フォトジェニック


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2016年3月のフォトジェニック

投稿日:2016/4/15

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調和

URAYASU Photo
Photo by Ta-na-
Coordinate by volvo


写真を撮影する際に、私達はきっと様々な角度から被写体に向き合い、本当に様々な思考を巡らせています。
時々、考えすぎてシャッターを押すことも出来なくなる瞬間や、逆に考えすぎてシャッターを押し捲る瞬間もあると思います。
何をそんなに私達は撮影者という面からそして、時間と空間をコーディネートするコーディネーターという面から思考を巡らせているのでしょうか?

何も考える事を選択しなければ、私達は楽になれるのでしょうか?
何も考える事を選択しなければ、私達はもっと互いに自由になれるのでしょうか?

私達は少なくともライフスタジオという場所で様々な出会いによって導き出された結論としてはその問いかけに対しては
やはり「違う」と答えるのではないでしょうか?

私達が伝えたい「想い」とは何なのか?
私達が表現したい「想い」とは何なのか?

伝えたい想いを表現する方法として、どのような技術を習得する必要があるのか?
この子はどんな子なんだろう?
今、どんなことを考えて、どんなことを思っているんだろう?

10人いたら10通りの引き出しを、私達は持つことが求められているように感じています。
同じ場所、同じ時間帯、同じ年齢、同じ家族構成だったとしても、きっと私達はまったく同じ
表現をすることを望んではいません。

その子ならではの。その瞬間ならではの。その家族ならではの。その時々に化せられる条件ならではの。という「~らしさ」というアイデンティティーを引き出したい、きっとそう感じている。
だからこそ、私達は向き合う事、そして考える事を諦めてはならないと私は感じています。

その時々の条件によって、私は変化することを楽しむことが求められているし、
その変化を「楽しむこと」を選択し続けて生きたい。そう信じて様々な現場で撮影を続けてきました。

この1枚が生まれた背景に存在していた条件は
「その子ならでは」
「その瞬間ならでは」
「その時間帯ならでは」
「その条件ならでは」
という様々な「ならでは」でした。

753撮影にスタジオへ足を運んでくれたNagiちゃん。
着付けを途中まで頑張ってくれていましたが、途中で体調を崩し、着物を脱ぎ毛布に包まって倒れこんでしまいました。
その瞬間から、既に「いつもと同じ」ではなくなりました。時間が経過し、コンディションを崩してしまったNagiちゃんの姿を最初に見たときに、着付けを続行することは難しい=今日は753撮影をすることは出来ないかもしれない、そう感じていました。
休憩後、着付けを再び行う姿を見た時に、「大丈夫かな」そう思いました。
同時に「条件が不足している」ようにも感じ罪悪感も感じました。

いつもと同じ撮影時間ではなくなり、段々日も傾き始め、いつもの時間帯ではない光の具合になり、
辛うじて着物の撮影が出来たとしてもドレスとカジュアル撮影は難しいかもしれない。
どこで判断をしよう?何を提案することが今求められているのだろう?
そう考える私達を横に、着物を黙々と耐えながら着替えてくれるNagiちゃんの姿、
そんなNagiちゃんの姿を見て、「頑張って」と心配そうに見守るママ、
2人の姿に必死に答えてくれようと着付けを続ける先生。
そして、着付けを心配そうにでも、諦めずにNagiちゃんの心の扉を静かにノックし続けてくれたボルボさん。

そんな、姿を見て少し私は恥ずかしくなりました。
今日は駄目かもしれない。今日は最高の条件がないから上手く撮影を最後まで出来ないかもしれない。
そう少しでも感じていた自分。勝手に変化を避けようとしていた自分の姿に気づかされてしまいました。

信じて待ち続けること。
頑張りたい、その気持ちに対してその時々の条件を判断しながら寄り添うこと。
向き合う事を諦めないこと。
最高の条件とは何なのか?
最高の条件は、生まれるものではなく、その時々、瞬間瞬間によって作り出されるもの。
だとしたら、今の私が彼らに対してどんな変化を受け入れて、どんな変化を楽しみながら表現をするのか。
耳を澄まし続けること。今存在している様々な「条件」を選択し、表現をすること。

らしさが表現された写真とは、「時間」「空間」「光」「被写体」「条件」「作り手」を「調和」させることで生み出されるのだという事を改めて感じる事が出来た1枚。

着付けを耐え、ボルボさんがノックし続けてくれた扉が着物の撮影の前に開かれ笑顔いっぱいで撮影に臨んでくれたNagiちゃん。着物を脱ぎ、様子を見て着物以降の撮影は辞めようかと提案しようとしていたドレスにも着替えた直後に和室にいつもの時間帯だったら差し込むことの無い綺麗なオレンジ色の夕日。

全てが、重なった瞬間でした。
全ての条件が、融合された瞬間でした。

この瞬間、現場にいる全ての人が与えられた条件に対して、変化に対して楽しさを感じていました。
「どんなものが、生まれるのだろう?」そんなワクワク感。
夕日の温かくて、力強い光に包まれたNagiちゃんを撮影したいと思いました。
この光は、その現場で感じた、Nagiちゃんを優しく見守る全ての人の「目線」として表現したいと考えました。

「大丈夫だよ。」「頑張れ。」「待ってるよ。」「無理しないで。」
そんな、互いを見守りあう優しい時間と空間の中で徐々に笑顔を取り戻す彼女の姿を残したい。
光を見た瞬間にここまでハッキリと表現したい明確なイメージが生まれた自分に対しても、
新しい発見のような新しい自分との出会いのようなものを感じました。
10人いたら10通りの条件が存在します。

そんな、様々な条件を「調和」するこの過程と生み出される瞬間を記録すること、そして記憶に残すこと。
それが、私達の仕事の醍醐味であり、「いい仕事」の答えであると私は思います。
 
半年間、様々な発見をありがとう。
この場所では、5人それぞれの「ならでは」が表現された作品に毎日感化され続けていました。
おかげで、この半年間で最も「これが私の大切なもの」に気づくことが出来、表現することの楽しさ、
参加し共に作り上げる楽しさを現場で本当に感じました。

これからも、別々に一緒に。

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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