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市川店
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誰も知らない。

投稿日:2019/10/31

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映画を見終わった後、すごく切なくなった。

 

父親がみな別々の4人の兄妹が東京の小さなアパートで暮らし、ある日突然母親に捨てられ、子供たちだけで必死に生きようとする日々を描いた映画であるがこの“誰も知らない”というタイトルの中には、親の無責任さ周囲の人の無関心さが表現されており、誰も知らないではなく誰も知ろうともしない、そのようになってきている世の中を描いた作品であると感じた。誰も知ろうともしない、無関心さということがこれほどまでに残酷で悲惨な現実を生むものかと、とても考えさせられた。

 

この世の中、隣に住んでいる人もわからない、知ろうともしないことが当たり前になってきているが昔はそうではなかったと思う。

私自身、実家で生活していた頃は隣のおばさんがよく声をかけてくれたものだ。いつもおすそわけと言って野菜や果物をいっぱい持ってきてくれていた。

また田舎であったからか家にだれもいなくてもカギをかけないで外出をするが、急に雨が降ってきたときには、洗濯ものを隣のおばさんがいつも取り込んでくれていたのだ。

 

東京へ上京して実家に住んでいた頃のことを思い出すと、なぜか不思議でならない。

近所の人に会えば挨拶をして会話をするのが当たり前であった頃が、今となっては恥ずかしささえ覚えてしまう。東京へ上京した時に、どこかさみしさを感じていたのは、周囲の無関心さから来るものかとわかった気がした。

 

この映画の中で私の近所にいたおばさんのような人が一人でもいれば、彼ら(兄弟4人)の生活や人生は変わっていたのかもしれないなと思う。

実家にいたときには、おばさんの行動が当たり前と思っていたのに東京に来てそのような行動をしようものなら、恥ずかしさを覚えてしまっている現代に怖さを感じるしそのような感覚に知らず知らずのうちに私自身も侵されていることがショックだった。

 

また劇中で一番心が痛かったのは、各々の父親にお金を貰いに行くシーンである。

12歳である長男がそのような行動することかと、そうまでしないとどうすることもできない状況の彼自身の心の葛藤を知ろうとすると、胸が痛くなり見てられなかった。長男の行動や行いに希望を感じながらも、しかし現実はそう甘くなく映画の中であったとしても、そのリアリティーさに胸打たれることが多くあった。

 

“誰も知らない”というタイトルには“何を”知らないのかは示されていない。

子供たちが体験した暮らしと、そこにあったはずの苦痛や喜び、怒りや悲しみといった感情は本人たちしか知らないものである。

わからないものは知ろうともしない、考えもしないという想像力のなさが、こうした映画の背景に見え隠れしているのであろう。

誰かに知ってもらうこと、少しずつでも知ろうとしてあげること、その関係性が大切なのではないかと思った映画であった。

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