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貧困のない世界を創る 士官学校P2

投稿日:2012/5/31

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貧困のない世界を創る

ムハマド・ユヌス

Center:蒔田高徳

 この本のタイトルがこの人の意思そのものだ。それをはただの理想ではなく、現実として実現可能な事として、ユヌス氏は考え、社会に提案をして行動している。 

このタイトルの通りにもし、世界をそのように出来たのなら、それこそノーベル平和賞、いや、賞などでは測ることの出来ないことだ。しかし、著者が本にした内容は、この世界を良い意味で驚かせてくれる。新自由主義の問題点は、その目的が人に向かわず、利益を最大に上げることに目的が向かってしまい結果、人から離れていったことだが、ユヌス氏が提案するソーシャル・ビジネスはその核心に「人」がしっかりと入っている。そして、ユヌス氏の提案が現在の資本主義の中でもその価値が大きく対立するのではなく、その価値の提案は人々に受け入れられるものだ。

2006年のノーベル平和賞は、バングラデシュの農村で貧困層に無担保融資を続けてきたグラミン銀行と、同銀行を設立したムハマド・ユヌス総裁に贈られた。ムハマド・ユヌス氏は、バングラデシュで生まれ、アメリカで経済学の博士号を取得した経済学者だ。マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象とした事業を考え出し、グラミン銀行を創設し、現在も総裁を務めている。グラミンとはバングラデシュの公用語、ベンガル語で“村落”の意味。世界最貧国の1つに数えられるバングラデシュで、農村の女性や貧困層の自立を目指すことに由来する名前だ。どんな人でも融資を受ける権利があり、それは基本的人権の1つだといい、そのための手法として編み出されたのが、グラミン銀行の根幹をなす事業、マイクロクレジットだ。マイクロクレジットは、既存の経済学の論理をくつがえす革命的な事業と評され、途上国だけではなく、アメリカ、フランス、北欧など、世界60カ国以上に広がっている。
 ユヌス氏が目指すのは貧困の撲滅だ。「世界の貧困人口を2015年までに半減させる」ことを掲げ、新しい発想で貧しい人たちに融資をし、一方的な援助ではなく、自立を促す事業を展開していることから「貧困なき世界を目指す銀行家」と呼ばれている。

 

「システムは万能ではなく、それを生かすも殺すも使う人次第。」貧困を救うという情緒的になりがちな活動を、現実的な方法で解決してきた経済学者らしい言葉だ。私たちの現場でも同じことだ。人次第なのだ。

貧しい人が貧困を解消し、自立的に生きる意欲を生むシステムを編み出し、しかもビジネスとして銀行を成功させたムハマド・ユヌス氏。その功績は、ノーベル平和賞のみならず、経済学賞にも匹敵するのではとも言われている。ユヌス氏は世界の貧しさを救うためにビジネスがどのような役割をすることができるのかを考え続けた。ボランティア、チャリティー、そしてNGOなど、ビジネス以外の経済分野は、貧困とその結果に対処するために多くの時間とエネルギーを捧げている。しかし、最も革新的で、効率的な経済分野であるべきビジネスは、貧困を根絶するという目標に向けて現実に働きかける直接的なメカニズムを持ち合わせていないのだ。グラミン銀行とその姉妹会社が行っている仕事は、数百万人もの人々を地方経済、地域経済、そして世界経済へと導く手助けをしてきた。彼らが市場に参入し、お金を稼いで、自分たちとその家族を養うのを可能にしたのだ。

ユヌス氏は利益の最大化を目指すビジネス(PMB)とは異なるビジネスモデルとして、「ソーシャル・ビジネス」を提唱した。ソーシャル・ビジネスとは、特定の社会的目標を追求するために行なわれ、その目標を達成する間に総費用の回収を目指すと定義している。また、ユヌスは2種類のソーシャル・ビジネスの可能性をあげている。一つ目は社会的利益を追求する企業であり、二つ目は貧しい人々により所有され、最大限の利益を追求して彼らの貧困を軽減するビジネスだ。

 

なんだろうか、悲劇はいつも現実でありながら、理想への道はいつも壮大で道が遠く限りなく感じるものなのに、ユヌス氏の本ではそれを現実感のある一つの階段のように、それは実現可能だという予感を感じさせてくれる。世界が新しい一つの価値提案を受け入れる未来が見えてくる。

世界を変えるムーブメントを起こしているこの人間のすばらしさに、感動して涙が出る。社会正義を定義しても、それを成すことは難しい、貧困を無くそうとしても、それを無くすことはどうしたらいいのかわからない。寄付だけでは団体は半永久的に金銭的な依存状態から抜け出せない。そこで、ユヌス氏が行ってきたのは、個人の自由意志による変化・発展を支援する仕組みをお互いが人間として人間らしくつながっていく仕組みを提案し実行したのだ。そして、たくさんの可能性が生まれ、人々が救われてきた。美しいではないか。涙が出るではないか。

 以前トヨタのCSR戦略という本を読んだ。企業の社会的責任を果たすだけでは、貧困は解決できない。ユヌス氏のように、企業の社会的責任だけでなく、個人に対して、その可能性を与えることで社会的市民となることで、お互いがよくなっていくことだ。

ソーシャル・ビジネス。今後も注目の言葉だ。もっと勉強していきたい。

 

 

 

 

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