LIFESTUDIO AOYAMA
photo:gomei
codi:morita

 

母にとっての“愛おしい瞬間”

スマッシュケーキの撮影で、赤ちゃんが夢中になってケーキに手を伸ばす姿は本当に可愛らしいものです。
けれども、この日心に残ったのは、思わぬところにクリームがついてしまった“小さな踵”でした。

母親にとって、子どもの足はとても身近な存在です。
お風呂上がりに拭いたり、爪を切ったり、眠っているときにそっと触れたり。
そんな日常の延長線上で見る「クリームがついた踵」は、ちょっと笑えて、そして胸がぎゅっとなる特別な光景ではないでしょうか。
写真を見返したとき、「この頃はこんな風に無邪気に動いていたな」と思い出せる、かけがえのない一枚になります。

カメラマンとして気づいたこと

撮影している側としても、この小さな出来事は大切な気づきになりました。
どうしても撮影では「笑顔」や「表情」に目が向きますが、母の心に響くのは必ずしも顔だけではないのです。
足先の仕草や偶然ついた汚れのように、“その子らしさがにじみ出る瞬間”も同じくらい価値があります。

今回の踵のクリームも、ほんの一瞬で消えてしまう出来事でした。
けれども、それを写真に収めることで、「母の目線で見れば、こんな何気ない部分が宝物になるんだ」と実感しました。
写真は単なる記録ではなく、母の記憶や感情を呼び覚ますもの。
その視点を持つことで、より深い一枚が残せるのだと思います。

未来への贈り物として

子どもが成長すれば、足はどんどん大きく、力強くなっていきます。
やがて走り回るようになれば、踵にクリームがつくような無邪気な姿は、もう二度と見られないかもしれません。
だからこそ、この小さな踵の一瞬は、未来に贈る宝物になります。

母にとっては「愛おしい思い出」として、スタッフにとっては「撮影で大切にすべき視点」として。
この一枚は、両方にとって学びや喜びをもたらしてくれるものになりました。
小さな足が語る物語は、写真を超えて家族の心に残り続けるのだと思います。