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らしさ。

投稿日:2018/3/31

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『らしさ。』とはなんだろう。
よく人々は「自分らしさ」が大事だと言います。
 
しかし、本当の『らしさ。』があるのは子供の時期だけではないかと僕は思います。
僕たちは成長するにつれ、色々な知識や常識、他人の意見など様々な物を取り入れ、そうする内に自分の中にある理解されない宝物が好きという考えが、他人から理解される宝物が好きへと変わっていきます。
 
大人になるにつれて本当の『らしさ。』ではなく建前、表面上の『らしさ。』に変わっていく中、子供だけが自分の意思で、体全体を使って「自分らしさ」を表現するのではないでしょうか。
 
僕は今だけの、今しか撮れないその子らしさを撮りたいと毎回撮影に入るたびに思っている。
これから成長するたびに、色々なことを体験し、自分の中の考えとか、他人の考え、それらすべてのモノで自分が出来ていき、今ある『らしさ。』から変わっていくかもしれません。
 
 
 
彼女は、活発な子で時折見せるアンニュイな表情、少し明るい髪色に透き通った白い肌、楽しいと可愛らしくキャッキャと笑い、小さい体から出る行動はとてもダイナミック。今だけの『らしさ。』、それを全身で表現していた。
水戸店だけで10回目のご来店。その数だけ、『らしさ。』を残してきたに違いない。記念すべき10回目に僕はどうしたらその子の今の『らしさ。』を残せるだろうか。
葛藤の末、普段使わない短焦点レンズを手に取った。
 
レンズは自前の「 SIGMA 50mm f1.4 Art 」
 
最近のシグマレンズは色があっさりしていて寒色系なのが特徴でこの子の透明感を出すのにはぴったりだった。
絞りは開放だと周辺光量落ちが出てしまうので透明感を重視し尚且つ被写界深度を凄く浅くしたかったのでf1.6にし、SSも被写体が動いていたので1/400に。
被写体の位置も撮影時、窓から西日になりつつある綺麗な光が入ってくる窓の前に。
綺麗な光を逆行から半逆行気味に背負ってもらい、顔にはカーテンを使い光を回してあげる。
そうすることによって全体に光が回り、メインの光が後ろにあるので、彼女の明るい髪色が透けて透き通った写真になる。
 
僕は動いている子を撮るのは結構好きなほう。
時折、僕も予想できない行動をし、それを撮れれば面白い写真を残せる。
 
正直話すとこの写真は、偶然の産物です。
狙ったのはカーテンの下からチラッと顔を出しているカット、しかし彼女はダイナミックにカーテンを上げて顔を出してきました。
とっさにシャッターを切る。
 
そうして出来たのがこの一枚。
短焦点レンズだったからこそ撮れた一枚。
偶然の産物だからこそ彼女の『らしさ。』を撮れた一枚。
 
 
こうした一枚、一枚がその子が表現する今の『らしさ。』を残していければいいと思います。
ありがとうございました。



 
 
Photo by NIHEI
Coordi by IKU
 

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