Photogenic


国分寺店
scrollable

立ち位置を変えて見えるもの

投稿日:2022/6/1

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大学の頃、部活でオーケストラに入っていました。

トロンボーンを吹いている私は、オーケストラの後ろの方に座っています。

「トロンボーン、そこはもう少し大きく吹いて」

指揮者から発せられるリクエスト。

え?もう結構大きく吹いているけど?と私の小さな反抗心。

 

バランスをみたいので、客席側から聴いてみる事に。

するとどうでしょう。

トロンボーンの音があまり聴こえません。

トロンボーンの席の前には、ホルン、クラリネット、チェロ、ヴァイオリンの奏者が

座っているので、音が吸収されてトロンボーンの音はかなりエネルギーを出さないと客席にイメージ通りに届かない。

 

あぁ、やっと指揮者の意図が理解できた。

 

 

 

「相手の立場に立って考える」

よく聞く言葉ですが、理解はできていても、「相手の立場」を想像する主体になるのはあくまで自分であり、実際に「相手の立場に立つ」というのは中々難しいことです。

前述したオーケストラの話然り、イメージだけでなく、相手の立場と同じ状況になった時に、見えている世界を共有できるのでしょう。

 

 

ライフスタジオで働いていて、来てくれるたくさんの家族を見ていて、

カメラマンとして、コーディネーターとして、

ママさんやパパさん達の気持ちはちゃんとわかっている、傍に寄り添っている、そう思っていました。

 

私自身が子供を授かり、「撮られる側」の立場になったとき

さぁどうでしょう。

私の音は、私のイメージ通りに聴こえていましたか?

 

答えは「NO」です。

私には見えていなかったのです。聴こえていなかったのです。

 

撮影日を決めて、

その日に向けてどんな服を着ようかわくわくした気持ち。

 

撮影日の1週間前に気づいたら子ども自身が爪で顔を引っ搔いて

撮影までに治るかオロオロした不安な気持ち

 

撮影当日、お昼寝ちゃんとしてくれるか、ご機嫌はもつか、

絵本持って行ったほうがいいかな?

おやつとジュースももっていったほうがいいかな?

スタジオで笑ってくれるかな?

泣いたらどうしよう!

 

 

私達がスタジオでご家族を「こんにちは」と迎えるまでに

こんなにもたくさんの気持ちが生まれていたなんて。

 

不安も期待も入り混じって

スライドショーで流される写真を見て

そこに至るまでのすべての時間や気持ちが写真という美しい形になって

 

 

あぁ、やっと指揮者の意図が理解できた。

 

 

 

 

不安で、ママから離れたくなくて

話しかけられてもママに隠れて俯いていた

だんだんと話してくれるようになって

だんだんと笑顔を見せてくれて

心の扉が開くとコーディネーターのことを後ろから驚かせ

お茶目で無邪気な姿をたくさん見せてくれた

扉の外にいた私にゆっくり視線を投げてくれて

ちょっとだけ慣れてくれた私への好奇心の瞳

 

 

私達が切り取る1枚には

たくさんの想いや時間が内包されていて

カメラマンという一方向からだけでなく、

ママやパパたちからも見る方向を慮ることによって

写真は立体的な、色彩豊かな宝物になるのでしょう。

 

 

Studio:Kokubunji 
Photographer:Tansho
Coordinator:Shiiba

 

 

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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