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京都桂店
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Butterfly 001: For Okuya Family 3ヶ月と30回

投稿日:2018/3/24

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3ヶ月と30回。
 
私には、とってもとっても特別な数字。
世の中には数字で計れない素晴らしいものがたくさんあるし、数字はただの結果でしかないのだろうけれど、それでもこの数字は私にとってはこの家族と一緒に過ごしてきた時間と私がライフスタジオでこのご家族のおかげで成長させていただいた足跡の証です。

 
 

このご家族・奥屋家は決まって3ヶ月に一度ライフスタジオに来てくれます。
来てくれる月は3月・6月・9月・12月。ちょうど春・夏・秋・冬。
目的は、一人息子の星空(ほく)ちゃんの成長記録のため。
ほくちゃんは3月生まれなので、3月を始めとしてわずかな成長の変化を噛みしめたいというご両親の願いのため、3ヶ月に一度ライフスタジオに来てくれます。
そして、2018年3月のほくちゃんの誕生日のご来店でちょうどライフスタジオに来てくれた回数が30回を迎えました。
 

まさにライフスタジオの伝説に残るような回数をご来店いただいています。
この驚異的な数字の分だけ奥屋家の皆さんのほくちゃんへの愛情があり、それを見守らせていただいている私たちもその同じ時を過ごさせていただきました。
そんな奥屋家の皆さんと私の物語を少しここに語らせていただければと幸いです。
 
奥屋家が私にとってどんな家族なのか。
私にとってはすごく特別なご家族で、私のカメラマンとしての、そして人間としての成長とともにほくちゃんの成長があるような、そんな感覚を覚えます。
私がライフスタジオでカメラマンとして一線を走り続けようとするモチベーションの根底の一つは、3ヶ月に一度の奥屋家の皆さんとの再会にあるのだと実感しています。
3ヶ月に一度、この家族に会うために予定を入れてどんな姿を見せてくれるのか。
ほくちゃんは学校でどんな子なんだろうとか、でも家では相変わらずなんだろうとか、赤ちゃんの時とは違って羽目を外しすぎてパパとママに叱られてしまうことも多くなっているけれど、ライフスタジオに来るということが彼にとっては楽しみの一つで、私に会うことできっと何かが解放されていくのだろうとか。(笑)
そんなことを思いながら過ごす3ヶ月は、うふふと会う楽しみを噛みしめながら、同時に3ヶ月に一度の出会いを失望させないようにするために、写真に向かう姿勢を改めて引き締める時間です。


 
そんな奥屋家との出会いは、2012年6月。
場所は、今は無き横浜店。山手の閑静な住宅街の高い高い丘の上にあるライフスタジオでした。
その横浜店に、奥屋家が6回目にライフスタジオに来てくれたときのこと。
私は奥屋家とは、初回から一緒に撮影をさせていただいているわけではありませんでした。
2011年3月の東日本大震災があった1週間後に、
「うちの子には今しかないんです。」と切羽詰まったような面持ちでライフスタジオの門を叩いてくれたママ。
ほくちゃんはそのときまだ生後2週間。
そのときの撮影は、古関さんと篠原さんが担当してくれていました。
  
 

 
私はその当時のことを知りません。
ただ、2012年古関さんが退職されたあと一緒に入ってくれた篠原さんからはたくさんのエピソードを聞きました。
生後2週間の撮影の時のほくちゃん、3ヶ月撮影のときに笑って以来そこから毎回の撮影で笑顔が出て「奇跡の子!」なんて異名があること、でも一度男性スタッフの加藤さんが入って笑顔が出なかったこと(笑)。
私はその当時、入社して半年・カメラマンデビューして4ヶ月目の新人でしたが、そのエピソードを本当に幸せそうな顔で話す篠原さんにとって本当に特別なご家族であるというのはすぐに理解できました。
そして同時に緊張しました。こんな特別なご家族を、こんな新人の私が入って邪魔しないのだろうかと。
しかし一度撮影に入ってみると、少し人見知り気味のパパとママは私を見て最初緊張していたようですが、ほくちゃんの笑顔や篠原さんと私の会話を見て安心してくれたようでした。
その撮影のモニターの終わりに「また入ってください」と仰っていただいたことに、驚きもしましたが新人だった私にはとてもありがたいお言葉で、入社して初めての毎回撮影を入らせていただくご家族になりました。
 
