店舗フォトジェニック集
Photogenic
アンニュイ
投稿日:2025/7/29
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アンニュイ
退屈。倦怠(けんたい)。
▷ フランス語 ennui
この写真の彼女を見たとき、ふと脳裏に浮かんだのは「アンニュイ」という言葉だった。
正直に言えば、私は横文字があまり得意ではない。
意味をしっかり理解したうえでそう感じたわけでもなければ、分析したわけでも、じっくり観察したわけでもない。
ただ、ぼんやりと——そう思った。ただそれだけだった。
けれど、写真や芸術において大切なのは、そうした“ふと感じる”瞬間ではないかと思う。
頭よりも先に心が反応する、その一瞬の感情や思い、言葉、感想。
そして湧いてきた「これ、いいなぁ」という感覚。
それこそが、もっとも大切にすべきことなのではないかと思う。
私が「いいな」と感じる写真には、振り返ってみると共通点がある。
それは、「光」と「影」がどう在るか、ということ。
今回の写真は、四街道店の書斎で撮影した一枚。
窓から差し込む自然光だけを頼りに撮影している。
背景の本棚に奥行きを出すために、シャンデリアの灯りを点けてはいるが、被写体を照らしているのは、ほぼ窓越しの太陽光のみだ。
明暗をしっかりと捉えながらも、背景の雰囲気が損なわれないように、ISOは800に設定。
本に視線を落とす少女の姿とともに、この書斎という空間の“空気”を写し取った。
そして、再び「アンニュイ」という言葉に戻る。
調べてみると、思いのほか多様な意味があることに驚かされた。
「物憂げ」「退屈」「倦怠感」「無気力」「神秘的」「儚げ」「妖艶」——
日本語における“アンニュイ”には、ネガティブな印象もポジティブな印象も共存しているらしい。
使う場面によって、その印象は大きく変わるのだそうだ。
私が彼女に感じたアンニュイは、どれだったのか。
窓にもたれ、本を見降ろす少女。
あの瞬間に確かに抱いた感情は、今ではもう、思考にかき消されてしまって思い出せない。
けれど、それでもいいのかもしれない。
写真の中には、確かにあの時の「感じた瞬間」が、静かに息づいているのだから。
LifeStudio Yotsukaido - ライフスタジオ四街道店
Eri
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