Photogenic
横浜青葉店
変化する為の、条件。
投稿日:2020/4/11
2500 1
Photo by Kaori Kobayashi
Cordi by Misaki Nakagawa
in YokohamaAoba
変化を生み出す、条件をつくる。
その日は、スタッフ全員で顔を合わせて、写真の話をした日でした。
自分の写真分析について説明をして、
それについてみんなで意見を出し合ったりして、話を進めていき、
自分の写真と課題に、相手の写真と課題に、向き合う時間です。
写真や撮影スタイルが各個人で個性が出るのが、ライフスタジオの魅力の一つでもあると思います。
撮影者が見たものをどのように受け取り、どのように表現するのかは、
その人にしかできない唯一無二のものとなります。
その日その時の出会いも、同じ出会いや瞬間はないからこそ、
本当に世界でたった一つの瞬間の記録を残していくことが出来て、
それを最大限ベストな形で残していくことが、撮影者の使命です。
私はライフスタジオという場所を訪れて、撮影に携わるようになり、もうすぐ9年の月日が経ちます。
その間、たくさんの技術を学び、たくさんのご家族や人に出会い、
色々な経験を経て、今の自分の撮影スタイルや写真があります。
しかしどんなに月日が流れようと、自分の中に無いものを求めたり、変化を求める気持ちは常にあります。
長ければ長いほど、自分が作り上げてきた確かな土台が、今度は自分の固定概念となり大きな壁となります。
何か変化を起こすためには。
大きな壁となる、自分の中にある、築き上げてきた安定や固定概念を崩さなければいけません。
新たな変化を起こすためには、自分の当たり前を崩すためには、
条件を具体的に変えることが必要です。
その方法を考えます。
まずはひとつ主題を設けること。
これは、店舗で写真テーマを決めている為、すぐに決まりました。
「ミドル~クローズアップで美しさを表現する」
もうひとつは撮影の流れを自分で変えてみる事。
これはシンプルでOK。
例えば、普段はインテリアを広くとらえる引き写真から撮影していたら、クローズアップから撮ってみたり。
いつも撮っている鉄板の場所から一歩だけ場所を変えてみたり。
そしてもうひとつ。
1枚に細かく時間をかけてこだわってみる事。
子どもたちの自然な仕草を捉えるために、時間の流れを止めないようにすることをいつも心掛けています。
その中で予測をしながら、誘導をしたり、瞬間をとらえたり。
ただ、最初の一枚。
スタートにすごくこだわってみるのはどうか。
そんな風にいつもと違うスタートを、自分で条件としてつくってみました。
撮影に入る前にそんなことを考えて。
写真の彼女に出会いました。
彼女に出会うのは3回目。
3きょうだいさんの長女ちゃんで、とってもしっかりしていて、10歳ハーフ成人を迎えます。
撮影をしている時はいつも年齢以上に大人っぽく見えたりするんですが、
いつも写真撮影が終わるとやんちゃな弟たちに交じってやんちゃな一面も見せてくれる、
そんなギャップが可愛い女の子でした。
毎年の自分の撮った写真を見ていると、正面からのクローズアップの写真が必ず入っていることに気が付きます。
正面から真っすぐとらえた彼女はやっぱりとても大人っぽくて、真っすぐ見つめてくれる瞳が可愛くて。
今年も必ず彼女の魅力が詰まったクローズアップを狙おうと思いました。
思いっきりにぎやかに楽しみまくった、弟たちとの撮影後。
最後の大トリ撮影は彼女の撮影でした。
主題と、流れを変えてみることと、最初の一枚にこだわる事。
1シーンの最初に、この1枚を撮影しました。
彼女の正面から捉えたクローズアップの写真を今まで撮影していたので、
今回は横顔を撮ってみようと思いました。
正面から向き合うよりも、頬のラインが丸みを帯びているのがよくわかり、
横顔の方が正面よりも、幼い印象を感じました。
今回は、今までドレスを着て撮影をしていなかった彼女の、念願のドレス撮影。
ウキウキ、そわそわ、しているような。
期待に満ちた、でも少し緊張しているような。
彼女の、10歳だけど、まだまだ幼い部分や、気持ちが伝わるような。
最初の一枚にしたいと思いました。
天気が良く、光が差し込む窓際に彼女を連れて行き、
窓を開けて背景に緑が入る様に立ってもらいます。
輪郭をなぞり、瞳がキラキラと映る様に角度を決めて、
奥行きが出る様に緑とは反対側にスパンコールのレースでキラキラ明るい前ボケを入れました。
光に照らされた緑もキラキラと写し出されて、彼女の横顔をより一層、明るく華やかに、際立たせます。
少しだけ、微調整を繰り返しながら、最初の1枚をパシャリ。
ここから色んな写真を1シーン撮影していくわけですが、
最初の一手を自分の中で条件づけて変えてみると、
その後の流れもいつもとは違うものとなり、自分の中で少しだけ、でも確かに変化を感じることができました。
もの凄くシンプルで、単純な条件で、それだけで何かが変わったわけではないけれど、
自分の中できっかけを生むことができた一枚になったと思います。
撮影が終わって、
一緒に撮影に入ったさきちゃんに
「最初の1枚、すごく良いですね。朝話した通り、条件を変えてるなあって思いました」
と言ってもらえて、すごく嬉しかったです。
自分の課題を共有して、それに互いに協力し合って、それを互いに意識し合えることも、
写真の話をする時間の効果でもあり、
そして単純にそれを「良い」と言ってもらえるのは、なんだか本当に嬉しいものです。
そうやって少しずつ、少しずつ、自分がこれまで培ってきたものを土台に、
まだまだ成長していけるようにきっかけを生む条件づくりをしながら、
日々向き合っていきたいと思います。
自分自身がより楽しめるように。より良い物をちゃんと残していけるように。
まだまだ、頑張っていきます。
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