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柳井 正 わがドラッカー流 経営論 静岡P71

投稿日:2012/3/30

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柳井 正 わがドラッカー流 経営論 静岡P71

NHK「仕事学のすすめ」制作班・編

Center:蒔田高徳

 ユニクロ。私が初めてユニクロを手にしたのはいつだったろうか。中学生の頃?高校生の頃?フリースが大流行した。あたたかい服だった。それに安かった。当時デザイン性は特に気にしていなかった。今もあまり気にしていないけど。フリースは今ではジーパンやジャンバー等と同じように誰でも知っている服の種類の一つだ。私の下着や肌着はユニクロで買うことが多い。とても身近な存在だ。

 「知識労働者」という言葉を去年、初めて聞いた。ドラッカーの経営者の条件という本を読んでからだ。そして、知識労働者という言葉をそれから頻繁に使うようになった。その真の意味はなんとなくわかっているようで、具体的にはよくわかっていなかったようだ。

この本を読んで、たくさんの言葉がよくつながっていった。うちの社長が言っていることがよくわかってきた。この本に書いてある事をうちの社長も同じように言っている。社長はおそらく、いや、あっちが私の真似をしたんだよと冗談を言いそうだが。

第一章   「顧客を創造せよ」

「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である」ドラッカーの名言の中でよく知られた言葉だ。私も意識している言葉だ。去年、この顧客の定義について私たちも討論を重ねた。柳井さんは、ドラッカーの名言に感銘を受け、今まで自社商品に見向きもしてくれなかった顧客を振り向かせるために何をしたらいいのかを徹底して追求し、業績を伸ばしてきた。まさに「顧客」を「創造」してきたのだ。その顧客になったのは私自身もそうだ。

  社会に貢献する為に企業は存在する

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。顧客が企業の土台として企業の存在を支える。顧客だけが雇用を創出する。社会が企業に資源を託しているのは、その顧客に財とサービスを供給させるためである。

 

付加価値のある商品を提供せよ

これは、私の中でも最近の口癖だ。どのように付加価値を・・・と考えてはいるものの、ユニクロのように製造してはいない。ユニクロはカジュアルウェアを低価格でという印象が誰しもあるかと思うが、安く売るという前に「良い商品を作って、あらゆる人たちに買って頂きたい」というのが理念の根本にある。価格を安く設定しているのは、その手段に過ぎないという。

まずはお客様にとって付加価値のあるよい商品は何かを考え、それを提供することが、顧客の創造につながると考えている。この付加価値というものを単にディスカウントと勘違いして「安ければ物は売れるだろう」と考え、創業当初のユニクロも実はディスカウント競争のスパイラルに陥っていたという。もちろん顧客にとって価格は安いほうがいいに決まっているが、それだけでは本当の意味で価値を創造したことにはならない。付加価値を創造するということは、今までになかったものを作るということでもある。すでにある需要に対して何かを提供するだけでは、顧客の要望に応えているということにはならない。顧客が潜在的需要として持っているのに、まだ世の中に存在していないものを形にして、「これなんか、いかがでしょう?」と提示してあげることがビジネスで付加価値を生むという意味だ。ユニクロのフリースやヒートテックの大ヒットも、こうした考えの中から生まれたものだという。とはいっても、新商品を創出するのは決してたやすいことではない。アイデアをどんなふうに形にしていくのか、価格と質の折り合いをどうつけていくのか?

良質な商品を低価格で顧客に提供していく、ユニクロの商品開発とはどんなものなのか?気になるところである。

 

 フリースを新しいカジュアルウェアとして提案してみようと考えた。その中で質を下げることなく、徹底的にコストダウンできる道を試していった。高品質でかつ低価格を実現するのは非常に難しかったという。今までにない付加価値のあるものをつくろうという考えから、フリース、ブラトップ、ヒートテックなどなどユニクロを代表する商品が出来てきた。その努力には本当に感謝している。冬は非常にあったかい。妻のブラトップとても着心地が良く動きやすいと妻のお気に入りである。そのヒット商品に共通しているのは、どれも顧客の潜在的な需要をキャッチし、さらにそこに低価格や豊富なカラー、機能性といった付加価値をプラスしたという点がある。結局、商品の開発において「何を売ろうか」という企業側の発想ではなく「お客様が何を求めているか」を考えることが一番大切なのだという。

 

広告は「伝わる」ものを目指せ

 私は広告が大好きだ。おもしろい広告には魅力がある。短いその瞬間に引き込まれ、そのメッセージが伝わるのだ。広告媒体を使ったイメージ戦略や、企業の姿勢を伝えていくPR活動、当社はどういう企業であり、そのブランドメッセージは何なのかを世間に知らせていくことは重要な意味を持つ。その店や企業が、何をやっているか、何を売っているのかをきちんとお客様に伝えなくては、何も始まらない。たまたま通りかかった顧客が足を運んでくれるのを待っているだけでは、顧客の創造にはつながらない。ユニクロの広告は戦略的で、そこにも哲学がある。もちろん、失敗もたくさんあったと思うが、失敗からまた学ぶことも多いのだ。ユニクロのCMはこれからも気になるのだ。

