店舗フォトジェニック集
Photogenic
魅力をみつける
投稿日:2018/11/3
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Photo&Write by Misaki Nakagawa
Cordi by Kaori Kobayashi
In Yokohama Aoba
毎日、先輩たちに自分のとった写真を見てもらって、
撮影を、写真を、よりよくするためにはどんな要素が必要なのか話しています。
いただくフィードバックは多岐にわたり、
ポージングや光、構図などの技術的なこともあれば、撮影の雰囲気や流れについてのこともあります。
これは研修時からずっと続けてもらっていることです。
もらったフィードバックを活かせるように、次の撮影では準備をしてのぞみます。
そうして少しずつでも、写真と撮影をよりよくしていけるよう努力をすることが、今の私の一番の課題となっています。
今月のはじめにもらったフィードバックがありました。
・クローズアップのとき、もう一歩寄ってみること
・その子の魅力を理解しているか
上記の二つでした。
私たちの撮影する写真は「その子の美しさを表現する」写真でなければいけません。
その子の美しさを表現することというのは、内面的な要素も、外見的な要素もしっかりと観察をしてみてはじめて行えることです。
そしてクローズアップの写真というのはインテリアや衣装など他の要素が全く入ることのない、その子自身をいちばん表現する1枚です。
長い睫毛を残したいのか、力強い瞳に集中したいのか、それともこぼれ落ちそうなほっぺたが魅力なのか…
その子のことをよく観察をした上でなければ、クローズアップの1枚は撮れません。
別々にもらっていたフィードバックでしたが、私には同じ要素のように考えられました。
もっともっと被写体であるその子に集中し、その子の魅力となる部分を探そう。
まずは魅力的なクローズアップの写真を残せるようになろう。
そんな意識の中で出会ったのが今回の写真の彼女でした。
*
七五三の撮影できてくれた彼女。
着なれないお着物を着て、そのなれない苦しさに、実は支度中に涙を流してしまっていたそうです。
ですが、着物を着て撮影スペースへと現れた彼女は、一言の弱音を吐くこともなく、
凛とした表情で美しく、ときには柔らかな微笑みを見せながら、最後まで撮影をやり遂げてくれました。
彼女の頑張りに助けられながら、着物の撮影では、静かな、大人っぽい写真を残すことができました。
白い肌や、緊張で少しツンとした唇、横顔の輪郭。
どれも彼女の魅力的な部分でした。
でも一番の魅力というのは、これじゃないような気がする。
3シーン目はランドセルでの撮影でした。
2シーン目でお兄ちゃんと遊びながら少しずつ年相応のあどけなさが彼女から見えるようになってきていました。
全身写真などもしっかりとって、最後のワンカット。
クローズアップを、彼女の魅力を残そうと思いました。
魅力的な、そのポイントは瞳でした。
キッチンスペースの窓際に座ってもらっていたため、自然光がたっぷりとはいりこみます。
窓からの自然光は画面全体を明るくしてくれますが、少し体を斜めに向いてもらっているため、
一番光の強く当たる顔の側面にはハイライトがはいり、そこから明るいグラデーション。
隣に置いていたランドセルにぐっと腕で乗りかかってもらい、その腕のラインを使ってトリミングをします。
カメラ位置は少し高めに、でもほぼ正面から。
時折周りの人に驚かれますが、私は物理的にも被写体に近寄りたいタイプなので、この時も彼女の座る狭い窓際スペースに一緒にのっかり、彼女自身にも乗りかからんばかりに近づいていました。
でもそのためか、彼女も真っ直ぐに私のことを見てくれました。
くりっとした瞳が印象的に残るように、しっかりと瞳にピント。キャッチライトが入ってより魅力的に。
シャッターを切りながら、この1カットが、今日の私が残せる、今日の私がみた一番可愛い彼女だ、と思いました。
*
この日とった写真の中には横顔も、伏し目の写真もありました。
どれも写真として綺麗に撮れているけれど、この日一緒に撮影に入っていたこばちゃんが「今日はこの1枚がいいね」と言って選んでくれたのはこの1枚でした。
撮影の状況や、彼女自身のことを見て、知っていて、
最後のクローズアップでこの距離まで近づいて、この表情を残せたことが1番の成果であり、
彼女の魅力的な部分を一番表現している1枚だと思う、「かわいい!」って思って撮っているんだというのがすごく伝わる1枚だと言ってもらうことができました。
彼女自身を知らない人が選んだとしたら、もしかしたら違う1枚を選んだかもしれません。
でも、いっしょに撮影にはいり、彼女のことを知っているこばちゃんから、
私の感じた「この日一番可愛い彼女」をわかってもらえたことがとても嬉しいことでした。
*
「その子の魅力」を表現するには、
鋭い観察眼と、そしてそれを適切に表現するための技術が必要です。
一番魅力を感じる部分を、魅力的に残せるようになること。
まだまだ勉強が必要です。
まだまだまだまだ、追求をしていきたいと思います。
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