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『7つの習慣ー人格主義の回復ー』で読み・書き・討論する vol.2

投稿日:2020/5/24

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習慣の重要性

7つの習慣の本は、その名の通り「習慣」という言葉が重要になってきます。ここでは、習慣が人格を作ると言っています。それは、日々日常の積み重ねた姿がその人そのものを表すということになり、決して現象のみを変えるhow toとは違うということの表れということですね。

習慣の重要性は、例えば掃除一つをとってもそうかもしれません。誰に言われなくても朝早く来て掃除をする人は、その理由がただ「その日一日を丁寧に過ごすため」と思って掃除をしていたとしても、周囲から尊敬のまなざしを集めることでしょう。誰もその姿を馬鹿にする人はいないでしょう。毎朝早く来て掃除をするという行為が、その人の人格を形成しているのです。これはhow to本で「人から好かれるためには、誰よりも早く来て掃除をしてみよう!」と書いてあったとして、それを毎朝できる人はいないでしょう。そして、how to本だと目的が「人から好かれるため」なので、現象として好かれた時点で辞めてしまい、結局はその人自身の人格を表すものではないのではないでしょうか。

私の実経験だと、中学校の頃にソフトボール部に入っていましたが、その時誰に言われるでもなく朝早く来て一人で素振りをしていた頃があったのですね。動機はとにかくバッティングが上手くなりたい・長距離をちゃんと飛ばせるようになりたいと思っていたからで、誰にどう思われるかとかは全く考えていなかったのですが、監督は私のその姿を見ていたので、その姿勢を信頼してくれて4番に選んでくれていました。これは、朝練で素振りをするという習慣が、真面目だという私の人格を形成していたと言えると思います。

そのくらい、人格というものはhow toみたいな対処療法よりもはるかにその人自身を物語るものなのだということです。なので、ここではまず人格を作るということに重点を置いていて、その人格を作る方法が日常の中の積み重ねである習慣ということですね。

私自身、新しい習慣を作るということはなかなかに根気が必要だな~と思ってしまい、腰が引けてしまうのですが、まずは習慣というものがどういったものかという整理が必要になるかと思います。


 

習慣は、「知識」・「スキル」・「意欲」が交わるもの。

習慣の定義とは以下のように本書では書かれています。

・「知識」は、何をするのか(what)、なぜそれをするのか(why)の理論的なパラダイム。

・「スキル」は、どうやってそれをするのか(how)。

・「意欲」は、それをしたい(want to)という気持ちを示す。

習慣にするにはその3つすべてが必要で、それが交わる部分が習慣だということです。つまり、習慣は「なぜそれをするのか」・「何をするのか」という原理原則を知り、「どうやって」それをするのかを考え、その根底には「何かを変えたい」という気持ちがあるからだと言っています。

これも例があったほうがわかりやすいかもしれません。私は入社2年目くらいに、フォトジェニックを取りたいという気持ちがありました。その動機は自己満足的に写真を撮りたくないので、自分が見てもだれが見てもカメラマンとして一定の実力を示すものがフォトジェニックだと当時思っていたからです。そのために、まずは良い写真のエッセンスを知って自分の中に良い写真を撮るための知識や原則を身に付けたかったので、写真の上手い人たちにフィードバックや話をしに時間をいただいたり足を運んで会いに行ったりしていました。また、見る目を鋭く持つために良い写真を日常的に見て、写真分析も当時は相当数書いていました。誰に言われるでもなく、誰にどう思われても、当時はただひたすらそればかりを繰り返していました。その結果、フォトジェニックを取ることができるようになりました。結局、その時に繰り返し行っていた方法は、今でも習慣となっている部分が大きいです。そしてそれを以て、私自身を写真の人と見られることも多くなっていきました。まさに習慣が私の人格を形成したと言えると思います。

ここでは、人間関係にフォーカスを当てて説明されています。結局私たちを取り巻く環境で問題が起こりやすいのは人間関係だからです。自分が意識していなければ、他者がどう思っているかに関心がなく、無意識に人を傷つけそれはやがて他者からのリアクションによって自分自身に帰ってきます。それを人のせいにすることで人間関係にエラーが生じます。自分が変化したいと思わない限りは、その原因がどこにあるかわからないまま、対処療法に走りたくなるでしょう。ただ、原因をきちんと知らない限りは本質的に変わることはないのです。また同じ失敗を繰り返しながら人はひねくれていくでしょう。

だから人格を磨く必要が出てきます。人格を作るのは絶え間ない反省と習慣が必要だとここで何度も述べられています。


 

依存・自立・相互依存の成長の連続体

ここでも7つの習慣はhow toじゃないよ、アプローチだよと述べられています。だからまずは人の成長の原則を知ることが必要だと。ここでいう成長のプロセスは、「依存」・「自立」・「相互依存」です。

「依存」→人は誰しも依存から始まります。子供のころは親の庇護が無ければ生きていけないので、とにかく周囲にいろいろ求めます。パラダイムとしては「あなた」という方向性になります。とにかく自分に力がないので「あなた」に頼りっきりです。「あなた」に何かをしてほしい。「あなた」に変わってほしい。「あなた」のせいだ。だいたい10代くらいの反抗期もこんな感じで反抗しますよね。とにかく親のせいだ、環境のせいだ、過去の経験のせいだ、などなど私も心当たりありすぎる…。親にはとにかくごめんなさいの嵐ですね。でもこれ、大人になってからもそういうパラダイムで物事を見ていることありませんか?

