Staff BlogNagoya

picture34-写真評価

2011/10/12

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カメラを手にしてすぐに挑戦をする撮影が「クローズアップ」だと思います。私も今までに多くのクローズアップを撮影してきました。クローズアップは顔大きく撮影するわけですから被写体の表情が何よりも重要になります。私は表情だけに意識を向けながら撮影をすることで何年かを過ごしました。被写体になるべく接近し、なるべく顔が大きく写るように心がけ、良い表情になった瞬間を、被写体の顔が美しく見える角度で…。そのような意識で常に撮影に臨んでいたのですが、撮影された写真を見ながら大きく写された被写体の顔にどこか物足りなさも感じていたのは事実です。

 

そのように感じる理由は簡単で、カメラマンとしてクローズアップする理由を自らが見つけることができなければそれは単純に「大きく写した写真」に過ぎず、意味のないものとなってしまうからです。撮影を始めてある程度の月日が経つとカメラマンは難題であることに気づきそこから少しずつ離れていきます。私もその一人です。

 

クローズアップ写真は他の写真と種類が大きく異なるものです。全身の撮影は被写体とその周囲のインテリアとの調和によりイメージを決定させますが、クローズアップ写真は被写体単独でそのイメージを決定させなければいけないという難しさがあります。被写体単独でイメージを決定づけるということが容易なことではないので、カメラマンは「笑顔」という誰もが分かりやすいイメージに集中します。被写体から良いイメージが出てこなければ撮影をするのを止め、イメージが現れたら撮影するということを繰り返すことによって、クローズアップは偶発的に用いる撮影手法になっていきます。

 

クローズアップ写真は他の写真と異なり見る側に大きなインパクトを与える写真です。私たちが何かをもう少し変えればより良く表現できるのではないでしょうか?

簡単なように思えながら一度は誰もが挫折をし、難しさを覚えるクローズアップ写真は私たちが研究に値するものだと思います。

 

 

良いクローズアップ写真とは?

 

  • クローズアップすること

 

クローズアップの撮影を思い浮かべる時、私たちは‘何かを大きく撮る’と考えてしまいがちです。私も一時期そうでした。クローズアップの本来の意味は対象となる物、被写体を単純に「大きく撮る」のではなく、「被写体を決められた四角の中いっぱいに満たすこと」とされています。一見違いが無いようにも思えますが、大きく撮るという考えでは写真に隙を与えることになります。

隙が出るというのは勿論写真を見る側に対して言えることで、言葉では上手く表現することが難しいのですが…。要するに写真から目を離してしまう隙を与えてはいけないというか…。その隙というのは写真の余白から生じるものもあるでしょうし、写真が持つ決定的なイメージもあるのだと思います。

無駄な余白があることによってクローズアップ写真が本来持つインパクトを半減させます。その無駄を省く為に「四角の中を満たす」という撮影手法は効果的な一面を見せます。

ただ、「四角の中を満たす」という方法をとったとしても、それで満足のいくクローズアップ写真が完成される訳ではありません。「満たす」という方法を用いると写真を見ている側に窮屈だという印象を与えかねません。

 

「満たすこと」を前提に撮影を始めると「何をどこまで?」という考えに変わります。顔の割合と写る胴体とのバランスをまずは処理しなければいけなくなります。

「四角の中に顔が写る割合が60%以上を占め、残り40%が胴体を占めるように構成された写真」は見る人に不自然さを残します。それは何故かと言われても確実な答えはできませんが一度そのようにトリミングをしてみると理解できます。(カメラアングルを極端に上にして撮影をするとそのような写真になる傾向があります。)

だから最初は顔と体のバランスに不自然さが残らないようしなければいけません。画面いっぱいに満たすことを前提とし、顔と体のバランスを自然に保とうとすると当然頭の上部分をカットすることになります。これも実際に撮影をしてみると分かることです。

 

次に眉より上の部分をどのように処理するのかが課題となります。適切に処理されなければ「おでこ」から上の部分がただ切り取られたかのような印象を与え、写真に不自然さが残ります。

眉より上の部分が四角の中でどの程度残されるかが重要になってきます。眉より上の部分を多く残しすぎても頭をただ切り取られた印象を与えてしまうし、眉より上を詰めすぎると単純に顔半分が写ったかのように見えてしまいます。

その間隔というのは被写体によって異なりますが被写体の顔の形や髪の毛の流れによっても決定されます。

間隔の調整が難しい場合は被写体に帽子などを被せた状態で撮影をすることで容易になります。これは自分が作った方法ではなく、世の中に出回っている多くのクローズアップ写真がそのように撮影をされています。アイテムを使うことによって眉より上の部分を適切に処理することが可能になります。

 

  • 手を加える

 

これは言葉通り手を入れて撮るということです。これも多くの写真を見た時にそのように撮影されていた統計に基づきます。表情だけに集中しそれ以外を私たちが無視するのであれば当然「笑顔」というものを撮り逃すことはなでしょう。

ただそのような考えであればクローズアップは「笑顔」のみに適用される撮影手法になりかねません。

「表情+α」を求める時に手を入れて撮影をするという方法はそれを効果的にします。手で耳を触ったり、頬を触ったり、口をおさえたり、鼻をつまんだり…。手を加えることによって写真の持つイメージを20%高めることが可能になります。

それが何故かというと…。

被写体に帽子を被せ、その帽子の片方を手で掴むという写真を多く目にします。そのように撮影する理由も写真に+αのイメージを持たせることを意味するのであって、その役割となっているのが手です。「手」は写真のイメージを決定させてくれる大きな役割を持っています。

しかしながら私たちが顔のクローズアップを撮影する時はそのまま撮影をしてしまいます。恥ずかしい時は顔を手で隠したり、考え事をしている時は手で頭をおさえてみたり、悲しくなった時は手で目頭をおさえたりと、私たちは今の自分の状態を「表情+手の仕草」によって表現します。ですから「手を加える」というシンプルな方法によって、写真に+αのイメージを付与することが可能になります。

 

 

クローズアップ写真というのは個人的に一番難しい写真だと感じています。おそらくもっと多くのポイントが存在し、見つけていかなければいけない奥の深いものだと思います。時間をかけて研究する価値はあるでしょう。

 

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