 

 
それ以来、3ヶ月に一度の奥屋家の撮影に入らせていただくことになりました。
とはいえ、3ヶ月に一度の撮影は、当時の私には本当に緊張するものでした。
一緒に入る篠原さんにたくさん助けてもらった時期もありました。
回数を重ねるたびに、プレッシャーも募り、「私で本当にいいのか?」なんて思っていました。
 
しかし、ご来店のたびにほくちゃんの成長を写真で見て涙を浮かべ喜び、毎回のように「本当にライフスタジオで、篠原さんと工藤さんでよかった」というママの声に、私はプレッシャーから純粋に奥屋家の皆さんと会うことを、ほくちゃんの成長を楽しみにすることが当然になっていました。

 
いつしか私と篠原さんがペアで入ることが当然になっていて、季節の変化を感じると奥屋家のことを思い出すようになっていました。まるで季節の風物詩のように。
私が2013年の1月から3月までに草加店に勤務していた時も、9月に湘南店に出向していた時も、2015年に埼玉へ異動してからも、3ヶ月に一度の再会を楽しみに、横浜へ向かいます。
それは、奥屋家に呼ばれたからというよりは私がただ純粋に会いたくて。
この3ヶ月に一度の再会が私の異動によって揺らぐタイミングが何回かありましたが、それでも私の意志で奥屋家の撮影に入らせていただいているのはいくつか理由がありました。
 
 
ひとつは、私がライフスタジオに入社してからお世話になって頭が上がらない尊敬する篠原さんとの特別な撮影だから。篠原さんは、私の先輩でした。私とは正反対の部分が多い性格だったので、涙を流してぶつかることもありましたが、ライフスタジオで最も尊敬する先輩の一人です。篠原さんは新人に理論的に教えるというよりは一緒に撮影に入ったりしながら経験的に実感をさせて伝えることが多かったように思います。ライフスタジオで大切にしていることは言葉にすると易しく聞こえますが、実践するとなると人間的に当然のことを当然にできる力と経験を求められるので、人間らしくなかった新人の私には最初は難しかったことを覚えています。そんな私に、篠原さんはライフスタジオの撮影の良さ・自分の意志で人と接する重要さ・大切なお客様と私を繋げることで、たくさんのことを教えてくれました。そんな篠原さんとの撮影に入ることは、ベテランになればなるほど当たり前では無くなってきました。特に埼玉へ異動してからは、篠原さんと撮影に入ることはほとんどなく、奥屋家の撮影は年に何回かある篠原さんとの撮影の貴重な一つとなっていました。お互い、距離が離れれば変化もあり久しぶりに会うとそのことを実感しますが、奥屋家の撮影ではベテランということとか場所が違う・やっていることが違うとか関係なく、純粋にただの「私」とただの「篠原さん」として入ることができるので、私には彼女と入る撮影が貴重であり必要不可欠なものでした。
 
ふたつめは純粋に、私が新人のころから一緒に成長させてもらっているほくちゃんと奥屋家の皆さんに会いたいから。
奥屋家は私が新人から継続して撮影に入らせていただいます。
1歳3か月のほくちゃんの姿は今でも覚えています。ニコニコと笑顔で、人見知りもなく篠原さんが「奇跡の子」と呼んでいるのも納得できるほど、笑顔しか撮れない撮影でした。
そこから3ヶ月ごとにほくちゃんの撮影に入らせていただいて、最初は篠原さんに連れられて入った撮影でしたが、静かなパパさんとママさんから聞くほくちゃんへの想い、今までの成長の過程、幼稚園での様子、おうちでの様子、そんなお話を聞くうちにいつしか私もまるで親戚のように3ヶ月ごとにほくちゃんの成長を見ることが楽しみになっていました。
1歳3ヶ月の、男性が少し怖かった時期のほくちゃん。
5歳の七五三のときに、着物なのにそんなの気にしないで躍動感にあふれたほくちゃん。
 