「自立」→心身ともに成長すると一人でできることが多くなります。歩けるようになれば階段にも上りたいし、遠くにも行きたいし、その結果転んだりケガをしたりするかもしれませんがそれは自己責任ですよね。パラダイムは「」へ向かうことです。「自分でできる」という自由と引き換えに「結果を自分で受け止める」ということができるようになります。ライフスタジオで言う責任と権限がそれにあたりそうですね。大人になって経済的自立をすると一人暮らしをするようになり、自分で生計を立て、人生を自分自身で歩むようになってきます。その際に発生する成功も失敗も誰のせいでもなく自分自身の振る舞いや行為の結果物であるということです。大人になるってまずはこういう思考から始まるのかもしれませんね。

「相互依存」→おやおや、自立したのにまた依存ですか?と思ってしまうかもしれませんが、そもそも人は成長しても絶えず依存状態が続いていくわけなんです。地球で生きている以上地球環境に依存して生きていますし、人間として生まれれば社会に依存して生きています。自分で自分の責任が取れたって、責任を取らせてくれる他者の存在が必要なわけで。じゃあなんで「自立」を言うのよって思うかもしれませんが、順序的に「あなた」と対照的な「私」というパラダイムを知らなければ、「私たち」は生まれませんよね。自律しようとする個々の志向の上で相互依存は始めて成り立ちます。それは、ただの依存ではなく、一人ではできることに限界があることを複数人だと成し遂げることが可能だという認識のもとに成り立つことだと思います。例えば、私はカメラマンですが、カメラマンとしての実力を磨こうと日々勉強していますが、撮影においてはコーディネーターの力が無ければ写真のクオリティは上がりません。衣装のコーディネートや雰囲気づくりや関係性の繋ぎなどを円滑かつセンス良く行ってくれることが、カメラマンの立場では手が届かないことだったりもします。そのお互いの本気を以て写真のクオリティが上がります。それはカメラマン一人の力では限界があります。もしそれを、相互依存ではなくただの依存だとしたら最悪の図式になりますね。自分の写真の実力を棚に上げコーディネーターが良くないとか、また逆に自分がコーディネーターとして顧客満足に向かわずに写真が良くないとか、お互いに思っている撮影なんて最悪だと思いませんか?ライフスタジオではカメラマンとコーディネーターの身分の差がないのも相互依存関係が重要だと思われているからです。

ここからわかることは、成長の連続体を身に付けるには、そのパラダイムの自覚と志向性が必要だということです。まず自分が「依存」状態であることを自覚し、「自立」しようと努力をし、「相互依存」関係を認め自分一人ではかなわないことを誰かと一緒に成し遂げること。この連続を繰り返し行っていくことで人は螺旋構造に成長していくということですね。ライフスタジオでは変化発展プログラムと呼ばれるものですが、原則として明記されているのを私は初めて見ました。ただ、この成長を連続させるためには、目的が重要になってきます。「なんのために」が無ければ習慣にしようと思いませんし、無意味に感じてしまうことでしょう。目的が無ければ、いつの間にか自分の中でこういった概念も有耶無耶になってしまうのかもしれませんね。


 

実際に効果性を高めるには

原則と概念はわかりましたね。あとは効果的にこれを使うだけですが、さてここも整理する必要がありそうです。特に私みたいな人には。

P/PCバランスというものが重要だと本書では述べられています。Pは望む結果とPCは結果を生み出す能力ということです。このバランスを保って初めて効果を得ることができると。金の卵を産むガチョウの例でも述べられていましたが、まず望む結果を焦っては生産する能力を失い、能力を守ろうとしすぎれば結果を得ることはできないということですね。金のガチョウの話はもともとP/PCバランスが取れている状態だったので、わざわざ欲に駆られてそのバランスを崩しにかかると良くないという例えの話ですが、では私たちがそのバランスを生み出し保つにはどうしたらいいのでしょうか。そのためには、まず人には3つの資産があることを認識しなければいけないみたいです。

3つの資産は、物的資産・金銭的資産・人的資産です。個人的には人的資産にフォーカスをしたいと思います。物とお金は、読めばわかります。組織において、何よりも重要なのは「人」です。大体組織が失敗するときは「人的」エラーで失敗することが多いと思います。P/PCバランスで見てみると、Pは人が望まれる結果とPCはそれを生み出す人のことですね。教育をしているときに私はよく思い当たります。教育は、難しいものです。教育者が研修生を教えるときに、まずは目標を設定します。それに向かって成長するように道を示していくのですが、人によって考えや成長する速度も違うので望むようなペースで成長しないかもしれません。教育者は焦って叱りを通り越して怒ったりするかもしれません。結果、研修生はやる気を失い、元も子もない状態になるといったことはよくありますし、自分自身心当たりがあって痛い話です。逆もしかりです。研修生は、教育者に寛大でおおらかな人格を求めます。しかし、人も千差万別。違った人格があり違った偉大さがあることに気が付かず、ただ現象だけでやる気をなくし言うことを聞きたくなくなってしまう。結果、教育者から諦められてしまい、教育を受ける機会を逸することになる。もちろん、この場合P/PCバランスが保てないのはお互い様です。なので、組織でうまくやるにはどちらにしろ人格は重要ということになります。

このバランスを保てるhow toはここには無いようですが、認識することで自分自身の行動を見直すきっかけにはなりそうです。ここでは、方法はケースバイケース、人によって千差万別なので、how toは自分なりに形成していくものなんだということになるのかなと思います。重要なのはパラダイムである姿勢と思考、そして自分がどうなりたいかという意思なのかなと思います。

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