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市川店
ほーーーん‼︎よんでみよぉぉおぉーおー‼︎⑯
投稿日:2018/11/22
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キリン
私が好きな作家さん。山田悠介さんの作品です。
この作品は山田悠介さん特有の、現実とは違った世界で物語が描かれ、しかし現実にも起こりうるような…そこまで現実離れしていない感じが不思議で、面白いところでもありました。
あらすじですが…
ジーニアスバンクという会社は、優秀な人間の精子をオークションで女性に売り、受精させて優秀な子供を産ませるということを目的とした会社です。
そこで優秀な精子を買った厚子という女性は、2人の子供を産みます。
1人目は、天才数学者の遺伝子を持つ兄で小さいころから数学の才能が目覚ましく、20歳で有名な大学教授になります。
しかし、2人目はこの本の題名でもある「キリン」という名を持つ弟ですが、産まれて少し経ったころに「キリン」の背中に動物のキリンのようなシミが浮かび上がり、成長が突然停止してしまいます。天才児の兄とは逆に、弟の「キリン」は失敗作として、これでもかというほどに厚子と兄からひどい仕打ちを受けるのです。失望した厚子はベランダにある犬小屋にキリンを住まわせ、食事も満足に与えず、どん底の生活を1年続けていました。
その後はついに失敗作ばかりを集めた学校にキリンを入れてしまうのですが…。
しかし、キリンは変わらず厚子と兄のことを思い愛し、信じ続けていました。
家族から見捨てられた、キリンの思いを感じるだけでも苦しいのですが、なによりもキリンのまっすぐで純粋な心に打たれる内容がありました。
一番愛する家族から見捨てられても、変わらず家族を信じ続けるということはそう簡単にできるものではないと思います。
私の身近にも、両親に対しての恨みや憎しみがぬぐえない人たちを見ると、何かあるたびに思い出させ、その恨みを何度もぶり返し直接、両親にぶつけたり、またその状況を理解してほしくて、わざと両親たちを悲しませるようなことをしている光景を目の当たりにすることがあります。その憎しみや恨みというものはかなり根深く、なかなか解決の糸口が見えず深いもので…憎しみという連鎖を止めることがこんなにも難しいのだと改めて感じたことがありました。
そして、それを通して親にとっても、子供にとっても家族という関係はとっても、大きく深いものであることを感じました。
また親が天才だからと言って、子供も天才になるとは限らないなとも思いました。
逆に親が才能がなくても、子供には親にない素晴らしい才能があるかもしれないし、それぞれの努力次第でいろいろな才能を伸ばすことができるのではないでしょうか。
高いお金を払って買った天才児の精子であったとしても、育て方、環境、まわりのさまざまな影響によって、その子自身が築きあげられるわけで、天才児の親だから天才児しか産まれないってなったら、この世の中...どうにかしてると思います。
私は天才児でもなんでもありませんが、父親とも母親、妹とも考え方や性格は全然違います。誰に似たのか…どこでそのような性格になってしまったのか、自分の性格や考え方が好きではなくむしろ変えたいと思っている方なので、妹の考え方にうらやましく思うことが多々あります。悩むことだってあります。むしろこのような性格だからこそ、悩んでしまうのかもしれません…。
しかし、自分をもっと褒めてあげ認めてあげればいいのかなと最近思います。また周りを見てみれば、たくさんの方たちに支えられ、たくさんの温かい情を受けながら、こんな性格の私でもここまで来れているのかと思うと感謝しかないのです…。
ようは、その子の努力ともともと持っている才能、周りの協力が組み合わさることで良い成績や評価につながるのではないでしょうか。それがその子の個性なのだと思うことで、そこの子の自信にもつながりますし、いいところはもっと引き出してあげる、伸ばしてあげることができるのが親の役割なのかもしれません。
この本を読む中で、キリンのまっすぐさに心打たれる部分があったのと、大人の身勝手さに心苦しくなりました。
子供はいつまでも、純粋でただただ親を喜ばせたい一心で、とくにキリンの行動一つ一つには、私が大人になった今、忘れかけていた純粋なまっすぐな気持ちを思い出させてくれる内容が多くありました。
それとは逆に母親、厚子の大人だからこそ、ずる賢い考えや行動に純粋さのかけらもなくただ自分さえよければいいという姿勢に、このような大人に自分も知らず知らずのうちになってしまっているようで、恐ろしくなりました。
私は、まだ親になっていないので、ほんとのところ子供への情の世界がわかりませんが、子供を通して気づく内容も多いのではないかと思いました。それでいて子供の方が私なんかよりももっと、大人なのかもしれないと感じた、作品でした。
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