店舗フォトジェニック集Photogenic

rail

2020/7/31

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Photo by Satsuki Kudo , coordinate Aimi Curnew .

 

 

窓際のインテリアで本を読んでもらっていたのも束の間、疲れもあってなかなか落ち着かない彼。

それももちろん、入学記念で主役として来店してくれた彼。来店時からぶっ通しで撮られてくれていました。

 

彼が寝そべっているクッション達は普段からここに置かれているものですが、ここに被写体が寝そべることを私は想定したこともなく、彼がそこに寝そべって初めてその場所に魅力を感じたほどです。

 

かわいいものが好き、とは聞いていたものの活かすこともできず突入した3シーン目。

コーディネーターとして彼本来の良さを、もっと出せれるはずなのに足りない。できていない。

少しわたしは焦っていた覚えがあります。(笑)

そんな時、徐に私が差し出したくまさんの人形を可愛しく抱きしめ、疲れたと言わんばかりに寝そべってくれた彼は、彼らしさを極限にまで残したまま、優しく、驚くほど素直にカメラを見つめてくれました。

 

子供の動作というのはとっても可愛くて、魅力的です。

写真を作るにあたって、場所を指定させてもらったり、ポーズの声をかけてみたりと、さまざまな条件を作るのも我々の役目ですが、その声かけひとつひとつに反映されるその本人らしさがいちばんの魅力です。

 

そんなレールの先に存在する「反映される本人らしさ」を整えられない状況というのは、わたしにとって、おそらくコーディネータとしてはひどく焦ってしまう状況だと思います。

もちろんわたしの実力不足が大きいので何とも言えないんですが、、、。

 

この一枚のストーリーには、そんなわたしの「焦り」が実はあります(笑)

この時彼が起こした行動は、たまたま後ろにあったクッションに寝そべってだらんとすることでした。

ふつうなら起こすように促すと思いますが、わたしが手に持っていたくまさんの人形を徐に受け取り、抱きしめた彼の作った条件がこの写真です。

 

一見偶発的にできたそのタイミング。くまを差し出したのは確かにわたしですが、光を見てここに誘導し、声をかけ、シャッターを押したカメラマン。

そしてまだ飾られていない彼自身の魅力。

 

お姉ちゃん2人に囲まれ育った末っ子くん。

カメラをまっすぐ見つめてくれる素直さと、人形を緩やかに抱きしめる優しさ。

窓際に射す柔らかい光を鼻筋に引いて、子供特有の肌と髪の毛、瞳の透明感の美しさ。

個人的には衣装の緑、紺、人形のブラウンも程よい色彩として写真を彩っているのではないかと思います。

 

この写真は彼の優しさと素直さから生まれた動作、そして表情。甘えんぼさんで、天真爛漫。

そんな彼の魅力がいっぱいいっぱいに詰まった一枚です。

 

技術的な、というと現実的すぎるかもしれませんが、

毎日の出会いの中でその魅力をいっぱいに引き出して、写真を作る「条件」を整えなければならない、自分の知識と技術を蓄えねばならないと思う一方で、子供達はいつだって可能性と魅力に溢れていて、それを見つけるのも、探さないのも、活かすのも、わたし次第なのだと、毎月同じようなことを思っているのですが、カメラを握り始めたということもあり、より強く思います。

 

嵐のように過ぎていく毎日の中で、見逃してしまいそうな、その時にしかない一瞬を、表情を、感情を、記録に残したい。

カメラを持ち始めて、より強くそう思えるようになりました。

この一枚は、そんなわたしの感情にさらに追い風を吹かせてくれる一枚です。

 

 

ついついレールの先に完成品が存在すると思ってしまう、いやもちろんそういう順番付けじゃないですけど、自分の中の条件というのは大事だと思いますが、それが全てじゃないという当たり前のことなんですけれど。

 

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