PhotogenicKokubunji

写真という海の浅瀬で

2019/11/20

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本を読まねば。

と、常日頃から思っていますが、

なかなか時間を見つけられないという言い訳ばかりが思い浮かんでしまいます。

 

時代の偉人たちのその多くが、読書で知識と経験を吸収してきました。

では偉人たちはどんな本を読んできたのか?

 

そんなことを教えてもらうため、最近私は

「読書する人だけがたどり着ける場所」という本を読み始めました。

 

その本の冒頭で、

「現代の人の多くはインターネットという情報の海で、浅瀬にいるにすぎない」という表現があります。

いまやインターネットで何でも調べられる時代。

膨大な情報に触れられるけれど、その見出しだけをみて、分かった気になってしまっている。情報の上辺だけをなぞって、全てを理解した気になってしまう。そんな危険性が示唆されていました。

 

それでは、写真に置き換えて考えてみるとどうでしょう。

SNSの普及、特にInstagramの普及により、近年では写真を撮る人が増え、何より写真を「見る」人の目が以前よりも肥えたように感じます。

日々、たくさんの人がInstagramに写真をアップし、素敵な写真たちがタイムラインを占めていきます。ストーリー機能ではよりインタラクティブになり、リアルな「今」を写真や動画にのせて発信する事ができます。

 

写真の全体量は増え、その平均値も上ったように思いますが、

その分消費のスピードも速くなったのではないでしょうか。

 

かつて、フィルム写真が主流だった頃は、1カットを丁寧に撮影し、

撮影が終わって数週間現像を待ち、やっと手元に写真となって届くという、

今から考えると気の遠くなるような時間が必要でした。

しかし、その写真はとても価値のある1枚だと思います。

構図や光、そういったことを置いといても、その1枚の写真の記憶のインデックスとしての力は強いでしょう。

 

現代はボタン一つであっという間に写真を撮る事ができます。

便利になることは決して悪いことではありません。

しかし、1枚を撮るための緊張感や想いは確実に以前より薄くなってしまったと思います。

 

ライフススタジオで撮影をしている私たちについてはどうでしょうか。

ご家族たちにお会いして、その大切な記録を残すために切るシャッターの数はおよそ400回。

そこから75枚に写真を1つの思い出としてまとめます。

もちろん、それぞれのカメラマンが毎回、想いを懸けながら撮影をしていますが、

毎日の生活の流れの一部になってしまわないよう、

立ち止まる時間も必要です。

 

写真に正面からじっくりと向き合う時間

それこそが私たちが行っている写真分析なのだと思います。

 

Instagramを見て、様々な写真を見て、自分がその写真を理解した気になっているけれど、

前述したように、それは写真という大きな海の浅瀬で水遊びをしているようなもの。

その写真を理解するためには、その1枚の構造を知り、意図を知り、想いを知る。

そうすることで、写真という海により深く入って行けるのではないでしょうか。

 

「写真分析」の分析のようになってしまいましたが、

何が言いたいかというと

消費に負けない強い1枚を撮っていきたいということです。

 

その時に出来得る、最高の状態を最高の形で。

美しいヘアメイク、乱れの無い着付け、そしてこの1枚に至るまでに作り上げた彼女との関係性。

それぞれの素材は整っており、

写真の命運を握るのはカメラマン。

 

着物の帯、そしてヘアメイクの全体像が入るように立ち位置を指定し、

色味の少ないインテリアにアクセントを入れるため、着物と同じ赤色の番傘を加え副主体に。

彼女の綺麗な横顔を残すために、肩を見てもらうが、ただ見てもらうだけでなく、扇子を肩に置いてもらい、指先の動きから、7歳という少し大人になった女性らしい雰囲気を醸し出す。

この時間帯での自然光では着物の色が飛び過ぎてしまうので、ライティングを組み、彼女らしい柔らかさを出すために、陰影がつきすぎないよう測光を調整する。

 

そして最後に「一言」彼女に伝える。

 

 

彼女の一度きりの7歳七五三の時間を凝縮した1枚。

いつまでも心に残る1枚を。

 

Photographer&written by tansho

Hair and makeup &coordinator: sayaka

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