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越谷店
ロウアーミドルの衝撃 韓国士官P16
投稿日:2012/10/30
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ロウアーミドルの衝撃
著者:大前研一
Center:蒔田高徳
著者は私が気にしている一人の経済人だ。プラットフォーム戦略という本を以前読んだが、その著者はこの人の名前を上げていた。以前からテレビや雑誌でこの人を見るようになった。この人の思想や考え方、指摘には論理的で具体性がある。このような人が政界で力を持ってほしいと思うくらい、理想と現実、分析と陳述が上手だ。この人の本は一通り読む価値があるのではないかと思ってこれからも読んでいこうと思っている。なんのことはない、この本を選んだ理由は著者がこの人だったからだ。タイトルではあまり興味を惹かれない。BOOKOFFの100円コーナーにあった。100円でこの人の書籍を読めるならありがたいと思い買うことにした。ちょうど時を同じくして、ライフスタジオの討論文化が共通の課題図書からではなく、時事問題をイシューとして始まることになった。今回のテーマは消費税の件だが、それ自体がこの本を先に読んでいたせいか、事前知識として客観的な自分の意見をまとめることができた。この本は2006年に出版されている。6年も前の本だが、未来を的確に予想も分析もできている。
今や、日本人の8割がロウアーミドル中流の下、それ以下。社会の地殻変動が始まったと書いてある。もうどれくらいそのようなフレーズが叫ばれ続けてきただろうか。今ではこれといって新しい言葉の指摘には思わないが、慣れてしまうということも怖いことだ。少し前までは日本は全体的にも中流層が多かった。それが今では二極化されている。それは私たちのマーケットにも影響がないわけではない。ビジネスはどう変わるか?政治は?経済は?わたしたち自身はこの変化に耐えられるか?そういったことが現実問題でもある。
所得は増えている訳ではないのに、国の政策で税が上がる。物価が上がる。実質的にどんどん私たちの負担は増えていく。それに伴って、公共や福祉が充実しているとかではなく、返済できない借金の期限が来てそれを返済している。その構造を見ながら、市民である私たちは傍観している。このままでは・・・と誰もが思いながら、行動できるわけでもない。しかし、こういった問題提起、現実の直視は、少なからず私たちを動かしていくエネルギーになると思う。私の結論は、私にはもっと勉強と実践が必要だということだ。今の私では何を叫ぶにしても、言いたいことだけ言うのと、動かしていけるのは違う。私はもっと学んでいく必要がある。その実際の良い現場が今の会社である。
日本はバブル崩壊と言われてから、ずっと長期衰退をしている。そのように見ることもできる。ところどころ、景気の良い内容もニュースとしてはあるが、全体的に見たときに
発展よりも、根幹的な穴が徐々に大きく広がっている。それがもはや大きすぎて、その穴を認めて良いのか、それともその穴はなかったことにしようと見てみないフリをしているのか。そのようにも感じる。
著者はこの本で、第1章で日本の構造変化に俯瞰し、第2章で、この構造変化にどのように対応していくべきか。その具体的方法を、企業、個人、政府の順に示している。そこに、私たちの生活を豊かに変える「質的変化」への提案をこの本で成している。
「なんちゃって自由が丘」という視点
大前氏のおもしろいフレーズが「なんちゃって自由が丘」という今の日本の価値観だそうだ。それは的を得ている部分がある。その消費者がロウアーミドルであるのだから、そのマーケティングで市場を見ていくのは面白い視点である。売上を伸ばすには、最大のマーケットであるロウアーミドルクラスにどうコミットしていくかがポイントとなる。そのキーワードが「なんちゃって自由が丘」だ。簡単に言えば、「価格は安いが、センスは自由が丘」という商品やサービスのことだ。いずれは住みたいと思っていた街=自由が丘、には住めないが、その雰囲気だけは楽しみたい、という人が最大多数となっているからだ。その成功モデルは多数ある。センスはアッパーミドル、価格はロウアーミドルに合わせたコンセプトが消費者に受け入れられているわけだ。ライフスタジオはどうだろうか。なんちゃって自由が丘というジャンルに当てはめられては、正直どこか心が落ち着かないが、私たちは特別、大きな市場マーケティングや分析をしてきたわけではない。現在までマーケティングと呼ばれる程、質の高いことをしてきた分析はないが、今後も世の中の市場の動向に応じて、私たちもマーケティングという視点が必要になってくるだろう。
最終的には顧客から選ばれ、信頼され、心から喜ばれるサービスを提供することが出来、私たちも共に成長していくことが出来れば本意である。もちろん、様々な要素があって私たちは現在成り立っているのだから、感謝と共に、「なんちゃって」ではなく、私たちは質の高い本物、別に特別高級である必要はないが、ブランドとしてありたいものである。
