦いっぱい
投稿日:2013/6/7
630 4
Yokohama Photo
Photo by Kudo
Cordi by Kaori
ISO 500
焦点距離 130mm
シャッタースピード 1/160
絞り値 f2.8
“縦いっぱいの写真。”
初夏の光が気持ちの良い午後。
この4月から小学生になった彼は、初々しいが少し大人びた表情をする。
時折見せる笑顔に、まだまだ無邪気な幼さを残すものの…。
この日は清々しい晴天で、光が気持ち良かった。
だから、この場所を選んだ。
柔らかな逆光の入る、木の大きな扉がある窓。
この時期は背が高く生い茂る緑が抜けて美しい。
木の部屋の質感が赤い光を生み出し、素朴で懐かしい夏のイメージが作り出される場所だ。
彼が持つ大人びた雰囲気を演出するには…。
まずは静の写真を撮ろうと思った。
真っ直ぐなものは真っ直ぐに撮る。扉・壁のラインを揃える。そして、その子のアイレベルで撮ること。
彼の正面から撮るのではなく、45°の位置で構える。そうすることで、光が半逆光になり、さらに柔らかく適度な強さの光を彼に当てることができる。私が優しく柔らかい光が好きな理由としては、人間の内面的な温かさを表現できるからかもしれないからだ。
また、彼から向かって45°の位置でカメラを構えることで、窓の抜けの緑が綺麗に入り、彼の初々しい心を表現したかった。
このポージングは「かかとを見て」と指示をするお馴染みのものだが、彼には扉を押さえながら、帽子を胸に抱えてもらいながら、かかとを見てもらった。そうすることで、自然に左膝を曲げ、左のかかとを見ると思ったからだ。
かかとの見方は基本的にその子に任せる。彼のように体を後ろに捻り見る子もいれば、左足を持ち上げて上体を前に曲げて見る子もいる。動きにシンプルな指示を出して、その動きは自由にさせてその子らしさを引き出したい。彼も彼らしい動きをしてくれた。結果、綺麗な体のラインになった。
あとは画角の調整だ。
空間を広く取るよりも、頭と足を少し切った縦いっぱいの写真を撮る。そうすることで、彼の動作・表情にフォーカスが行く。彼の世界を表現することができる。
また、画角と距離を圧縮した写真を撮るために、望遠レンズで100mm以上の焦点距離が適切だと思った。そうすることで画角に余分なものを入れず、窓抜けの緑との距離が圧縮でき、さらに彼に目が行くようになる。
コーディネートも、彼の大人びた雰囲気を出すのにとても重要だ。
シャツにグレーのベストとストール・ハット。そして、ベージュのハーフパンツにトレッキングシューズ。グレーとベージュのアースカラーに爽やかな白シャツが、落ち着いた雰囲気を演出している。ハーフパンツを敢えて履かせることで、大人びた雰囲気の中に、あどけなさを残している。
緊張しながらも楽しんでくれた彼は、だんだんと彼の雰囲気を出してくれていた。この写真は、彼を表す要素の一枚に過ぎないが、彼という存在を縦いっぱいの写真に圧縮したものだと思う。
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