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越谷店
ペスト
投稿日:2011/6/23
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ペスト
著:カミュ
Center:蒔田高徳
この本を読みながら、いつもイメージされる映像は灰色の町といったところだろうか。ねずみが死に、同じように人がまた次々と、ペストの症状を出して死んでいく。町は封鎖され、人々はその運命にもがき苦しむ。読み始めた瞬間から、連想したのは福島原発事故による放射能汚染の問題だ。ペストと同じように見えない敵が原発周辺地域だけでなく、日本全体を襲っている。まだ収束でもない。関東東北周辺の農作物、土壌も汚染され、海にまで広がり、海外にも影響を出している。ペストは自然から発生したものとの人間との戦い。原発事故は地震と津波による自然災害とも言えるが、人が作ったものからの人災とも言える。原発周辺に家がある人は避難し、未だに家に戻れない。ペストのように隔離されてはいないが、自分達の町を失い同じようにどうしようもできない不条理に動かされている。その現状に訴えを起こす人ももちろんいる。故郷を捨てて新しい環境に向かう人、故郷の復興に力を注ぐ人。ボランティアで現地に向かう人。今日本の政治家は見ているとどうしようもないが、ペストの物語と同じようにこの中での、人間倫理が問われている現象が今の日本、そして世界にもある。今の世界も物語がたくさんある。
討論の時間に「あなたの中のペスト」は何かと問われた。「私は幸せに浸ってしまい、本来の目的から遠ざかってしまうこと」だと答えた。私の心にもペストは蔓延しているのだろうか、それをまた誰かにうつしてしまうとしたら問題だ。私自身が抱えるペストの対処法は、自分で何が薬が分かっている。ただ、それを自分では分かっていながら、人の診察を受けてわかるようになるというのは、どこか恥ずかしいような気もするが、自分自身のペスト、そして対処法が分かっただけでも、スっとした。今年ももう半分近くまで来た。自分自身のペストは、本物のペストのように不条理ではなく、自分内部の問題だが、そのペストから起きてしまった無気力を見つけ、自分を隔離してしまう状況から早く脱せねば。
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