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市川店
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『灼熱の魂』

投稿日:2017/7/31

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『宗教と出身そして理念が、その人を規定することができるのか?』
 
主人公ナワルの夫が彼女の家族に殺され、平和を見つけるのため村を出た彼女は再びイスラム勢力とキリスト教勢力間の対立で息子を失う、その憎しみと分裂の歴史の片隅に暗殺要員という名前で自分自身を世の中に投げ出す。政治犯収容所で行われるあらゆる拷問、そしてカナダに亡命。映画は、このような過程と歴史的背景を生々しく見せつけてくる。ものすごい運命を受け入れなければならない母の生涯を通して、私たちは何のために憎んで分裂して、誰のために戦っているかについて自問自答する。
 
映画は絶望と希望、悲しみと喜びを行き来しながら、極端的に対立している分裂の価値、つまり宗教と理念の違いというものが人間の原初的な本性に逆らうことができないと言う。それが母の偉大な愛という言葉で表現され、許しと愛という名で昇華させ、主人公ナワルの熱くて激しい人生をなぜ灼熱という単語で表現したのか、少し分かる気もする。
 
そしてレバノンの内戦という背景により、現在、私たちの社会に起きている理念の対立と葛藤について監督は批判する。理念とは、人間が他人と付き合いながら生きていく方法、この世の中と社会がどのような原則で動かなければならないのか、また、自然と人間がどのように関係を結び、共存していくのかについて個人が持つ信念と価値観が、最終的に社会的理念として現われる。
 
しかし、理念論争で発生する対立と葛藤が問題というよりは理念に包装された白黒論理と二分法的な思考が、結局進歩と保守、左と右、黒と白で私たちを分けようとする。
 
一人一人の生がみんな違っているのを私達はすでに知っている。
そして、その社会に蔓延する各種の社会的問題を解決する方法も知っている。
相手との相違を認めて多様性を受け入れて、意見を収斂して一緒に話をしていくこと。結局、世界を黒と白二つに分けて説明することができないからである。
 

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