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越谷店
トヨタのCSR戦略 静岡P85
投稿日:2012/5/5
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トヨタのCSR戦略
著:佐久間 健
Center:蒔田高徳
最近始まったアジェンダ2015プロジェクトの中で、「ブレインセンターを解剖する」というトピックが立った。何を持って解剖するのかということで、企業分析に使われているツールを探してみようと言うことだった。企業分析ツールと検索してみても、図書館でもamazonでもあまりそれらしい本が出てこない。図書館に行き、企業について書かれた本を探していたところ、「トヨタのCSR戦略」というこの本が出てきたのだ。CSRとはまずなんだろうか?その言葉も初めて目にしたものだ。
CSRとはCorporate Social Responsibility の略
企業の社会的責任。企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指す。 日本では利益を目的としない慈善事業(いわゆる寄付、フィランソロピー、メセナ)と誤解・誤訳されることもある。
企業の経済活動には利害関係者に対して説明責任があり、説明できなければ社会的容認が得られず、信頼のない企業は持続できないとされる。持続可能な社会を目指すためには、企業の意思決定を判断する利害関係者側である消費者の社会的責任 (CSR: Consumer Social Responsibility) 、市民の社会的責任 (CSR: Citizen Social Responsibility) が必要不可欠となるといわれる。
調べて見ると、最近ライフスタジオで議論している社会正義とつながってくるような気がしたのだ。去年、コンプライアンスについて調べた時と同じように、このトヨタに見るCSR戦略というものは学ぶ要素が沢山あると感じたのだ。トヨタについての本は有名なのがカイゼンという単語だが、その手の書籍は数多い。しかし、CSRという観点から見た本はこの本だけだった。とても興味深い。
CSRとは5つの責任
1企業本来の責任
2企業の倫理的責任
3企業の法令的責任
4環境問題への責任
5企業の社会への責任
私が注目したのは、5番目の企業の社会への責任だ。ライフスタジオで最近議論されてきたのは、社会正義だ。私のいるブレインセンターもこの部分で自分たち自身が自らを説明できなければ意味がない。
ステークホルダーへの責任と尊重、地域社会への責任。この社会への責任は、環境経営を行い、雇用を創出し、従業員をはじめとする各ステークホルダーの利益を調整し、海外では貧困問題やマイノリティ、人間の尊厳、操業地社会の社会文化の尊重、そして社会貢献など幅広いものを含んでいる。このようなさまざまなことへの責任感の強さが、尊敬される企業をつくる。尊敬される企業を目指すという意識は日本企業には少ないが、現代におけるグローバル社会においては非常に大切な企業目標だ。トヨタが目指している目標がこれだ。このため、ステークホルダーとの対話が非常に重要になる。
CSRは自主的に行われるべきである。と著者は言っている。それは企業が本来行うべき事項がほとんどであるからだ。企業の社会的責任への対応は、ひところの環境問題のように費用がかかると考えがちだが、それは誤りだ。企業とステークホルダーのプラスになるための経営資源の投入は、企業活動を営む上で応分の負担、あるいは投資と考えるべきで、それが結果的には企業の業績、利益と成長にも結びつく。このような認識があるからこそ、CSRが新しい企業戦略として注目され、社会からも支持されるようになったのだ。企業の存続と成長を同時に進行させ、持続的な社会を実現するための戦略がCSRだ。つまりいうところ、企業と社会は共にWin-Winでやってこうということと言える。
SRI
この本でまた知ることになったSRIと言う単語。
社会的責任投資(SRI:Socially responsible investment)
CSRを考慮して、投資をするというスタンス。
従来から企業は、雇用創出や税金納付等を通して社会的貢献をしていましたが、それだけでは十分ではないということだ。従来の財務分析による投資基準に加え、 社会・倫理・環境といった点などにおいて社会的責任を果たしているかどうかを投資基準にし、投資行動をとることを言う。
私たちが、残ったお金、利益をどう使うのかということ、何かに投資するべきかを議論する時がある。その時、私たちの根幹に何があれば、それは社会正義として向かい、使われるだろうか。そして、何もない時の想像は簡単だ。だから、いつも思考すべきであり、私たちの哲学を高めていくことだ。そして哲学とは絶えず問い続けることだから。
CSRやSRIだけが正解ではなく、いつもその先にも私たちは考え続ける必要がある。本の中でトヨタの敵はトヨタの中にいるとあった。昨今車社会ではリコールのニュースが頻繁
に見られている。トヨタもホンダもフォードもその他、車以外のメーカーもリコールというニュースを2011年はよく見てしまった。そんなニュースはあまり聞きたくない。トヨタや名のある企業がCSRを意識し、企業戦略として取り組んでいながらも、そういった問題は出てくる。私たちが組織の中で何を定義しようとも、問題は外部から起こることもあれば、内部からも問題が発生する。だからこそ、企業でも社会正義を語りながら、また個人でも個人の正義を話あっていくべきだ。
著者が調べ上げた量は膨大だ。本の価格が2800円なのも充分に理解ができる。もっと値段がしてもおかしくないくらいだ。
本の中の素材は学ぶ要素が豊富だ。トヨタの長期雇用、カイゼン、トヨタのブランド戦略、プリウスの開発エピソード、財務戦略、投資戦略、危機管理戦略、ライバルとの競合戦略、グローバル戦略などなど、それらすべての根幹にトヨタのCSR戦略がある。そして、
トヨタのDNAが会社の働く個人個人、また組織に浸透していることがすごいことだ。私たちの小さな組織で何か一つが浸透していくことがとても難しいのに。海外に出ても、そのDNAがつながっていくのは、人に向かっていっているからなのだと思う。
もちろん、トヨタにもリコール問題や、ステークホルダーとの労使問題などいろいろな闇があるだろう。しかしながら、世界から学習の材料としていつも見られる企業、尊敬され評価されているその中身はまだまだ勉強をいくらしても分析をいくらしても足りないと思う。私たちの会社も分析され、私たちの会社を学習の素材として利用される日が来るだろうか。そういった組織になりたい。
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