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見える化  士官学校P29 

投稿日:2012/7/30

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見える化

強い企業をつくる「見える」仕組み

著者:遠藤 功 

 Center:蒔田高徳

 去年、企業のコンプライアンスという本を読んだ。その中に「自立と自律」いう言葉が浮き上がってきた。おもしろい例としてあったのは、とある刑務所をドーナツ上の丸で収容所をつくり、その円の中心部からは看守が見える様に作っているという構造にしたとき、

囚人たちが、特に強い圧迫を与えた訳でもないのに、自主的に行動が改善されたという例だ。看守達が実際に見えていないとしても、いつも見えているのだと心理的に思うとき、そこには自然と求心力が出来るようだ。

 それは「自立と自律」という二つに少しつながる部分がある。刑務所を例にすると現実的でないのかもしれないが、自身の心があるとする。その心がいつも自分の行動の中心となっていれば、悪いことをしようとしない。それはいつも自分自身を見えるようにしてくれるのだ。

 見える化と敢えてわかりやすいタイトルだが、通常熟語化するのであれば「可視化」という言葉が相応しい。入社した時の印象だが、「よくわからない」これが正直な印象だ。

つまり「可視化」状態ではなかった。今では少し、「わかってきた」ほうだが、それでも「よくわからない」人も多いのではないか。その純粋な疑問、質問にフィードバックが出来る会社でありたいと思う。コンプライアンスが出来ているということは、純粋な疑問、質問に対して、フィードバックが出来、説明不可能なことはないということではないだろうか。

「見る」のと「見える」のは違う。

それでは良い見える化とはなんだろうか?

 見える化が重要だからといってなんでもかんでもオープンにして「見える」ようにすればいいといった単純な話ではない。目的が不明確なままチャートやグラフだけを貼るといった表面上の「見える化」や現場が混乱する程の情報やデータが氾濫してしまうような「見える化」は「良い見える化」とは言えない。良い見える化もあり、悪い見える化もあるのだ。

「見える」ことはあくまで入口であって、それが人間に刺激を与えることで、意識が変わり、新たな行動を誘発する。たんに「見える」だけではなく、「見える」ことがきっかけになり、人間の心に何かを育み、それが、「見える」前とは異なる思考や行動を生み出すのだ。

当たり前のことではあるが、「見えれば解決する」といった単純な問題よりも、より重要なのは「見える」ことによって「何か新しいものが育まれること」である。それこそが良い見える化と言えるはずだ。見えることで解決できる問題は間違えてしまうと、ただの犯人探しなってはしまわないだろうか?犯人探しは目的になるだろうか?私たちは刑事ではない。見えることで、何を育もうとしているのか。そこに気づくべきだ。

 

「良い見える化」とは、

見えるという刺激を通じて次の4つの要素を育んでいる「見える化」

 

  • 良い「見える化」は「気づき」を育む

「見える化」によって見えた事象や事実を通して、人間は新たな「気づき」を発見する。

情報やデータ自体に意味があるのではなく、「気づき」を発見させることこそが「見える化」の目的である。

 

  • 「よい見える化」は「思考」を育む

「気づき」という刺激をきっかけに、人間の思考回路は周り始める。見えた事象や事実に基づいて、新たな認識や疑問が生まれ「考える」という作業が行われる。ここで行われる「思考」は、事象や事実から誘発されたものであるため、抽象的・観念的ではなく、具体的なものとなる。

 

  • よい「見える化」は対話を育む

「見える化」によって、様々な事象や事実がガラス張りとなり、組織内で共通認識が出来上がる。その結果、「組織の壁」「職種の壁」「階層の壁」「世代の壁」といった壁を超え、「対話」を促進させるきっかけとなる。

 

  • よい「見える化」は行動を育む

 「思考」や「対話」は、人間に新たな発想や知恵をもたらす。何をもたらしたら良いかという答えや仮説を得た人間は、それを実行したいという欲求を持ち、それが具体的な「行動」をもたらすのだ。

 

「見える」ことは、「気づき→思考→対話→行動」という一連の影響の連鎖をもたらし、その結果として問題解決が促進される。「見える化」というのは目的ではなく、それは所詮「入口」に過ぎないが影響の連鎖を誘発することのできる「良い見える化」は、人間の意識や行動を変えるきわめて重要な仕掛けなのだ。

