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ライフスタジオの企業理念の話 vol.2『美しさを表現し、思い出を記憶する、楽しい遊びの空間を通して、日本の写真文化を変えること。』②
投稿日:2020/4/17
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『思い出を記憶する』
さて、皆さんは今までの人生で一番印象に残っている記憶は何でしょうか?
意外と記憶は曖昧なもので、物質的に何かが残っていないと正確に残っていないことが多いです。私も印象的な言葉はよく記憶に残ってますが、言い回しやニュアンスなど正確にどうだったかというと確かではありません。印象的な記憶というよりは、自分がそう信じたい記憶に改ざんされているのではないかと疑わしくなる時もあります。人間の記憶というのは主観が入りこむので不確かなものが多いです。そしてたくさん忘れていきながら生きていきます。そうしないとストレスなどで頭がパンクしてしまうからだそうです。
しかし、記念品やその当時使っていた道具、動画や写真が残っていれば、記憶は鮮明に残るかもしれません。たとえ、その時の記憶がなかったとしても、物質的証拠であるものがあれば、事実としてその事象が存在していたことになります。例えば、私は15歳くらいまで誕生日に家族みんなで撮った写真があります。誕生日の主役であるこどもが真ん中にいて、ケーキの前でおそらくはセルフタイマーで撮ったであろうフィルムの写真。その時の記憶は、私には無いけれど、事実としてその写真が1歳から15歳まであり、その写真を見ていると、自分はこんな表情で笑っていたんだなとか、父と母も笑顔で写っていたんだなとか、幼い姉弟を見てこんな無邪気な時期があったんだなとか、はっきり憶えていないのになぜか懐かしい気持ちになって少し胸が温かくなります。
それが私の家族の幸せさを表す記憶になります。その写真を見ていると、そういう時期があったと再認識し、私が家族が好きだった記憶も蘇るようです。その写真があるから、私は家族への愛を忘れることなく、実家から離れた今でも家族の絆を感じることができるのだと思います。はっきりとした記憶を脳内だけで残しておくことは困難かもしれませんが、私は写真には脳内の“しおり”のような役割があると、この仕事を始めてからすごく実感します。
写真は、記憶の「インデックス」。
写真哲学の論文を書いていた時に、「インデックス」という言葉をよく目にしました。「インデックス」とは字のごとく、「見出し」や「しおり」という意味があります。写真には事実しか写せないので、そこに写っている中の世界は実際に存在していたことになります。だから写真は特別な媒体になりえます。例えば写真技術がない時代には絵でその事実を描写するしかなかったので、その事実は誇張されがちだったと言います。
先ほど、私が人の記憶は自分が信じたいものしか残らない述べましたが、絵画がまさにそうなのだと思います。人の手によって描かれたものは少なからず人の主観を通しますので、見たいと思うものしか認識できないし、信じたいことしか描くことしかできません。いくら主観を排除しようと思っても、人である限りは主観は排除できないので、事実は人の視点のよって変わります。
その点、写真は撮影者の認識したいものしか写さないということはできても、その場所に実際に存在したものも一緒に写します。人間の知覚では認識していない物質も写ります。なので、そこに写っている場所や状況、人も、その時に実際にあったものです。だからこそ、写真は記憶装置という道具として存在していました。今でも記憶装置であるという面はありますが、カメラの進化と技術次第で撮影者の意図も反映できるようになりました。
シャッターを切る瞬間を選択するのは撮影者ですが、その状況を創り出し、その人がどんな状況でいるのかということを踏まえての上です。そして、その時間は二度と同じ瞬間は来ないからこそ、その瞬間の記憶は唯一無二となります。だからこそ、人はその一瞬に価値を感じ、その瞬間を写真にしたいと思うのかもしれません。その時だけの表情・動き・時間、その時空全てを良い記憶として、写真に撮るということは、時を超えてもなお価値が続くものであると私は信じてます。
ライフスタジオは、この記憶のインデックスを商品としています。だから、ライフスタジオで経験する時間は特別なことにしなければいけません。いつものような家族の表情と、ここだから素直に感情が出せたりすることや、ここしかやってこない瞬間や、ここにいる「人」が撮影するからこそ撮ることのできる写真、それらすべてが大切です。そういった記憶のインデックスを創るには、私たち自身が毎回の撮影をより良くしようとすることが最低条件です。だからこそ、私たち自身が毎回出会うお客様と一緒に過ごす空間と時間を、美しい記憶のインデックスにしようとすることが求められるのかもしれませんね。
今見ても、何十年見ても、胸が温かくなるような写真の価値を創るために…。
To Be Continued…
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