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時をかける少女 静岡プロジェクト11

投稿日:2011/11/11

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時をかける少女 

著者:筒井康隆

Center:蒔田高徳

 この本を読む前に、どこかで視覚的にこの本のイメージ写真を見たことがある。電車の中吊りだっただろうか。この本のタイトルがそうさせるのだろう。映画、本のタイトルとしては完璧だと言える程、タイトルから何かが想像できる。なんていいタイトルなんだ。

冒険心がくすぐられて本を開くようだ。

主人公の和子はひょんなことからタイムリープの能力を身に付けてしまう。学校の理科実験室の暗闇の中に誰かがいた。その現場を目撃しながら、不振な影を追い彼女は理科室の暗闇の中でラベンダーの臭いのする薬品を吸って気を失ってしまう。気絶してから目が覚め彼女は、気付かぬうちにタイムリープの能力を身に付ける。タイムリープの能力は自身で思うように使えるのではなく、彼女が何かしらの強い衝撃を受ける時に発動する。その力に驚きながら、彼女は次第にその力をコントロールできるようになっていく。

本を読みながら私自身もタイムリープしていた。それはラベンダーの香りでなくても、街を歩いたりしている時、懐かしい香りに、ふと足を止める事が誰しもあると思う。時間は経っていても、その香りに記憶が蘇る事がある。思い出を思い出す時間は、切なく時に優しく、時が経過したのだとまた自覚させる。そして目をつぶりながら、その目をまた開く時、思い出を少し笑いながら今を大切にして歩き出す。主人公は日本の女子高校生だ。彼女が通う高校の風景は私の学生時代を思い出させる。自分にも同じように高校生の時期があった。本を読みながら、私の記憶もタイムリープしているのだ。高校の校舎、教室、部活で毎日通った体育館、家から学校までの通学路。3年間繰り返しながら、成長していった環境を過去の情景を頭の中で思い出すのだ。強い向かい風や、冬の曇り空、毎日10キロの道のりを3年間同じ自転車をこいだ。雨の日は緑色のカッパを着ていた。1年生の頃不良にからまれたこともあったっけ。強気に反発したら意外と大丈夫だったこと。歯をくいしばりながら体を鍛えまくっていた。頭も一年生の頃は、野球部とバスケ部は一緒になって頭を五厘にしたな。卒業間近に担任の先生に、「東京に出てバンドで生きていきたいんです」と進路を言ったら反対されるかと思ったら意外と俺は賛成だと言ってくれたこと。その担任の先生は今頃どうしているのかな。あいつら、みんな今頃何してるんだろう?もう歳もみんないい大人だよななんて。

私もまた時間を跳躍する能力をイメージだけだが持っているのだと思う。それはとても愛しい能力だ。昔の自分を思い出して笑うのは、私は良い過去を持っているのかもしれない。本を読みながら、進んでいくストーリーと、自身の青春時代の葛藤を思いながら、本を読み進めた。過去は変えられない自分。あの時こうだったならと思う事は今でもある。それを今思ってもしょうがないのだが、実家に帰るたびに車で学校の前を通るたびに、いろんな思い出が一緒に通り過ぎるのは、とても不思議な力だ。

本では主人公が過去に戻りながら、少しずつ未来が変わっていく。時間を跳躍する能力を得ながら、彼女は段々と不安と恐怖にかられるようになる。そして仲の良い男友達、そして先生に相談し、この能力を身に付けてしまった原因の日に戻りその日を変えようとする。ラベンダーの香りのする理科実験室の暗闇に。そこには思いがけない人物が待ち受けている。

 最後まで読んで、自分の童心に戻りながら本を閉じる。私の娘が何年も後に中学生、高校生になっても、子供にも安心して薦められる本だ。娘の成長も、日々保育園で言葉や、歌を覚えてきて、成長のスピードは彼女も正に、「時をかける少女」だ。物語を読みながら過去を思い、娘を見ながら現在と未来を見る。そんな人生の味を味わいながら、私は幸せ者だなと思えたのでした。

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人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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