  

  

  

 
卒園の記念に赤いアカデミックドレスで卒園証書を持ってきてくれたほくちゃん。
小学校へ入学して、ますますパワーアップしていくほくちゃん。
今振り返ってみれば、ほくちゃんは変わっていないようで、劇的に変化している。
だって今は男性スタッフではないと全力で遊ばせてあげられないのではないかというくらい、今が一番エネルギッシュでパワーに溢れているような…。
最近は毎回ほくちゃんはパパとママから叱られていますが、それもまたパパとママからすれば厄介だけどきっと愛おしい時間で、
それはいつもモニターでのパパとママの写真が流れる画面を見つめる愛情に溢れた眼差しからわかります。
きっとパパとママの人生に、ほくちゃんという存在がいること自体が奇跡だったのだということを私も実感する時間。
今は日常に埋もれそうになるけれど、きっとこの二人がライフスタジオに来るのは、私に写真を撮ってもらって写真を皆で見る時間で、
何度もほくちゃんという奇跡を実感するためなんだろうな、なんて勝手に思ったりして。
 
 




  
 
奥屋家の皆さんが私たちに心を許していたと実感する出来事がありました。
篠原さんがライフスタジオを退職したあと、篠原さんとお別れだと思っていた奥屋家の皆さんが越谷店へライフギフトで来てくださったときに、サプライズで私と篠原さんが越谷店へ行き、私たちがいないライフスタジオだとほくちゃんはどうなるのか気になっていたので最初は隠れてほくちゃんの様子を見ていました。
そしたらなんと、いつものドアを開けてからどっひゃーといわんばかりの元気さで入ってくるほくちゃんが、おとなしく大内さんに「こんにちは」とご挨拶をして、背筋を伸ばし椅子に座ったではありませんか!!!
いつもは、座ってと言っても聞かないふりして座らないのに、ここに私たちが知らないほくちゃんがいた!なんて篠原さんと二人で驚きました。(そのあと、二人で奥屋家の皆さんの前に出たらいつもの元気なほくちゃんになりました。笑)
パパもママも、初対面の大内さんにいつもライフスタジオに来てくれる時より幾分緊張の面持ちでした。しかし、私たちが姿を表したらびっくりしたあと途端に涙を浮かべ笑顔になったのが印象的でした。
3ヶ月に一度ライフスタジオへ来てくださることが当たり前だったから気が付かなかったけど、奥屋家の皆さんはほくちゃんの成長記録とともに私たちに会うことで安心できる空間だと思ってくれていたんだ、皆さんも私たちに会うことを楽しみにしてくれていたんだなぁと、と改めて実感したのです。
 
篠原さんが卒業した後も相変わらず、ほくちゃんとパパとママはライフスタジオの来ることを楽しみにしていただいています。
最近は、ほくちゃんも小学生になってきたからか、男性スタッフであるチャッピーがお気に入りです。


 
この間、新横浜店でチャッピーと遊んでいるほくちゃんがこう言いました。
「チャッピーさんとぼくはもう兄弟だね。」
こんなことを言われたら、もうチャッピーがコーディ専属になるしかないですね。(笑)
小学校の作文にもチャッピーと遊んだ時のことを書いてくれたようです。うれしいですね。
しかし、青葉店で撮影したときにご飯時の五明くんがマスター・ゴメラマンとしてジェダイの騎士のほくちゃんに指導をしてくれたのが、ほくちゃんは嬉しかったらしくお家でもご飯時にはママのご飯に「ご飯がおいしくなるフォース」をかけてくれるそうです。
ふりかけみたいですね。青葉店に来たときは、ほくちゃんはゴメラマンを指名したいみたいです。
最近、長年聞けなかったママとやっとLINEでやりとりするようになりました。そして、連絡を取ってきみどりカフェでお茶をしたり、撮影後に撮ったママたちが写真をLINEで送ってくれるようになったりしています。
 