大前氏のこのロウアーミドル時代におけるマーケティング理論の中でもあったが、私たちから見たマーケティング視点の良いポイントを考えると、特に何か所得層を分けているとかではなく、両方ターゲットなのである。ロウアーだろうが、アッパークラスだろうが、ミドルクラスであろうが、私たちには元々その設定がない。ブランドは同じものを用いるか使い分けるのか、そのような選択もない。もし、二極化したどちらかにフォーカスするのであれば、その選択基準が問題となる。高所得者層を狙う企業には、相応の価値想像力、提案力の有無が問われる。マーケティングだけの視点を見れば、格差拡大によってより豊かになっている人たちも多いため、徹底的にこのクラスを狙うのも有望な選択肢のひとつだろう。従来の中流クラスのやや上に位置するアッパーミドルクラスをターゲットにする選択肢もあるが、その場合はこのセグメントが縮小していることを前提に検討しなければならないだろう。一方、低所得者層をターゲットにする場合には、このクラスに対応できるだけの収益構造が構築されているかどうかが検討項目になる。そして低コストかつハイセンスな価値を提供できるならロウアーミドルクラス、低価格路線を徹底的に進めても収益をあげられるのならロウアークラスをターゲットにすればいい。
いずれにしても、生産や流通における徹底した無駄の排除なしには、このセグメントで利益を出すのは難しい。自らのブランディングや収益構造、価値設計など、適切な打ち手を検討しなければ、企業が所得階層の二極化の時代を生き延びることは不可能だ。
私たちは特に何かの階層を意識したとか、マーケティングをしたとかではない。結果が良いかたちでついて来てくれた事に感謝すべきである。ただ、今後も私たちが存在していく為にも量的拡大だけでなく、質的拡大、それ以前である企業の理念、方向性、マインドの一致がなければ、また一つ利用しやすいスターバックスや、松屋のようなフランチャイズサービス店が展開された・・・かのようになるのは・・・誰もそうなりたいとは思っていないであろう。だからこそ、私たちとは何なのかを定義していく今の課題命題が重要だ。
現象ではなく、原因を直せ
今日本がすぐにでも取り組まなければならないのは、現象ではなく原因を直すこと、病の原因を根本から取り除くことだ。
私は、現象を先に知り、そして原因を考え、判断を一緒に考える。私に与えられた役職は日本語で直接訳すと「状況室長」どの誰よりも、状況、情報が入るような位置におり、また様々な状況をMIX UPできる立場でもある。その役割というのは定義の仕方でいくらでもどのようにでも考えることができるが、私なりにその定義は、次の社長になる人間はその役職を超えていくべきだくらいに思う。とは言え、私自身まだ何も出来ているわけではないが、この仕事という立場を作っていくのが自分自身だと思いながら、日々を過ごしている。来年度の考えられる政策提言に関して、社長と話あうことも状況から、情報から、財務、人事、労務、今私たちの会社にないことから、あることまでそれらの話を進めていきたいと思っている。今月の自身の課題の大量のレポートが終わる頃、私はもっと動くようになるだろう。2013年が近づいてくるのか、私が2013年に近づいているのか、最近は私が2013年を見にいこうと思っている。
現在の日本の構造変化を理解しない、いや、見ようともしていないのは、古い学者、古い政治家、買われたメディア、官僚社会という不透明な組織が日本の個人部門を手段としてしか見ていない構造だからだ。
この本を読んで著者の考えている「増税なしで財政再建」-税制改革の案件は、消費税の時事問題を考えていく上でも、興味深い提案だった。現代の日本が長期衰退を脱して、新たな反映の道を歩み始めるためには、新しい時代に合った社会システムや税制を導入しなければならない。このままいけば高負担社会の圧力は増すばかりで、新たなる繁栄どころか国家破綻へと進みかねない。消費税というのは、消費者に負担を強いることである。
今国が通している税率の法案は、国民一人一人に負担を高めていくことばかりである。おそらく私だけではないはずだ。日本の公的機関である、警察署、市役所、図書館、公民館、学校、さまざまな非効率的なシステムを見る時、会社で働きながら、常にイノベーションを考えている人であれば、システムの欠陥、無駄な人材配置、コスト、そういったものをすごくよく感じると思うのだ。国民に負担を強いる前に、行政コストの削減は絶対可能だと思うのだ。大前氏もそのように言っている。大前氏の主張では9割削減可能なのだ。
「政府が必要としている金」を前提として、「控除を撤廃するしかない」「サラリーマンに頑張っていただきたい」などと言うような人間が税調にいること、官僚社会にトヨタのカイゼンコンサルティングチームを国税を使っても構わないので送り込みたいほどだ。
これからの教育
この点に関しては私も非常に同意している。私が100冊読書の中で知っていった良いと思える企業文化、教育文化も結局のところは「teach」ではなく「learn」である。教育ではなく、自らの学習であるということだ。それに気づいた時、私も提供される教育が主体ではなく、私自身がいかに学び習っていくたという主体性、学習ということに力を入れるようになったのだ。その源が、北欧諸国の教育だ。これらの国の教育現場では「teach 教える」という言葉が禁じられ、「learn 学ぶ」を使う。教えるとは、答えがあることを前提とし、それを知っている人間が教えるという考え方だ。だが、現代の世の中では答えのない問題だらけである。だから北欧では教えるのではなく、子供たちが自ら学びとるという考え方を徹底しているのだ。デンマークの学校教育関係者の話では、デンマークの教師は、「一クラス25人全員が違う答えを言った時が最高だ」と話している。
