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P.O.P 〜Documentarize your Faith〜:VOLVO

投稿日:2018/2/27

1659 1

Tokorozawa Photo Project
Prove Our Photophilosophy


〜Documentarize your Faith〜:VOLVO

Photo & Text: Satsuki Kudo
Subject: volvo
 
「自分には何もない」
なんて風に、あなたはいつも言うけれど
本当に何もない人が、こんなに強く立ちあがることができるのだろうかといつも思う。
でもその反面、強く見えるようで実はそうでもないことも知っています。
だからこそ、強く立っていられる存在であることを望んでいるのだろうか。
 
「自分には何にもない」
と寂しそうに言うあなたは、何もないという自覚があるからこそ
自らのうちに信念を持とうとしその信念のもとに徹底的に行動をする。
素直ではないから、ある人はあなたのことを「人間らしくない」と言うこともあります。
だけど、私には弱く脆いという自分を自覚して
強く生きようとする「意志」があるあなたのどこが
「人間らしくない」といえるのでしょうか。
 
誰が何と言おうとその理想に向けて善く生きようとする生き方は、
私には誰よりも「人間らしく」見えます。
それを表面化させる必要性もあなたは感じていないと思うけれど、
内に秘める高潔で温かな人間らしさは確かに滲み出ておるから、
あなたの周りには人が絶えないのだと私は思います。
 

まさかこんなに続くとは昨年の6月のP.O.Pを計画したときには思いもしなかった。
意味を持ちながら長く続かせるということが、経験的になかなか難しいということを知っていたので、P.O.Pにも過剰な期待はしていなかったのだが、予想以上に続きとうとうvolvoさんまでたどり着いた。
そこまで続いたのは、所沢店メンバーが着いてきたくれたからだし、
写真人文学という学習を苦とも思わず理解してくれたからだと思う。
そして、volvoさん。私にはこの人の協力がなければ所沢店でP.O.PもNEIGHBORSも、
毎日の運営ですらここまで続いたかという想像すらできない。
それくらい、私には欠かせない大きな存在だ。

 
今回の主題は、簡単に言えば「volvoさんのドキュメンタリー写真を撮る。」ということだが、所沢店メンバーに伝えた意図としては、「今まで1年間店舗を、自分たちを支えてくれたvolvoさんのドキュメンタリー写真=虚構がなく既成概念もなくかつ撮影者の視点から見える真実を撮る」というものだ。
写真とは、どんなに客観的になろうとしても撮影者の視点に依存しなければ写真すら残せないものだから、ドキュメンタリー写真は「虚構がない客観的な写真」と言われるが、それに徹するのは撮影者が人間である限り不可能である。だけど、撮影者が人間だからこそその人が見る真実や機械には撮れない風景や表情、感情が撮れる。
写真人文学の中で「ドキュメンタリー写真はモダニズムの産物」とあった。モダニズムとは固定概念・既成概念からの解放を意味する動きのことだ。
だから、ほかの人の視点や大多数に着せられたvolvoさんのイメージにとらわれず、一年間所沢店メンバー一人一人に深く接してきたそれぞれのvolvoさんの真実と信念を撮ってほしかったのだ。

 
こんな主題を自ら出したのだが、非常に困ったのも私自身だ。(笑)
なにせ、付き合いが長い分情報量が多いしコミュニケーションの量も多い。
多分この文章もすごい量になるかもしれない…。

 
初めて出会ったのは、2012年の6月だったかな。
Mr.LEEの写真教育「Gravure」でのことだった。
初対面は笑顔と声が爽やかな好青年。真面目そうで優しそう。
だけど時にぼそっと面白いことを言ったり、面白いことをさせたり(初対面で卑弥呼様―!をさせられました)、
不思議な人だなと思った。
彼の撮る写真のせいか、最初はどことなく柔らかく女性的な面もあるのかと思った。
しかし、それはすぐに崩された。
2013年9月に横浜青葉店へ配属となったときのことだ。その時の彼の仕事ぶりを間近で見て、
力強く合理的で論理的な思考の持ち主であるということが分かった。
と同時に、無類の面倒くさがりであり、うだうだ悩んで停滞するよりはとにかく考えて複雑なものをシンプルにして動いてみるというような人であるということがわかった。
そんな彼だから、同情や憐れみを他者に見せることは少ない。ほかのメンバーが書いているように、volvoさんは基本的に人の寄り添う人だというイメージがあった。それも、停滞から何かを動き出させるためのアプローチであり甘えさせるものではない。
基本的に彼が信じているのは「人の意志」であり、それはそれぞれの人の内側から出るものだと思っているだろう。だから、volvoさんの外側からのアプローチはその人の内にある意思を揺さぶるためのものであり、volvoさん自身が外から引っ張るためのものではないと考えているだろう。
だけど優しくやわらかで的確にアドバイスをし、人好きに見える彼の笑顔が、彼自身を誤解させることが多いかもしれない。


彼はよくさみしそうにこう言う。
「俺のことをよく知らない人ほど俺と一緒に働きたいって言うけど、俺の内面を知ってしまった人ほど俺と働きたがらない。」
それは、第一印象が良すぎるんだろうなと思う。
だからvolvoさん自身の内にある強さが見えると怖く見えてしまうのだろう。
そんなもの、彼自身のすべてではないというのにも関わらずだ。
4年くらい前まで私も、volvoさんは実は誰よりも厳しいのではないかと思っていた。
今もそれは変わっていないのだが、長く働き楽しいことよりもつらいことや喧嘩もし続けてもなおまだ彼と働きたいと思うのは、
私が彼の信念に非常に共感し信頼できるからだろう。