私は3ヶ月に一度、奥屋家の皆さんに会わせてもらっているけれど、当然のようにここにいられる時間が、いつしかライフスタジオにいる時間の中でそれなしでは想像ができないくらいになっていました。
 
それはなんと言うのか、「親戚のような」なんてありきたりの表現では足りないくらいで。
まるで私の人生の時計の中の一部のように、頭の中で私という「存在」を支える一部として、奥屋家の皆さんと一緒にいる時間が在るようなそんな感覚を覚えています。
新人のころ私は今まで勤めていた会社の習慣から抜け出せずにいて、ライフスタジオの撮影も仕事は仕事で自分の人生のとは別だと考えていたのかもしれません。
だけど、奥屋家の皆さんの撮影があるときは、ほくちゃんに会うことを心待ちにしている時間は、そんな時間から解放されていた時間でした。
それはきっとパパとママとほくちゃんが、ライフスタジオの撮影もちゃんと私の人生の一部だって、一緒にいる時間を通して教えてくれていたのかもしれません。
 
  

そう、それは哲学エッセイで言っていた「すべては関連していて、すべては関連していない」を実感したのかもしれません。
人生は、自分の時間も他人の時間もなくてただひとつなぎの時間でしかなくて、そこで起こった出来事は何も無駄なことや無意味なことなんてなかった。だけど、それを意識しなければその時間を断裂させて無かったことにできる。それはもう恐ろしく残酷なことに。
だから、出会いという日常に起こるすべてのことは気が付かなければ零れ落ちるもので、その零れ落ちるものの中に自分の人生を動かすことがあったかもしれない。
 
【それは私自身がその気になればいつでも気付いて繋いでいけるもの。
日常の中で溢れかえる偶然から自分の意志で繋ぐもの。
それが、関係性なんじゃないかと思います。】
 
大切なものは、当然のようにある日常の中に転がっていて、
人生において当たり前の中に溶け込むものこそが、本当は価値があるものなんじゃないかな。
その自然で当たり前にいてくれる存在。
決まって3ヶ月に一度の撮影は、奥屋家のみなさんにとっても、私にとっても大切なもの。
なくてはならないなんて言うほど大げさなものではないのだろうけれど、この撮影がないライフスタジオ
での人生は、私には想像ができないのです。
 
篠原さんが私が新人のころよく口にしていました。
「やってあげたいことは自分自身で決めるんだよ。
会いたかったらまた会えばいいし、仕事だからって気にしないでいい。
撮影の時間っていう枠だって超えていい。
また会いたい人の撮影に入りたかったら、指名なんて待たなくてもまた入ればいい。
その時間を自分で作ればいい。
えこひいきしたっていいじゃない。
だって自分が心から会いたいと願った人は特別に決まっている。」

本当に、その言葉を私は6年かけて噛みしめています。
 
また会うことが当然な人たちに、
また会わないといけない人たちに、
会うことで「私」という存在のひとつの側面を支えてくれる人たちに、
私に会うことを、私が写真を撮ることを、私も一緒にほくちゃんの成長を見守らせてくれることを、心待ちにしてくれる人たちに。
当たり前のようにそこにいてくれる、当たり前のように私との撮影を心待ちにしてくれる人たちに。
なかなか恩返しができない情けない私ですが、文章というささやかな形式で今までの感謝を述べさせていただきました。
 
またこれからも一緒に歴史を紡いでいかせてください^^


※最後にほくちゃんの生後2週間から定番になっている「金太郎」ショットで、ほくちゃんファミリーの歴史と成長を振り返ってみることに(笑)。↓
                       
やっぱりほくちゃんといえばこれですね☆

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