 それを現在の組織内でもっとシステム化させたい。「見える化」は影響の連鎖によって、個人の意識や行動を変える。しかし、見える化のインパクトは個人レベルに限ったことではない。一人一人の意識や行動が変わることは、結果として、企業経営の品質を大きく進化させることにつながっていくのだ。

 

 「見える化」が企業に大きくもたらす変化は大きく3つある。

まず「見える化」がもたらす最も大きな変化は「人を育む」ことである。「影響の連鎖」とは、まさに人を育むプロセスといっても過言ではない。「見える化」によってさまざまな事実や情報を得た人間は、創意工夫をし、お互いに協力をしながら問題解決を進めていく。問題発見・問題解決のできる人を育てるためには、「見える化」という仕掛けが必要不可欠だ。

 そして「見える化」が経営にもたらす二つ目のインパクトは「団結を育む」ことである。

「良い見える化」はガラス張りの透明性をもたらす。組織の壁は、「無知、無関心、無視」という三つの無から生まれるが、お互いのことを「知る」ことは、そんな組織の壁をブチ破る第一歩になる。「見える化」こそが、組織としての団結力・一体感を醸成するベースをつくっていくのである。

 

そして、「良い見える化」が経営にもたらす最終的なインパクトは「風土を育む」ことである。全てのことを包み隠さずオープンにする。悪い情報はすぐにさらけ出す。問題が見え、その解決のために、放っておいても組織の垣根を超えた協力・協調が行われる―こうした透明性の高い、オープンな風土づくりは、さまざまな企業の不祥事を予防する最大のリスクマネジメントになるはずだ。

 つまり、「良い見える化」は「人を育み」、「団結を育み」「風土を育む」目先の問題解決

という視野の狭い取り組みではなく、経営の本質的な競争力を鍛える仕掛けとして、「見える化」を位置づけるべきなのだ。

 

効果的な見える化のための10のポイント

ポイント1 まず現状の棚卸から始める

本来「何が」「どの程度」「どのタイミング」で見えていなければならないのかを洗い出し、現状はどの程度見えていて、見えていないものはなにか、もっと見えるべきものは何か―そういったことを洗い出すのが「見える化」の第一歩である。

ポイント2 「見せたくないもの」「見せられないもの」ほど見えるかする

見える化の原点は、企業活動における異常や問題を見えるようにすることだ。異常や問題というものは、本来見せたくない、できれば隠したいものである。しかしこうした悪い情報ほど見える化することの価値も高い。その一方で、もちろん情報のセキュリティに対する対策はしっかりと施されていなければならない。オープンにするという大きな流れの中で、アクセス権やセキュリティ対策を講じることが必要なのである。

ポイント3「見える」もの、「見せる」ものを絞り込む

情報の共有を進めている企業でよく見られるのが、情報やデータは豊富にあるが、肝心のものが見えないという症例がある。

人間の見る能力には限界があり、一度にあれもこれも見ることはできない。見えるもの見せるものを絞込み、本当に見せたいものを見えるようにすることが重要なのである。

ポイント4 鮮度・タイミングを重視する

情報の価値は「コンテンツ」だけでなく、「時間」という要素が極めて大きく左右する。情報には鮮度があり、それぞれの鮮度を意識した「見える化」を進めなければならない。異常や問題は、発見したその時に「見える化」するのが基本だ。悪い情報ほど、速く見えるようにするのが肝要である。

ポイント5 アナログとデジタルを使い分ける

ITを活用すべきか、掲示板(ボード)の活用や現物をさらけ出すなどのアナログ的な手法のほうが効果的なのか―そうした方法論や道具立てをよく考えて、使い分ける必要がある。場合によっては、アナログとデジタルのどちらか一方に絞るのではなく、アナログ的な手法とITを組み合わせて、より効果的に見える化を行うことも充分に可能だ。

ポイント6 わかりやすく、シンプルに

「見える化」を実行するうえでの基本は、なんといっても「わかりやすく見せること」

消化不良を起こすような「見える化」は、かえって組織内に新たな問題を発生させる。

ポイント7 現場の当事者自身が「見える」ようにし、仕組みもつくる

現場の当事者は、情報を発信するだけでなく、「見える化」の仕組みづくりも担うべきである。見える化は問題解決や改善の為に行うものである。そのために必要な道具は、現場の当事者たちが自ら創意工夫をしながらつくるのが基本である。

