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京都桂店
Cチーム写真分析 11月
投稿日:2012/11/5
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空間」を撮影するということは、インテリアはもちろん、そこにいるこどもの雰囲気をも表現するということだと思う。
その「空間」をどう表現するのか。
カメラマンが写真で表現したい世界を、インテリア・光をどう操作し、こどもをどう動かすのか(またはどういう動作をとらえるのか)が、重要になってくる。
この写真は、まさにカメラマンの世界観を表現しようとする徹底的なこだわりがみえる一枚だと思う。
インテリア・空間:
がらんどうの部屋、窓の外には紅葉が見える。
服装・遠い太陽光・窓から見える紅葉、このことからこの空間は秋か初冬の季節を匂わせることができる。
通常ならば、このおもちゃ部屋には写真右側にレコードボックスや棚があり、もう少し空間が詰まった感じになる。
この写真の場合は敢えて小物や余計なインテリアを排除している。
あるのは奥壁側のLIFEのプレートのみである。
余計な物を排除することによって、この姉弟の表情や仕草・関係性に、よりフォーカスする効果がある。
素朴なウッド調の部屋に、無造作に座り遊ぶ姉弟。素朴でこどもらしい印象を与えるインテリアと空間。夕暮れのログハウスの中、二人で居るということ。
それ以外何も必要がないという撮影者の意図が読み取れる。
光:
正面窓から入る自然光が向かいあう姉弟の顔の輪郭を浮き上がらせるように照らしている。
右側にも窓があり、斜め後ろからのサイド光が弟の背中、姉の鼻筋を照らし出している。
窓からの逆光のみかと思いきや、奥側の壁がグラデーションになっていることから、窓側のフットライトが点いていることがわかる。
撮影した時間は昼の12時過ぎといえども、11月下旬の太陽が遠い時期、しかも曇天。この条件で、天井のライトを消してライトボックスも入れず、自然光のみで撮影するとなると、かなり暗くなる。
この写真は、その暗くなる要素を逆手にとり、インテリアとこどもの顔の輪郭を浮き上がらせる為だけの弱い光をひとつだけ作り、微妙に暗すぎない様に、だが影の部分を活かして夕暮れに姉弟が遊んでいるという輪郭を写しだしているものである。
奥のフットライトから作り出された光のグラデーションがまるで暖炉の明かりのように見え、インテリアがほとんどなく寂しくなりがちな空間を温かい雰囲気にしている。
欲を言うと、左側女の子の背中と髪の輪郭を光で表せればもっときれいだなと思うが、実践してみた結果、ライトボックスを入れたり、左側の扉を開けて光を入れると、明るすぎて中途半端な雰囲気になったり、奥の壁の光のグラデーションが崩れてしまう為、この明るさがベストであるという結論に至った。
一見、暗すぎる写真には見えるが、冬の寒そうな空気の中に火の光の様に浮き上がる光の前で遊ぶ姉弟を温かな雰囲気で表現した、光と影の絶妙なバランスが取れている写真である。
構図・レンズワーク・関係性:
画面左下に二人の子ども、規則的な段違いのリズムが刻まれた窓、そしてLIFEの文字。
構図はとてもシンプル。整理整頓された写真である。
この整然とした構図のポイントは、縦と横を真っすぐ写すことである。
この写真のレンズミリ数は66mm。
レンズは必ず50mm以上を使用し、歪みをほとんど出さないで撮る。
またカメラマンの視点は子どもの目線の高さと同じ位置にある。この視点がやや煽りになっても俯瞰になっても空間に歪みが生じる。
画面の隅から隅まで、カメラマンの甘えが一切ない、ストイックなまでのこだわりが徹底されている一枚だと思う。
また、ここに姉弟二人がいるということも構図を作る上で大切な要素である。
例えば一人だけだったらどうだろう。
この空間に一人だけだと寂しすぎてしまうし、この写真が持っているストーリーが分かりづらい。写真の意図も変わってくる。
一人の写真ならもっとインテリアを置き、光も明るく作るだろう。
ここでは姉弟二人がいるということが重要だ。
シンプルでうす暗く光が限定された空間の中、姉弟二人がなにかを話している。
面倒見の良さそうなお姉ちゃん。真っすぐ姉を見つめる瞳から、きっと弟はお姉ちゃんのことが大好きなのだろうなという関係性が想像できる。
その関係性を持った二人を見守る様な温かな光と、それを主観的ではなく客観的に写し出した構図。これらが組み合わさってこの一枚の絵画の様な写真は、この「空間」は、完成するのだと思う。
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