 

チラシは顧客へのラブレター

 チラシ一つにも愛情がこもっていなければ、顧客は足を運んでくれない。チラシは、「今週末お店に来て頂ければ、こんな商品がこんな値段で買えますよ。ぜひいらっしゃってください」というユニクロからのラブレターという位置づけであり、必ず情報だけでなく「是非、いらっしゃてください。うちの店を愛してください」という気持ちがそこになければならないという。そういった意味でもTVや雑誌の広告とはまた別の点でチラシの制作は難しさがあるという。

 また、今までとは全く違った広告戦略にもどんどんチャレンジしているという。私たちのスタジオは広告戦略がないが、もし、やるなら戦略的にいきたいものである。

 

第2章 人間が幸せであるために

 ドラッカーの著書を読むと「会社とは何か。なんの為に存在しているのか」といった本質的な命題が出てくる。ビジネス書や経営の教科書と考える人も多いが、柳井社長は彼の書いたものは単なるビジネス書ではないと言う。ドラッカーの著書は「何のために商売をするのか、企業は社会においてどういう存在なのか、人間の幸せとはいったい何であるのか」といった根源的な部分に深く言及している。だから、読み方次第で哲学書や人間の生き方指南書にもなるのだ。そしてドラッカーの経営理論の中心には「人」がいる。そこがなんといってもドラッカーの著書の魅力なのだそうだ。

 理論の中心に人がいるとは、どういうことか。ドラッカーの元々の関心は社会的存在としての人間にある。「思想」をもとにした観念的な理想主義が、資本主義と社会主義の対立を生み出し、やがてナチスによってファシズム政権ができ、世界大戦が起きてヨーロッパ中の国も街もめちゃくちゃになった。そういう時代を実際に見てきた人なのだ。経験の中から彼は、人間が幸せであるためには社会の発展が必要で、その役割を担っているのは国や政治ではなく「企業」だと考えた。そうした流れの中で経営について語っているから、彼の言葉には人間に対する深い愛情が感じられるのだという。そして人間と社会の本質を見つめることが大事なのだ。

 

第3章 主役は「知識労働者」

 「知識労働者は、すべて企業家として行動しなければならない。知識が中心の資源となった今日においては、トップだけで成功をもたらすことはできない」

 新しい時代の到来にいち早く気づいたドラッカーは、従業員一人一人の知識や判断が企業経営を支えていることを強調し、「知識労働者」という言葉を盛んに使った。ドラッカーは当時既に、もはや労使が対立している場合でもなければ、強力なリーダーの統率力に頼る時代でもない。企業という共同体を支えるのは、そこにいる全員である、と説いている。

この本を読みながら、今までよくわからなかった、うちの社長が言っている言葉が本当にわかってきた。

 ユニクロは2009年3月に約3000人の幹部社員を一堂に集めて、グループ全体の大規模なコンベンションを初めて開催した。その中で目標を「世界一のアパレル製造小売企業」と定め、それを実現するためのモットーとして「グローバルワン・全員経営」を掲げた。

「全員経営」とは、松下幸之助氏の言葉でもある。文字通り「社員全員が経営に興味を持ち、お互いに知恵を出し合い、それを集結することで企業経営の柱にしていこう」というもの。もっと極端に単純にいうと「社員全員が個人商店主であるという意識を持て」ということになる。従業員が自ら考え行動する働き方に変えていくのが「全員経営」の趣旨だという。ユニクロの店舗一つでも、地域や客層によって求められるものは少しずつ違う。だから本部から渡された接客やマニュアルをただ守っているだけでは意味がない。どうすればお客様が喜び、ものが売れるかを自分なりに考え工夫し、変化させる姿勢が大切だ。本当ならば、店長になった者が自分で商品を企画し、自分で売る。そうしたやり方が商売としては一番やりがいがあるし面白い。だからユニクロでは、店舗、店長が事業の主役で、本部はそれをサポートする役割だと考えている。お、ライフスタジオも似ているぞ。

 基本原則は全部一緒であっても、本部からの支持を全部鵜呑みにして、マニュアル通りに対応していては良い店にはならない。現場にいない本部から的外れな指示を出されても店長たちは「いつもお客様と接している私たちの方が、何をすれば買っていただけるのか一番わかっている」とおそらく思うはずだ。だから、店長は本部に使われるのではなく、逆に本部が店舗からの意見を吸い上げて商品や広告に還元する、というスタイルをユニクロではとるようになった。しかし、その為には店長には本当のプロになってもらわなければならない。ユニクロには仕事の習熟度に合わせて店長にもランクがあり、「店長」「スター店長」「スーパースター店長」さらにその上には独立して「フランチャイズ店のオーナー」