ポイント8 本当の勝負は「見えたあと」

掲示板を作ったり、知識のデータベースをつくることは、あくまで手段であって目的ではない。さまざまなものが「見える」ようになったあと、人間の意識や行動様式がどう変わったのか―それを常にフォローする必要がある。

ポイント9「見える化」のノウハウを共有する

重要なのは、それぞれの現場で取り組んだ「見える化」の実績や成果、失敗などを共有し、全社の智慧として活かすことだ。トヨタの「見える化」は生産現場で生まれたが、そこで培われた思想や手法、道具はあらゆる部門やグループ企業で活用されている。

ポイント10 経営トップが「見える化」を牽引する

「見える化」は、たんなる現場改善の手法ではない。企業経営のあらゆる問題を発見・解決し、透明性の高い企業風土をつくるための基盤となる経営思想として、「見える化」を位置づけるべきである。特に見せたくない情報、見せられない情報を「見える化」するには、経営トップの意志と覚悟が不可欠だ。経営トップが「見える化」の重要性を熱く語り、導入・定着を牽引しなければ、真の「見える化」は実現できない。「見える化」は現場任せでは手に入れることができないものだ。経営のトップから現場の最前線までの全ての人たちに、「見える化」の目的と価値が浸透した時、その企業は今までとは異なる競争力を手にすることができるのである。

 来月の全体会議で会計を全体公開する。「見える化」を作った上で、どんな風により良い組織を作っていくのか。そこにしっかり注力したい。

 

 

自律的問題解決方組織を目指して

 経営スタイルの「求心力型」と「遠心力型」

求心力で回す経営とは、会社の求心力が飛びぬけて強く、中央集権的に物事を判断して決定していく経営スタイルのことだ。創業者が君臨する企業、あるいは絶対的な権限が本社に与えられているような企業がこのタイプの企業と言える。意思決定が早く明確で、現場における実行に際しても一糸乱れぬ統率をとることができる―そんな企業における現場の役割は、自分たちで率先して何かを決めるというよりも、決められたことを確実に実行することが中心となる。

 それとは逆の、遠心力で回す経営は、対照的にビジネスの最前線である現場に大きな責任と権限が委ねられ、現場もしくは現場に近いところで物事を判断・決定し、実行していく経営スタイルである。もちろんこの場合でも、大きな方向性や方針は経営トップから示されるが、実行上の責任と権限は現場に大きく委ねられている。こんも経営コンセプトこそが、言葉を換えれば「自律的問題解決型組織」であり、これを実践するために必要な組織力こそが「現場力」なのだ。「見える化」という観点から考えると、どちらの経営コンセプトを選択するかによって、見える化のあり方が大きく異なってくる。「求心力で回す経営」においては、経営が「管理・監視」するための「見える化」が相対的に重要にならざるを得ない。大規模な情報システムを構築し、さまざまな企業活動の実績管理・異常管理をする仕組みがなければ求心力は正しく機能しない。

 一方、「遠心力で回す経営」で重要な「見える化」は、現場の「自主管理」による「見える化」である。「自分たちの業務や自分たちの問題は、自分たちで管理・解決する」という自律性の高い組織をつくらなければ、「遠心力で回す経営」は成り立たない。

 そのため、「見える化」を考える際に重要なのは、自分たちの会社がどのような経営コンセプトで企業活動を回そうとしているのかを明確にすることだ。「求心力」でも「遠心力」でもない中途半端なやり方で企業活動を営んでいる会社もあれば、「うちは現場が主役だ」と言っていながら、現場に大した責任と権限を与えていない会社もある。

 自分たちの会社の「スタイル」を明確にすれば、誰が、何を、どの程度、どのように「見える化」することが大切なのか自ずと見えてくるはずだ。

 ライフスタジオは、この本で言えば求心力型を現在選択している。それをうまく機能させる為には自律的問題解決型組織となる必要があり、そこに対していつも自主性が問われている。しかし、なぜ自主性を語られているのか意味がわかっていない人もいるだろう。

もっと、見える化を上手に機能させる必要がある。そして、各自の自立と自律が自主的に機能するようになることが出来れば、もっと活発なそして、もっと楽しい組織になることができるのではないかと思いながら、その機能を作るにはどのようにすればいいかを考えるのである。「良い見える化」をかたちにしながら、次の段階へ行きたい。

 

 

 

 

 

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