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俺は中小企業のおやじ 感想 士官学校P50

投稿日:2012/9/15     更新日:2021/6/30

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俺は中小企業のおやじ

著者:鈴木 修

Center:蒔田高徳

 この本もBOOKOFFの100円コーナーで手に入れた。タイトルがSUZUKIらしいなと思った。SUZUKI程の2兆円を超える売り上げがある会社を通常では中小企業とは言えないが、SUZUKI会長のプライドは本のタイトルにあるように「俺は中小企業のおやじ」なのだ。それは、中小企業のおやじであるがゆえに、必ず社員のための会社を守りたいという想いを感じるものである。タイトルに惹かれて本をまた手にする。

私が人生で初めて買った車は中古車のSUZUKIのワゴンRだった。前の職場で営業者として使った時、小回りが利き、細い道でも入れたし、人が乗っても、また買い物用としてもとても使い勝手が良かった印象から購入した。周囲の人間からは、なんでこんなボロ車をそんな値段で買ってと言われたものだが、私としてはそれなりに良く走る車だと感じていた。あの当時は、最初は安い車でその後に良い車に乗ってやると思って買ったのだが、慣れてしまうと特に不便を感じなかった。二人目の子供が出来て、ローンも終了すると同時にHONDAのFITハイブリッドに乗り換えたのだが。

 

SUZUKIというメーカーには庶民的な愛着というか、愛嬌がある。販売店に行った際は少しその店に車を買うワクワク感、SHOW的な要素が全く感じられずがっかりしたが、もしかしたら、SUZUKIは車を買うワクワク感ではなく、当たり前のように必要なものを買うような生活必需品的な店作りをしているのか?いや、それはSUZUKIの立場に立ってよく考えてあげすぎだろうか 笑

 

このSUZUKIというメーカーは私個人としては日本では頑張ってほしい企業のひとつである。私自身が乗り回した車でもあるからだろうし、それはなぜだろう?田舎に行くと、SUZUKIの「軽自動車」、農家には「軽トラック」をよく見かける。おじいちゃんおばあちゃん個人の買い物用の乗り物である「セニアカー」、「障碍者用の電動車いす」であったりと、それらを辿るとSUZUKIは私が見慣れてきた田舎の一つの庶民の道具であったし、その人たちを確かに支えている乗り物だったのだと思い出す。田舎の風景を思い出して、レクサスなんかは思い出せないのである。そこには、軽トラックに乗って畑に出る農業の人たち、そして買い物のセニアカーでスーパーに来る老人、そのような風景を思い出す時に、SUZUKIという会社のイメージが、けして豪華でもなく、かっこよくもないのだが、日本を影で素朴に支える良い会社なのだと思う。私のイメージではなんだろうか?例えるならば・・・山のようなイメージだろうか。山が無くては田舎ではない。山は登るのは労力がかかるし、道は不便であるが、山は雄大である。

 

最近若者はDAIHATSUのTANTOとかに乗っているが、SUZUKIがまた、若者の心、消費者全体の心を掴む車を出せるか、CMを見るたびに期待しているのである。今のところ、あまり私が思うような期待通りの車、CMは見ていないが。SUZUKIの企業努力、田舎っぽさそれをクリアして、消費者の心を掴む新しさも期待している。

 

本の中では、SUZUKIのこれまでの歴史、歩み、苦労、成功があふれている。時には涙さえ出てしまうほどのドキュメンタリーでもある。巨大企業GMとの提携をした際にはメディアからSUZUKIはGMに飲み込まれると言われた。しかし、リーマンショック以降、GMが経営危機に陥った際、SUZUKIはGMが保有しているSUZUKI株を全額キャッシュで買い取った。GMとの資本部分での提携解消とされているが、業務提携は続いている。GMとSUZUKIは互いに尊敬の念を忘れず、資本のつながりでない、ハートとハートのつながりをしているのだ。

 

 中小企業であるという自覚

スズキの「売上高」は「取扱高」に過ぎない

2006年、連結売上高3兆円達成を受けても、その中でスズキが生み出した付加価値は3000億~5000億だという意識、売り上げではなく、取り扱い高であること、3000億~5000億程度では大企業とはいえない。わが社はまだ中小企業であることを忘れてはならないという。スズキ会長が見ている実際の付加価値の数字と、また必ず生き残るという姿勢、あくなき挑戦に向かう魂。その魂を受け継いでいく会社であれば、今後も興味深い会社なのだと思う。

 企業には成長もあれば必ず衰退もある。スズキが今後どのような企業であるか、私はこれからも見ていこうと思う。

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