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人生に哲学をひとつまみ  士官学校P1

投稿日:2012/5/31

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人生に哲学をひとつまみ

著者:生井利幸

Center:蒔田高徳

哲学サークルを辞めて、しばらく哲学に触れていない。せっかくのサークルの日にも、いろんな急な対応が入るようになり、途中参加も、途中で抜けることも嫌なことだが、目の前で発生している仕事を後回しにすること、それを無視して切り離すことも難しいことだった。その方が問題は大きくなるからだ。時間を置いたら問題が解決しましたなんて事にはならない。それは時間がものすごい月日を流れることで、その時の問題は時間の経過が解決をすることができても、私は問題に追われていた。哲学とは、自分との質問答だと思う。その状態は落ち着いた状態がいい。

 ソクラテスが本当の「知」は自分の無知を知ることから始まると言った。人間には、少しばかり何かを学び、それによってある程度の評価を得ると、人前でさもたくさん知っているかのように振舞いたくなる修正がある。私にもそういうところがあるだろう。だからといって、私は何かを知っているとは思えない。知らないことがとても多いし、知ってることなんて、ほとんど自分が何か興味を持ったことだけだ。自分には限られた知識しかないということは、自分自身がよく知っている。

 ソクラテスは、人間は誰一人として自ら進んで悪事を行うものはいないと考え、「悪事を行う者は、それを悪とは知らず、善と思っている。言うなればそこに人間の無知があるのだ」と主張した。人間はこのような自らの無知を自覚し、自分にとって何が大切なのかを追求し、それを知ることができて初めて、善と悪を認識できると考え、日々、人々と哲学的対話を交わした。このソクラテスの考えを読んでいると、確かにそうかもしれないと自分の恥ずかしい過去を思い出すのだが、自らの無知を自覚し、自分にとって何が大切なのかを追求し、それを知ることができて初めて、善と悪を認識できたということは、ソクラテスさん、なんだかその言葉、ありがとうと思うのである。

 サルトルの書いた「知識人の擁護」を読んで、知識人という言葉に電撃、ロックンロールを感じた。それは、必要な言葉であったと思うし、でも一部からは必要とされていない言葉だったのだ、それを叫ぶのがロックンロールだと思ったのだ。「嘔吐」で実存は本質に先立つと唱え、人間の存在のあり方は、ものの存在のあり方と根本的に異なると主張した。

「もの」はただ目の前にあるだけである。しかし、人間は常に自ら成るものであり、「自分で自分を作る存在である」とサルトルは説き、「もの」のあり方は単なる「存在」だが、人間のあり方は「実存」であるという。例えば、「机」は最初からその本質が決まっている。時間が経過しても、机が自ら考え、自己啓発をし、成長していくことはあり得ない。ところが、人間の場合は違う。すべての人間は、自己の責任で考え、悩み、自分の生き方を選択していくというプロセスを踏む。つまり人間は、最初から「この人はこんな人だ」と定められているのではなく、ある程度の期間、本人がどのような生き方をしたのかによって、その「人物像」が描き出されるのである。なんだか、わかりやすいようで、わかりにくい実存主義だが、簡単に言えば、「今ここに生きているという事実がすべてであり、明日は明日生きている自分がすべてである」ということか。したがって、サルトルの哲学において真に大切なのは「今現在いかに生きるべきか」という問題であり、今現在の生き方が「今の自分」を作り、明日いかに生きるかということが「明日の自分」を作るのである。元NBAの選手にアレン・アイバーソンという小柄な選手がいた。俺は毎日を最後の日と思って生きている。だからこんなふうにプレーしている。といつも果敢にプレイしていたのをサルトルの主張から思い出した。くだらない理屈や抽象論を述べても、あまり意味はない。大切なことは「とにかく自分で自分自身を作る」ということ。やはり、サルトルは哲学ロックンロールだ。 

 この本をBOOKOFFの100円コーナーで買ったが、時折開いてこの本を読もうと思う。たくさんの哲学者の哲学をちょっとひとつまみしたい時に、最適な本だ。来月は「自由」という言葉テーマにしたい。その言葉の規定をしていくためにも、哲学は必要だ。

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