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越谷店
風をつかまえた少年
投稿日:2011/5/26
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ジャーナリストの池上彰さんがTV番組でこの本を紹介していた。テレビのドキュメンタリーでも一部この話が紹介されていたので内容はなんとなく知っていたが、本を読んだ方が圧倒的に感動が大きかった。テレビの一部の紹介では足りない。映画にしても足りないかもしれない。
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当時14歳だった彼はひとりで風力発電をつくる。そこに至るまでの彼の人生が、日本にいる私達ではきっと想像も経験もできない過酷な環境が彼を襲う。この本はただのサクセスストーリーではない。人間ドラマとして最高の本だ。本を読みながら映画の中にいるようだった。
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マラウイという国を襲った食料危機。人が人でなくなるような状況、餓死者、家族も生きるか死ぬかの瀬戸際で、なんとか生き残る。学校に行きたくて行きたくて、そして生きたくて。幼い人生のストーリーなのにその必死さに、切なさに涙が出てくる。彼が学校に行けるようになった時、家族がご飯を食べれないその時、飼っていた犬が死に至るとき、様々な場面で涙が出る。食べていくために、学費が払えず、ぼくは中学校に行けなくなった。 勉強をしたい。本が読みたい。
学校の図書室に通う中出会った一冊の本。『風力発電』。 それを読んで彼は、風車があれば、電気をつくれる。暗闇と空腹から解放される。書いてある英語がよくわからないながらも辞書を引き、必死に学び、足りない部品になりそうなものをなんとか拾い集め、お金がないところでお金の協力を得ながら、人々からは馬鹿だおかしな奴だと言われながらも、彼は風力発電の仕組みを研究し続け、必死に風をつかまえにいく。
本の最終章で彼は旅をすることになる。国際会議に出席するためだ。彼の知らないところですばらしいことがどんどん動き始める。情熱というものは、人を自然と動かしていくのだと本を読みながら感じていた。彼の風車がラジオで評判になり、新聞に載り、それがまたNGOの活動をしている人のブログに乗り、それがナイジェリアの有名な企業家である国際会議を主催している人の目にとまる。そして「TEDグローバル2007」という多くの科学者や発明家と一緒に会議に出席する栄誉が彼に舞い込んでくる。彼は生まれて初めて飛行機にのり、初めてホテルに泊まり、寄付金を集めてくれた人たちからの白いシャツと黒いズボンを着て会議に参加する。
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準備していた写真、準備していたパワーポイントのプレゼンテーションがあまり良く動かず、突如彼のスピーチはインタビュアーが質問をしながら、彼が質問に答えていく形式で彼は壇上でスピーチをした。
彼が覚えた簡単な英語と、シンプルな答えに、最後の言葉で心が打たれる。
彼のそのシンプルな言葉にどれだけの人生が詰まってきたかをこの本で知っているからだ。
最後の質問で彼が答えた「トライして、、、そしてやり遂げました」その一言に、彼は自分の下手くそな英語が笑われるくらいに思っていた。しかしそこで聞こえてきたのは拍手喝采だった。しかも人々は拍手するだけでなく、椅子から立ち上がって喚起の声をあげていた。観客の中には涙をうかべている人さえいた。
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何年も続いた困難、基金、とぎれることのない家族の心配事、食べていくために学校を中退したこと、父さんの悲しみ、大切にしていた犬の死、計画を推し進めようとしたときに誤解され受けたいじめ、様々な思い出のすべてを乗り越えて彼が人々から認めてもらい、理解してくれる人々に囲まれる。
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本を読みながら、学ぶことの本当の意味を彼のストーリーを読みながら感じていた。
何かを実現したいと思ったら、まずはトライしてみることだ。学校を中退した中でも、図書館でであった本がきっかけで、人生が切り開かれていく。
少年が目を輝かせながら、本を読み、学んだ知識が力となるその純粋なドラマをこの本で読みながら、私の娘が成長し、本を読むようになったら、そっと娘の本棚に置いておこうと思った。
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