 
そう、たくさんのつらいことがあってもなお彼と一緒に働きたいと思うのはおそらくは「人柄と働き方から見える誠実な信頼感」と、そして私がライフスタジオで働く上でのハッキリとした現実的な「希望の道」が見えるからだろう。
ライフスタジオは非常にいい会社だ。私の好きな言葉である「理念を燃やし信念に生きよ」が許される会社であり、資本主義社会の常識から抜けられない日本では珍しく人間らしい生き方を見直させてくれる会社だ。
だから、哲学や人文学など概念的な学習が多いが故に、頭では理想がわかっても行動するにはどうしたらいいかわからなくなることもしばしばで、漠然とした思考に陥りやすくなる。行動や結果が伴わない理想論ほど無責任で空虚なものはないだろう。
だから、行動し結果を得るにはどうしたらよいのかを考え、仕事を成していくことが重要なのだが、私も哲学が好きなのでどちらかといえば概念がメインになりやすい人間だ。
だからこそ、一緒にそれを共有し実現してくれる人が必要だった。
それを一緒にできると思った人がvolvoさんだ。
彼と話すと必ず「ではどうする?」という問いが彼から出てくる。その「ではどうする?」という問いは、私が未熟であるがためにたまに喧嘩の火種になる言葉になりえるが(笑)、その実それは私への最大の助けになる。
「ではどうする?」は私の足を地上につけてくれる言葉だし、実際だからこそP.O.PもNEIGHBORSもこうして実行でき、昨年一年間はライフスタジオにいて初めてといえるほど成果が伴い実を結べた実感を得られた。


 
Volvoさんの「写真と人」にあるように、私とvolvoさんは正反対である。
だからこそ、噛み合った時に一人では得られない成果が得られる。
喧嘩もたくさんしているので、volvoさんが私のことを良く思っているのかどうかはわからないが、私にとっては最大の理解者であると言えるのかもしれない。
 
そんなvolvoさんの信念を写真で記録するということは、volvoさんが在りたいと願う姿と私から見たvolvoさんの信念を感じるポイントを写すということだ。
Volvoさんは自らの矛盾をよく自覚している人だ。
自覚している人とそうでない人とは、立ち振る舞いや行動・基準や信念が大きく異なる。
自分の矛盾を自覚している彼は、自分の在りたい姿も自覚している。(少なくとも私にはそう見える)
だから、心を広く優しく打たれ強くあろうとし、他者に向けては特に誠実であろうとする。
輪に入れない人がいれば、ふざけたりいじったりして笑顔で輪に入れようとし、誰か一人でも欠けてはいけないことを知っているから最大限手を差し伸べようとする。
ここ2年くらい、少しずつ自分の矛盾を解決しようとして動いてきた彼は人知れず内的変化を繰り返し、外側に出るくらい変化が見えてきている。
彼は青葉店にいた頃より、今は段違いに大きくそして優しい。
それは表面的ではなく本質的に優しくなりつつある。
「人」を基準に彼自身の存在のまま動いていく姿は、
ライフスタジオの模範となるリーダーの一人となりつつあるのだろうなと私は思う。
少なくとも私には、一番身近にいて一番尊敬できる成長の仕方をする人であると言える。
人の真実とは今のままの姿ではなく、その人がどのような矛盾を抱え、そのように生きてきて、どのように変化していくことで見えることであると考える。
今ある所沢店のvolvoさんでは測れない、ずっと前から努力をして変化をしてきたvolvoさんの中にある「動的」なものが真実である。
彼の変化を見ていると、彼の生きる道の方向性や、生きていく意志がわかる。


 
そして私から見える彼の真実の姿は、「秘めたる炎」である。
物静かで静的なイメージのある彼の変化は内からやってくる。
だから、誰に何を言われても平気だし、それで軸がぶれることはない。
変化するときは、vokvoさん自らが抱える矛盾と信念に向かっているときである。
本人は否定するかもしれないが、かれは常にまっすぐ道を見据えている。
その道に沿って遠回りでも誠実に歩む人。それが、私から見た真実のvolvoさんの姿。

ここ横浜は、volvoさんの地元でもあるが私の地元でもある。
撮影のポイントは、volvoさんを美しく撮るということをベースに.
 
それを表すにはクローズアップだと決めていた。
 
Volvoさんは私に最も写真で影響を与えた人だ。
そのvolvoさんが得意とするクローズアップには、被写体との心の距離感がないことが条件となるため、
撮影の中のコミュニケーションがうまくいっているかどうかはクローズアップを美しく撮ることが一つの証明になる。
だからこそのクローズアップ。「静」の中の「動」は近づかないと表現できない。
私から見たvolvoさんは、弱い部分を知っている強い人。
現実を誰よりも誠実にまっすぐ生きようとする真正性のある人。
それはどこに現れるのか…。
それは「眼」だ。Volvoさんの「眼」は、大きく力強い。
いつもは笑顔で隠れるその部分にvolvoさんの意志が秘められている。そう思った。
敢えて笑わせずに、強く瞳を撮る。そのためのクローズアップ。
 
もっと語れることも多いけれど、いまはこれくらいに。
 
喧嘩も多いけど、まだまだ道の途中。
いままでも、これからも、まだまだ歩いて道を作っていかなきゃいけないですね。
私もちゃんと成長していきますね。

 
ここで普段あまり言えない「ありがとう」を。あなたに。

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