自ら考え、自分で答えを見つけだす。それこそが現実の社会で役立つ能力であり、その力をつけさせることこそが、本当の教育なのだ。
来年度の教育政策を今議論しているが、士官学校大衆化という言葉が出てきた。私としては、与えすぎは「ゆとり教育」と同じではないかと思う部分がある。また、教育ではなく学習というものが前提となり、全体が行うとするか、志願者、推薦者、一定の基準を満たしたものが手に入れる制度などその方法論はまだ議論の余地があると考える。どんな方法が決定されるかはわからないが、私たちの未来を作っていく上でも教育、学習というものは非常に重要である。
主体的に、自発的に、能動的に、これらはそれを望んでも、その通りに動くことを見ることは難しい。その信念を私たちの日常にシステム化させて、生きて動く組織になる為に、どのような方法が良いか・・・話あってみよう。
税制改革-大前案
税体系の変革の中で、大前氏が考える変革は消費税から付加価値税へのシフトである。そして、もう一つは資産に対する課税である。所得税は現在でも14兆円程の税収しかないが、今後は国民の人口も、所得も、そのものが減っていくのだから、この部分で増税しようとしても、国民の重税感が増すだけで税収アップの効果は薄い。日本の民間給与総額は、1990年代後半から急激に減り始めているが、これはたんに不景気によるものではなく、少子高齢化が進むことで就業人口が減れば、当然、給与総額も減る。つまりそれは構造的な問題であり、所得税のような課税を税収財源に過去のとおりにしていれば、将来的には財源が枯渇する。一方で、家計の金融資産残高、それは1990年代以降もほとんど目減りしていない。簡単に言えば少子高齢社会とは資産が増えて所得が減る時代なのだ。この構図は、成熟社会の構図と重なる。日本の行動成長期のような社会の成長期には入ってくる所得フローに課税するのが当然の考え方で、増加するフローにともなって税収を増やし、さらなる成長に必要なインフラの整備と、やがてくる成熟社会への準備をする必要があった。しかし成長期を終えて成熟期に入ると、どんな経済大国もフローが減り、それまでえに蓄えた資産によってストック大国になっていく。この時期にフローへの課税に頼るのでは、成熟した社会を支えることは不可能だ。
消費税を付加価値税に改めよ
消費税のように消費に対して課税するのではなく、製品なりサービスに付加価値が加わる段階での課税だ。たとえばある製品の販売価格が決まるまでには、原材料を生み出す段階、それを加工して製品を作る段階、流通させる段階、店頭で売る段階など、それぞれの段階で付加価値が加算されて最終的な価格となる。その各段階で付加された価値に対して課税するのが、付加価値税の基本的な考え方だ。現行の消費税は徴税漏れの部分が非常に多く、5%課税しているのにも関わらず、約10兆円の税収にしかなっていない。だが、付加価値税にして透明性の高いインボイス方式を導入すれば、付加価値を正確に算出して税金を徴収できる。付加価値税のインボイス方式はヨーロッパ各国で導入されており、インボイスには項目ごとに税率が明記されているため、ごまかしがきかないのだ。そして、日頃から付加価値計算を生産者はするようになる。
また現行の法人税は、売上高から諸経費や損失を差し引いた利益に課税する仕組みだが、法人税の税率が高いために、架空の経費・損失を計上して利益を少なく見せるなど、企業は抜け道探しに躍起になっている。しかし、法人税を払う必要がなく、5%くらいの付加価値税だけなら、税金の抜け道を探すよりも売上を上げることに注力したほうがいいという話になる。こざかしい節税対策など無意味となる。
株などを持っている人はどうなるか。当然、貯蓄と同じく資産課税が期末の時価に対して1%はかかる。しかし企業は今のように配当を税引き後の利益で行う必要がなく、また配当所得には税金がかからないから、この1%の負担は実は今より軽くなる。非上場企業に関しては、上場時に、今のキャピタルゲイン税の代わりに付加価値税が5%かかるだけだ。要はすべての経済行為が二つの税制に補捉されるということだ。それ以外の全ての税を廃止するという点が大前氏の提案の特徴だ。
わかりやすく思い切りがあって、さらに現実味と説得力がある。よく分析されていると思うし、理にかなっている。ここまで具体的な案がある人物を、今の日本の政界に欲しいと思う。私が考える理想的な政治家は私の尊敬する経済界の重鎮たちがそろって日本の国を変える人たちになることだ。偏ったナショナリズムや、党派の争いよりももっと現実的な国会討論をしてほしい。そのような人たちが国会で具体的な答弁をして行けば国会も政治ももっとおもしろいと思うのだが、現時点では国会答弁は子供に見せたくない番組NO.1と言ってもおかしくない。
私も自身の人間性を高めて、働いて行く時、生きていく時、自然と政治に参加したいと思うのではないだろうか。それは一市民という形でも、立候補という形でもだ。日々たくさんのことを学んで生きたいと思う。
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