とキャリア設定があるそうだ。今後もオーナーになれる人をもっと増やしていきたいそうだ。オーナー店長がもっと増えて、本部の幹部連中に向かって「本部の言ってることは違う。こうしないと、顧客に商品は買っていただけない。」と堂々と意見を言えるような企業にすることが理想だそうだ。店長には給料をもらって使われているというサラリーマン意識は捨ててもらい、自分の店であるという意識、そして店長のもとで働く従業員達も、ただ与えられた仕事をこなすだけではなく、店長の姿を手本にして、自ら考え行動することを学んでいってほしいのだそうだ。本部は商品を店舗に卸して、ロイヤリティだけを搾取しようとも考えていない。各店舗と本部が有機的につながり、ひとつの大きな組織として機能していくことが理想。それぞれの店舗から提案されたアイデアや意見は、一度本部に吸い上げられて、よいと思った提案は再び全店舗に伝達され、どんどんサービスや商品の質が高まっていく。つまり、各店舗の店長は、ユニクロ全体の経営にも携わっているということになる。もっと言うならば、店長こそが組織全体の経営の鍵を握っている。

 

すべての正解は店の現場にある

顧客と一番近い場所にいるのは店舗の販売員や店長。本部よりも顧客のことを一番わかっているのは店舗の従業員。だからすべての正解は、本部にではなく店の現場にあるということがユニクロの考え方。

本部=考える人、 店舗=実行するという図式ではなく本来は逆であるべきだという。

店舗=考える人であり、 本部=より良いサービスができるように実行する人、というのでなければ組織は停滞してしまうのだという。

 

知識労働

知識というのは世界共通。考えたり知識を持っていることこそが、世界にも通じる付加価値になることができる。知識は、それだけで財産になるので、企業と個人の関係も変わってくる。上司や経営者が一方的に命令管理するのではなく、全員が経営のことを考え、言われなくても創意工夫を凝らしながら働く企業。まさに理想。

 

知識労働者が増えれば経営が変わる

 ほとんどの会社のトップは「一生懸命頑張れ!売上を伸ばせ!」と言うが、「こっちの方向を目指していこう」という肝心なことを言わないという。そこが問題だと柳井氏は指摘する。売上を伸ばせば給料として還元される、それだけじゃ現場のモチベーションは高まらない。もっとその先にある理念をきちんと示してあげることで、現場はそこにやり甲斐見出し、自分の頭で考えるようになる。2009年のコンベンションで今後の目標や理念をしつこいほど連呼したのは、それは意思の統一なくしては「全員経営」は実現しないという思いがあったからだそうだ。それぞれが好き勝手に自分の理想や、やりがいを求めていたら企業は成立しない。目的は一緒であるというのは大前提にあって、はじめて企業と個人は平等な関係になれるのだ。

 

時間は無限ではない、集中せよ

「成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする」と経営者の条件でドラッカーは言った。そして、時間は無限ではない。自分の潜在能力を発揮するためには選択と集中が必要だと言った。最近のデザイン室の会議で、新しいプロジェクトの話が出た時、その前に、自分たちのとらわれている仕事の項目と、時間と人数を列挙した。そして、もし可能であるならば、9時から3時までに業務と言われる仕事が終わり、その後1時間会議、その後はプロジェクトの時間とできないだろうか?という会議があった。それは提案という次元ではあったが、時間からスタートするという意識で会議は良かった。それが実行可能か、そしてどのような変化が起きるかはこれからが楽しみなのであるが、最近本当によく感じる。時間は無限ではない。

 

第4章 企業は社会の公器だ

 「企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは、組織それ自体の為ではない」ドラッカーは組織はその目的を果たすことによって、社会や個人のニーズを満たすために存在しているという。そして、企業が存在し続けるためには、社会や共同体の中で、何らかの役割を果たし続けなければならない。それができなくなったときには、「企業は社会がその消滅を許す唯一の組織である」という結末が待っている、とも言っている。近年、企業も社会的責任や役割について、厳しい目を向けられている。顧客を満足させ、株主を満足させるだけでは、簡単に企業の評価は得られない。柳井さんは、さまざまな形で社会的責任を果たしながらユニクロという小売業を運営している。10年先、20年先を見据えて、どんな企業であろうとしているのだろうか。それは私たちも同じである。私たちも知識労働者の集団となりたいものである。

 

 知識労働者とは新種の資本家である。なぜならば、知識こそが知識社会と知識経済における主たる生産手段、すなわち資本だからである。組織とは、多分野の知識労働者を糾合し、彼らの専門知識を共通の目標に向けて動員するための人の集合体である。 

By ドラッカー

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