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国分寺店
瞬間の演出
投稿日:2019/7/16
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数年前に参加させてもらった写真のワークショップでこんな言葉があったことを思い出しました
「良い写真はどうすれば撮影できるのか?」
「良い写真を撮影するためには良いものの前に立つことである」
私たちは幸せなことに、日々の撮影で沢山のご家族にお会いすることができます。
ここで撮影をしていなければ、ここまで多くのご家族に接することも、家族について考えることも、こうやって文章を書くこともなかったと思います。
そして、撮影を通して一家族、一家族の良さの前に立たせてもらっていると感じています。
私達が撮影の中で家族に対して出来ることは何なのか?
私は、その家族の良さを引き立たせるためのお手伝いだと考えます。
時には家族の一員のように、一緒になって楽しませてもらったり、
時には声を潜め、家族の姿を眺めたり。
そして、そのお手伝いさせていただくと共に、写真という技術を使い、その家族の瞬間を形として残します。立ち会った良いものの形をより良いものにするために技術を駆使します。
しかし、写真を撮るという行為が、私達が立ち会いたいその良い瞬間を邪魔するときがあります。瞬間を切り取るカメラマンとその道具であるカメラが、その瞬間を邪魔する要因の一つにもなりうることがあるのです。
写真を撮るということは、瞬間を撮るということだと思います。そのためには、その起こりうる瞬間をお手伝いしたり、それを邪魔する要因を少しでも無くす必要があります。だからこそ私達カメラマンは、観察や分析が重要なものになるのではないでしょうか。
次に写真について書きたいと思います。
私自身この写真が、良いものの前に立ったと感じたのは家族の表情でした。
とっても仲の良いご家族で、兄弟3人ともとても仲がよく、愛嬌たっぷりの末っ子ちゃんが家族のムードメーカーであるような印象を受けました。兄弟撮影の時も、お兄ちゃんお姉ちゃんの優しさや愛情が伝わる撮影でした。
どうやってこのご家族の良さを写真として表現できるのか?
私が選択した方法は、写真として客観性を作り、第三者がその家族を眺めるような形をとることで、家族に集中した空間を作るということでした。
私は、カメラアングルをハイアングルに構え、ご家族を眺めるような形で撮影することにしました。カメラのアングルやポジションによる効果を利用することによって、形としてその良さを強調できると考えました。
そして、瞬間を生み出すお手伝いとして、妹ちゃんに家族のところに飛び込んでもらうようにお願いをしました。あえて誰に向かって飛び込んでもらうかは指示は出しませんでした。
その意図として「驚き」と「喜び」は瞬間を生むためのエッセンスになるからです。
誰に飛び込むか分からないという状況と、少しゲーム性のある投げかけは、瞬間の邪魔の要因となるカメラマンやカメラを忘れさせてくれる可能性があります。そしてこの撮影では、客観性を出すために私達の存在を感じないほうが良いと考えていました。
そして私自身はそっとカメラを構え、瞬間の前に立つ準備をします。
その瞬間はいつ訪れるか分かりません。飛び込むまでに生まれるのか。誰かに飛び込んでから生まれるのか。全然違うところで生まれるのか。
ある程度推測しながらも、ファインダを覗きながら集中します。
そしてそれは、走っている最中に生まれました。みんなの愛情が伝わる瞬間に出会いました。
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